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同人誌を電子書籍化してみた

■ファイル生成方法がバラバラ

電子書籍で同人誌を売ることもできるとはぼんやり知っていた。
しかし、何をどうやって電子化するのかは具体的には把握しておらず有耶無耶だった。
昨年秋に出した本はちゃんと印刷をお願いしたものでそこそこページ数があるものの、5月の文学フリマに合わせて出した副読本はコピーですらなく家庭内手工業的インクジェット印刷本だったのでページ数もそれなりのものだ。
この本は、わたしがWEB連載していることなど全く知らないイベント来場者様から購入時に「本編を読んでない状態で楽しめるかわからない為おそらく購入を迷う人は多いと思う」とのご意見をいただいたため作成した本だ。
簡単な主要人物の紹介と、秋に出した本には収録されていなかったSSをまとめたものである。
今回、いい学習の機会になるのでこれを電子化してみようと思い立った。

わたしはシーモア誕生当時(2004年頃)から電子書籍化された漫画単行本や同人誌をパソコンとガラケーアプリで購入して読んでいた。
当時は閲覧するハードに応じた独自規格がほとんどだった。
自分でも携帯用の文芸コンテンツの更新や運用に関わったこともあったため配信が今のような形態になる前を知っている。
現在標準となっているEPUBが国際規格化される以前に購入していた同人誌の電子版には画像ファイルやPDFで配布されていた物も多い。
中にはPDFでも電子署名がないもの、或いは画像ファイルのままウォーターマーク(透かし)すら入れていないものも多々あった。

しかし、実際にやってみての感想は「まだこんなに統一されてないの…?」「未だ原本保護する態勢ってとってないんだなあ…」という感じ。
EPUBの生成についてもツール提供のみだったり自動だったり代行だったりバラバラ。
EPUBが国際規格になってからはKindleやブックウォーカーで配信している人も随分増えたので統一が進んでいるのかと思ってたら全然だった。

※EPUB(イーパブ)は国際電子出版フォーラムが策定した電子書籍のフォーマット規格

■今回の本の原稿の仕様

A5・グレースケール・600dpi
人物紹介は挿絵の入った横書きテキスト、Photoshop(PSD)で作成→pngファイルで保存
SSはA5ページメーカーで印刷用の高解像度で出力したpngファイル
(以前はまとめてPDF出力できて助かってたのですが今はできない模様)
つまり、文章メインなのに画像ファイルという条件。

■検討した同人誌の販売先

販売先を検討して仕様を確認してみると、

  • BOOTH:任意

  • pictSPACE:任意

  • BASE:任意

  • Fantia:任意

  • DLsite:jpgまたはPDFが推奨

  • Puboo:画像ファイルまとめてzip圧縮してアップロード→自動生成

  • とらのあな:画像ファイルまとめてzip圧縮してアップロード→代理で生成

  • BOOK WALKER→EPUBが必要(自身で作業)※無料変換サービス有

この通り、殆どは必ずしもEPUBである必要はない状態。

それでも敢えてEPUBで頒布することにしたのは、やはり個人的には基本「同人誌はアンダーグラウンド」という見解なので「自分で調べてプラグインやアプリを用意して閲覧できる人じゃないと読めない」状態のほうがいいし、「そのままだと流用/剽窃/盗用できない状態」くらいにしておくに越したことはないと思っているからで、通常はそこまで警戒してないと思う。

■画像→EPUBの変換方法

  1. フリーソフト「LeME」

  2. 「BOOK WALKER」の無料生成サービス

この2つを使用しました。
「LeME」はプロダクトキーを購入すると最後のページの広告を消すことが可能。
ファイル種類や綴じ方向なども指示でき操作性はかなり良さげ。
「BOOK WALKER」のツールはあくまでも「BOOK WALKER」に作品を掲載したい方用なので特にそういった広告を消すプランなどはナシ。

■Amazonは画像化されたテキストは販売ができない

このため、今回の本については改めて別途編集する必要がある状況。
リフロー(画面サイズや読者の見たい文字の大きさ・行送りに端末側で自由に変更可能な形式)で人物カットが入った状態で作る必要があるのでPDFかWordで作成してそれをEPUBに変換するのが良さそう。
いっそ混在するなら秋に出した本とひとまとめにして出したほうがいいかもしれないし。
Wordはあまり好きではないのでPDF作成または直接EPUBを作成できるソフトウェアをそのうち導入しようと思います。
なのでこれについてはまた後日。

■実際に電子化してどうなったか

本編がWEBで連載中の長編だけあって、実は電子化して即売れました。
活動形態的に紙の本で出すよりいいのかもしれないです。
それでも紙の本も引き続き出すので、機会があればイベントにもいらしてください&紙の本の通販もよろしくお願いします~。

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