「ママ、知らない人になんで聞くの?」桑探しの冒険から、息子に伝えたかった情報のとりかた。
もし、桑を探すとなったら。まず何をしますか?
家にカイコさんがやってきました。
カイコといえば、桑の葉っぱしか食べません。私は小学校3年生のとき、カイコを飼っていたのに、桑の葉が見つけられずに死なせてしまったことが!
そのため今回は大リベンジ。息子たちの手前、絶対にカイコを死なせちゃならない!と私が一番はりきっていました。でも問題は、桑の木を見つけること。
私が最初にしたのは、まさかのGoogle Mapで「桑」と検索することでした(笑)
桑の木の場所なんて出てこない・・・!
気を取り直して「桑 葉」でGoogle画像検索してみると、どうやら特徴的な形をしている様子。案外、探しやすいのかも?仕方ないので近所を探してみることにしました。
「さあ、桑の葉っぱ探しの旅に出るよ!」
保育園のお迎えをすませて、いざ自転車に乗って、息子たちと出発!
2歳と4歳の息子たちは「くわ?」と言いながら、有無を言わずに私の冒険につき合ってくれました。
まずは雑木林のある大きな公園へ。自転車をノロノロとこぎながら、私の目線はつねに忙しく、斜め上をキョロキョロと見上げてあたりの葉を物色します。でもさっき画像で確認したような、切れ込みの入った特徴的な形の葉はどこにもありません。
「う〜ん、桑がないねぇ。カイコさんお腹すかせちゃうね」
もう探し始めてから1時間が経とうとしていました。
夕方の18時を過ぎ、暗くなってきて、私の気持ちもだいぶ焦っています。息子たちはお腹をすかせているし、このままだとカイコさんが死んでしまう・・・。
焦る気持ちと戦いながらも、根気よく、雑木林の木を1本1本確かめながら自転車をこぎます。もう自力で探すのはムリかも・・・。
その時、そばの畑で作業をする農家のおじいさんが目にとまりました。あの人なら知ってるかも?私は急いで近づき、勇気を出して聞いてみたんです。
「あの、すみません。このあたりで、桑の木がないか、ご存知でしょうか?うちにカイコが来たのですが、餌がどこにあるかわからなくて・・」
「・・クワ?ああ、桑ね。
あそこに茶色い屋根の家があるでしょう。そこをまっすぐ行くと、細い道とぶつかるから。その交差したところに、1本、桑の木があったな。」
「ありがとうございます・・・!」
おじいさんは「家に帰れば、桑の木があるからあげられたんだけどねぇ」と言い、私たちを見送ってくれました。
私のこぐ自転車は、小道の交差点をめがけて、急にびゅんとスピードがあがりました。よかった、これで桑探しの旅が終えられるかも。はずむような気持ちをペダルにこめました。
そうして、おじいさんの言う通りに行ってみると・・・
あった!あったーー!これが桑の木!
念のためスマホのGoogleレンズで、葉の写真を撮って検索。それは正真正銘の桑でした。ああ、よかった・・・。息子たちはそれぞれ桑の枝を持ち、たくさんの葉っぱを保育園バッグにつめ、安心して家に帰ることができました。
「ママ、知らない人になんで聞いたの?」
帰宅する道すがら、4歳の長男が後部座席から、私に向かってこうたずねました。思いがけない質問に、私は自転車を走らせながら言いました。
「ママね、桑がないかインターネットで探してみたけど、見つからなかったの。それで公園を探したけど、やっぱりなかったでしょう。
そんな時は、もの知りな人に聞いてみるのがいいんだよ。農家のおじいさんは、ママよりずっと木にくわしいからね。あのおじいさんみたいに、知らない人でも優しく教えてくれる人はたくさんいるよ。○○ちゃんも、わからないことがあったら人に聞いていいんだよ」
伝わったのか、伝わらなかったのか?私なりに、4歳にもわかるようにと説明しました。自転車をこぎながらだったので、ちょっと息切れがしました(笑)
息子は「ふうん」と無言になって、この話は終わりました。
息子たちが今後生きる世界がどうなるのか、私には想像もつきません。でも、どんな世界になったとしても、自分で確かな情報を見つけだし、生き抜いてほしい。
私はこの桑探しの冒険で、ネットでは探し出せない情報があることに改めて気づきました。アナログな情報と、ネットの情報を組み合わせることで、情報が確かなものになる。
「ググれカス」という言葉があるように、自力で調べずに人に聞くのは迷惑です。でも調べて、やってみて、わからないことを人に聞くのは悪いことじゃないと伝えたかったのです。
あの日の桑探しの大冒険のおかげで、カイコさんはすくすくと元気に育ってくれました。
2歳の息子もあの日以来「くわ」と「かいこ」を覚えて、かわいがってくれています。私はすっかり、道端で桑の木を見つける名人になりました(笑)
それにしてもこの大冒険、私がいちばん楽しかった!
また息子たちと一緒に、近所を冒険しようとたくらんでいます。
小森谷 友美
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