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大企業のオープンイノベーションスペースがうまくいかない傾向と対策

どもども。青木です。

世の中に多くあるオープンイノベーションスペース。
試行錯誤中のスペースが多い中で苦戦していると聞いています。

"資源が循環する組織構造”から見るとなぜうまくいかないかが見えてきます。

さて、よく私が出すこの図から見ていきましょう。

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External Community Manager(ECM)は外部のコミュニティ、行政、重要な人物、組織、自社の意志決定者や自社の他部署と調整をします。

Internal Community Manager(ICM)はOpen Innovation Space(OIS)の中で資源を循環させる役割を担います。具体的にはコミュニケーションを取って一人一人のメンバーが持っている資源にアクセスできる状態を指します。もっと具体的には協業提案の話を聞いてくれたりとか、ICMが持ってきた仕事の案件を喜んで受けてくれる、みたいな話です。

そしてGeneral Community Manager(GCM)はEcosystem全体からOISの成長図を設計する仕事です。

詳しくはこちらのnoteをご覧ください。

さて、それでは本題に入っていきましょう。

大企業のオープンイノベーションスペースがうまくいかない理由は次の3つです。

1. ワークスペースとしての価値が低すぎる
2. 大企業側と入居企業側の期待のズレ
3. ロードマップの不在による運営方針の迷走

さて、それぞれいってみましょう!

1. ワークスペースとしての価値が低すぎる

ありがちなのですが、立地は非常に良くても仕事をする上では価値の低いスペースはまぁまぁあります。例えば
・イベントを開催すると歓談の声が聞こえる
・仕事でよく来るエリアなのにドロップインがないため本当に来て欲しい層からスルーされる
・仕事をするのに不適切な什器

というのはよくある話ですし、よく見かけます。
コミュニケーションを促進するスペースはオープンでリラックスできて、イベントがたくさん開催できる…というふうに勘違いしている大企業がまだいるのですがそもそもここで1日中働けるかという発想は大事です。
「いつも仕事をしに来ているので協業に結びつけやすい」のでありますから、ワークスペースとしての価値が低ければイベントスペースとして生きていくしかなくなってしまいます。

2. 大企業側と入居企業の期待のズレ

これは根深い問題です。大企業が「オープンイノベーション」と言えば当然入居企業は下心(出資や協業)を持ってやってきます。しかし、多くの企業でオープンイノベーションの下準備が整っていないのが実情です。図の中のBossやDepartment(事業部)との話がついていないためにECMが自社資源を活用できないという課題です。そこで逃げ道として特定の分野のプラットフォームになるという方向性があるのですが、OISとして流通させる資源が決まっていない、または流通させられる資源がないためにプラットフォームにもならずただの場と化す未来が待っています。そうしているうちに「あそこに行っても何も起こらない」という評判が立っていつしか本当にただの安いオフィスとして活用されてしまいます。そうするとICMから上がってくる課題も運営企業の力が発揮されないものの割合が多くなってくるため、わざわざICMを置かなくともニコニコと人当たりの良いアルバイトを置けば済んでしまいます。

OISを開設したての頃は「これまでの閉鎖的な会社風土を変えたい」みたいな話をインタビューやイベントに登壇した先でしまくるわけです、気持ちよく話していると周囲の期待値だけが盛り上がってしまい、担当者にできることのレベルを超えてしまいます。いつしか「結局オープンイノベーションとか言ってるけどやる気ないよね。」と評価されてしまいます。「こういう気持ちでやっているというだけでやっぱり難しいです…」というのは結局これまでと変わりません。できないことは言わない、というのも大切なことです。

3. ロードマップの不在による運営方針の迷走

流通させられる資源がなくとも入居企業を増やしたり、ターゲットのスタートアップが頻繁に来たりする施策を打たなければなりません。そうすると小手先だけのイベントが頻発することになります。

小手先だけのイベントというのは
1.  得られるのが新しい視点や考え方だけですぐ役に立つ情報がない
2. ネットワーキングで繋がる人達に決裁権がない
3. 本気で協業したい人達が集まらない

といったものです。また、仮にイベントで人を集めたとしても1,2を解決しないことには人が定着しません。こういったロードマップが不在な中で場当たり的にイベントやネットワーキング、プロジェクトを実施していくとコミュニティ自体が成長せずいつまでも最初期を抜けられないことになります。

