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平隊士の日々 元治元年卯月五

元治元年卯月五  


目が覚めたら、布団がかたずけてあり、藤沢がいない。
寝坊したかと思ったが、まだ皆、寝ている。
布団をかたずけ、簡単に掃除をし、道場に向かう。

藤沢が一人、黙々と素振りをしている。
声を掛けると、
昨日の巡察で思っていたより、
新選組が京都の安全の役に立っている。
自分ももっと役に立ちたいとのこと。

僕より、役に立っていると思うが、それは言わない。
二人で、打ち込み稽古をするが、全く、勝負にならない。
そのうち、井上組長が来て、みんなで打ち込み稽古をする。
今日は、森が死番なので、森が最初に飛び込み、皆が後に続く。

朝食、壬生菜のお浸し、味噌汁、漬物、ご飯。

本日の隊務割は賄。
土方副長より昨日の捕り物について、
昨年起きた天誅組の反乱の生き残り、
土佐藩脱藩郷士の澤村幸吉が混ざっており、
京都でも挙兵するところを事前に潰すことが出来、
松平様も大変喜んでいるとのこと。

隊務割の後、井上組長が、
「毎日似たような昼なので、
何か目先の変わったようなおかずはないか。」と聞かれたので、
「湯葉などどうでしょう。」と言ったところ、
「よし、それがいい、任した。」と言われた。
隊士全部の湯葉巻きを作るのは、無理なので、
汲みあげ湯葉と寺町二条にある煮売り屋で、
揚げを買ってきていなりにして、近清のからし菜の漬物といこう。
昼までそんなに時間は無い、皆で手分けして買い物に行く。

六番隊の隊士みんなで、油揚げにご飯を詰めて、
汲みあげ湯葉用の鍋を用意、
藤沢が、
「汲みあげ湯葉だけでは寂しいので、
煮野菜を巻いて食べたらどうだろう。」と言い、
小松菜煮を追加で作る。

昼食、汲みあげ湯葉の小松菜付、いなり、からし菜の漬物。
何人かの隊士は、いなりが足りなくて、ご飯を追加した。

夕食は、凝ったものは時間がかかるし、皆が好きなものと言ったら、
しゃもが良いとのことで、しゃもに京菜と九条ネギの鍋、
煮売り家に昆布巻きと牡蠣があったので、買いに行こう。

しゃもをさばくのは次郎作に任せて、買い物に出る。
牡蠣は人数分あったが、昆布巻きが足らない。
考えた末、不足分は煮魚にして、組長の分にする。
ついでに、明日の朝の分の佃煮も買う。

夕食、京菜のしゃも鍋、昆布巻き、牡蠣煮、漬物、ご飯。
井上組長が、
「わしゃ、煮魚より昆布巻きが良いので交換せんか。」と言うので、交換する。

夕食後、風呂に行く。
夜巡察に行っていた一番隊が暮れ六つ過ぎに戻る。
小腹がすいたというので、握り飯と味噌汁、漬物を出す。
明日が早いので寝る。


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