詩季織々

 しばらく更新しない間に、大変なことが起こりましたね。平凡な日常を送れていることに、日々感謝して過ごしています。

 さて、私の長い春休みももうすぐ終わりです。来週から新学期が始まります。毎年3年生を担当できたら、毎年1〜3月まで休めるのに、今年度から高校の1年と2年を担当することになりました。しかも、1年生は今年度から始まる歴史総合です。楽しみ半分、不安半分ですね。
 この歴史総合の授業準備と、今月末締め切りの論文があったので、大忙しだったのですが、ちょっと疲れたので現実逃避に詩季織々という映画を見ました。

 この映画、『君の名は。』などを製作したコミックス・ウェーブ・フィルムと中国の若手監督が合作で作った映画みたいですね。 
 1時間14分と短い映画で、三本のショートストーリーです。私は『君の名は。』にめちゃくちゃはまったし、中国史のことも研究しているので、いつかは見てみようと目を付けていました。

 まず、この映画の全体を通していえるのは、日本感がつよいっ!ということですね。
 例えば一作目の「陽だまりの朝食」。これは幼い頃の米粉の思い出から描かれていくわけですが、主人公は北京に住んでいて、雨が降っているところから始まります。新海作品でありがちな雨の中のくさい語りがはじまるのですが、北京って本当に雨が降らないんですよね。確かに主人公も、「北京でめったに降らない雨が」みたいなセリフを述べているのですが、日本と比べると信じられないくらい雨は降らないです。私は1年間北京に近い天津に住んでいましたが、雨が降ったのは1年で2・3回くらいです。なので、当時の北京や天津は雨が降ると水はけがわるく、地面がびしょびしょになります。また、ほとんどの人が小さな折りたたみ傘を持ってる程度で、日本人が持つような大きな傘を持っている人はほとんどいません。
 さらに、米粉を食べるシーンでは、調味料に七味のようなものをいれていましたが、あり得ません。いれるなら辣椒油ですよね。
 他にもタクシーの後部座席でシートベルトしてたり、中学の制服にネクタイがあったり、お酒が白酒じゃなくビールとか……。
 中国にいったことない人が作っているんでしょうか?もうちょっと中国について調べてほしかったですね。
 まあ私も、もうしばらく中国に行っていないので、現在の情勢は大きく変わっているのかもしれませんが……。

 最初の2本の内容は正直いまいちでしたが、最後の話は個人的にはなかなか好きでした。この映画は基本的にノスタルジーがテーマだと思うんですけど、ノスタルジーと初恋ってやっぱり相性いいですよね。私はそういう中高での青春をしてこなかったので、ゼロベースで楽しめます。

 最後に余談ですが、上海の石庫門が舞台となっていました。石庫門といえば紹興酒ですね。私の博士課程のときの先生がこのお酒が大好きで、よく一緒に飲ませて頂きましたが、非常にすっきりとして飲みやすい紹興酒です。当然白酒と違ってアルコール度数も日本酒ほどですし、苦手な人も飲めると思うので、ぜひ試してほしいですね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?