OISを開設するにあたりどんな場にしたいのか、自社で出せる資源は何か、どう利用者予備群を集めてどこで利益を出すかといったことが事前に設計されていないと中途半端な場になります。「コスト度外視で」「とりあえず場を」というのはあくまで最初、オープンイノベーションやコミュニティの力に半信半疑な意志決定者に対して背中を押すための方便です。それがいつの間にか担当者すら近視眼的になってしまうのはいただけません。

ではどうしたらいいか

さて、問題点だけ挙げて終わってはここまで読んでいただいた皆さんに申し訳ない。ということで対策です。

ここまでに挙げた3つの逆を実行することでオープンイノベーションが実現可能なスペースを目指しましょう。

1. ロードマップを描こう。

・OISを通して自社が獲得したい資源は何か(出資先、協業先、多数のスタートアップとすぐにアクセスできることetc)
・制約条件は何か(立地、許容可能な赤字の範囲、動員可能な人数etc)
・望ましい入居者とはどんな入居者か
・自社で提供可能な資源は何か…

といった項目を緻密に検討していきます(一部を載せております。詳しく知りたいOISの運営者、これからやろうとしている企業さんはお問い合わせください)。

ロードマップを描くとそもそもOISとして成り立つかどうかも見えてきます。特に注意したいのは獲得したい資源、自社で提供可能な資源です。ここが見えてこないことには何も始まらないので注意が必要です。


2. 提供可能な資源を整理し誰に提供するか決めよう。

OISの運営企業が提供可能な資源を整理しましょう。
運営企業はメーカーなのに提供可能な資源はデザイン部署の人達、出資はNG、無償の実証実験でデータを提供するのならOK、などなど最初に外出し可能な資源を整理しておくと良いでしょう。多かれ少なかれ担当部署と調整、は発生しますが、最低限スペース内での実証実験などは権限を担当者が持っておくのが大事です。ECMの腕の見せどころです。

また、OISを運営して困る問題が、「オープンイノベーションですよね!うちの製品使いませんか!?」という営業です。ドンピシャなものはごくわずかで"オープンイノベーション”という印籠を相手が"実証実験”という名の元に自社製品とセットで提示してくるという状況が生まれます。そんなときは月額会員のランクならOKとか、入居に際して何らかのレギュレーションを設けるなどすると良いでしょう。予め"断る理由”を作っておくのが大切です。

3.ワークスペースとしての価値を設定しよう

利用者にどんな動きをして欲しいか、何の資源を提供してほしいかを元に設計するのが良いと思います。

そうすると、イベントをやった時に来て欲しいのか、近くを通った時にちょっとした作業場所として使って欲しいのか、いつもいてくれるのがいいのかが見えてきます。例えば"先輩起業家として駆け出し起業家にアドバイスをして欲しい”みたいな話であればわざわざアポを取って呼びつけるより忙しくなさそうな時を見計らって声をかけられたらいいよね、といった状況を想像しながらワークスペースの充実度を図っていくといいでしょう。

椅子一つとっても重ねてしまっておけるイベントに役立つタイプから、長時間座っても疲れないものなど考えることは山程あります。

ワークスペースとしてカフェより不十分なスペースに長居する理由などありません。逆に日頃仕事をする拠点であればロッカーは必要でしょうし、シャワーや仮眠室もあると良いかもしれません。


とまぁこんな感じでまとめてみました。最後までご覧いただきありがとうございます!

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図書館で借りてきた本についてシェアしているのでもしサポートいただけたらちゃんと買わせていただきます。(学術書はいいお値段するんです)

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コワーキングスペース向けのCRMを開発してます。人の脳の関係で一度につながっていられる人の限界が150人程度だそうです。俺たちで人類の限界を超えてもっと繋がれる世界にしような。株式会社funky jump CEO

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コメント (3)
こういう手のイノベーションというのは、そのためのスペースを作るよりも、それ目的のスペースに登録してみるの方が手っ取り早いと思うんですけどね。私はこれ読んでてそっちだなってしっくりきたので。
https://note.com/west2538/n/n0ae7bd53e671
そうなんです!本来そのとおりなのですが、大企業の機動力(ルール・経営企画の想いなど)から自社で持つという選択が多いと思います。大企業の背中のちょうど届かないところにコミュニティがあるという印象です。
そうそう。私は大企業でも中小企業でも企業さんでこのようなスペースを作るのは別に構わないという考えなんですけども、同業者でも別の事業者さんでも相互に会員登録をし合うという条件付きでならってのはあります。今ちょっとこれをもう少し省力化・簡易化した事業協定のひな型を作っていて、ネット販売しようかというのを入っている勉強会でやってます。
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