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米テスラ、低価格EVの開発中止へ、2.5万ドルEVは中国にどれぐらい?

米電気自動車(EV)大手テスラは、販売価格を約2万5000ドルに抑えたEVの低価格モデルの開発を中止しました。ロイターが報じています。ロイター自身がそこで、この報道によってテスラ株は一時6%超下落したとしています。えげつない。。

テスラのイーロン・マスク氏はこれについて、Xで否定的なコメントをしていますが、2.5万ドル以下のEVは中国ではすでに結構普通で、中国勢との世界規模での競争を踏まえると、テスラがここから撤退する、というのはあり得る話のような気がします。

2.5万ドル、つまり日本円で375万円ほど、中国人民元で18万元前後となります。このあたりの価格帯で中国で相応に話題になっているEVを取り上げてみました。


まずはベンチマークとして、中国におけるテスラです。輸入でModel SやModel Xも中国でも入手できますが、上海生産のものだけ取り上げます。今後人民元表記となりますが、20倍すればおよそ日本円となります。

Model Y

出典:汽車の家

価格:25.89-36.89万元
航続:554-688km
車体:中型SUV 475019241624mm

Model 3

出典:汽車の家

価格:24.59-28.59万元
航続:606-713km
車体:中型セダン 472018481442mm

それでは、2.5万ドル(約18万元)以下の中国EVです。

AION Y

出典:汽車の家

価格:9.98-18.98万元
航続:310-610km
車体:コンパクトSUV 453518701650mm

トヨタやホンダと合弁展開している広汽集団のオリジナルBEV「AION」の主力車です。エントリーは200万円程度。今後ASEAN開拓を急いでいるAIONの戦略車になる見込みです。

漢(HAN)

出典:汽車の家

価格:17.98-24.98万元
航続:506-715km
車体:中大型セダン 499519101495mm

BYDの、それこそModel 3キラー。上位グレードは20万元を超えてきますが、サイズ感を考えればエントリーはお手ごろ。欧州などへの輸出を開始しています。

啓源A07

出典:汽車の家

価格:13.59-15.99万元
航続:515-715km
車体:中大型HB 490519101480mm

中国国有の長安のオリジナルNEVブランド「啓源」。完全な2.5万ドル以下EVで、最近販売開始したばかりですが、中国でも売れるようになってきています。

鉑智4X

出典:汽車の家

価格:17.89-23.88万元
航続:560-615km
車体:中型SUV 469018601650mm

広汽トヨタが、中国であまりにも売れなかったトヨタbZ4Xを自主的に改良したもの。それでもあまり効果が出ていない。。やはりトヨタは中国でもHEV専念の方がよいかも。

極氪X

出典:汽車の家

価格:18.98-22.98万元
航続:500-560km
車体:コンパクトSUV 445018361572mm

吉利(GEELY)によるハイエンドBEVブランド「極氪(ZEEKR)」。初弾は40万元を超える価格帯だったが、第4弾のこの「X」から2.5万ドル程度のEVに。中国市場の価格競争に対応する戦略車。

αT5

出典:汽車の家

価格:15.58-19.98万元
航続:520-620km
車体:中型SUV 469019361650mm

中国国有の北汽のオリジナルハイエンドBEV「極狐(ARCFOX)」。こちらも元々30万元以上のEVを出していましたが、このαT5から2.5万ドル程度のEVになりました。高価格帯では勝負できません。

C11

出典:汽車の家

価格:15.18-20.58万元
航続:515-580km
車体:中型SUV 475019051675mm

中国新興の零跑(LEAP)によるもの。そこまでバカ売れしていないですが、相応の存在感を示しています。Stellantis N.V.から出資を受け、世界展開していく予定です。

哪吒S

出典:汽車の家

価格:15.48-22.48万元
航続:520-715km
車体:大中型セダン 498019801450mm

中国新興の合衆(HOZON)によるブランド。この価格帯でもうすでにModel 3を色々凌駕していますが、実売は苦戦中。ASEANに活路を求め、3ヶ国に海外工場を整備、展開予定。

P5

出典:汽車の家

価格:15.69-18.89万元
航続:480-500km
車体:コンパクトセダン 486018401520mm

中国新興の小鵬(Xpeng)。このP5は全く売れておらず、Xpeng自身も販売伸び悩み。ただ、15万元以下廉価シリーズの展開を発表しており、海外進出も急いでいます。

まとめ

以上のように、中国ではすでに2.5万ドル以下のEVはあふれています。今回紹介したものは、特徴的と思えるものだけで、他にも星の数ほどあります。テスラがこの分野から撤退、自身の強みである自動運転、ロボタクシーに注力、というのは賢明な判断のような気がします。

ちなみに、中国のEVが海外展開を急いでいる様子がうかがえます。これは一方で、できるだけ早く海外のシェアを握っておきたい思惑もあり、その意味ではテスラとの競争になりますが、他方では中国での競争があまりにも激しすぎて、中国勢も海外に活路を見出したい、という思惑もあるようです。

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