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平隊士の日々 文久四年(元治元年)弥生二十二

文久四年(元治元年)弥生二十二 


しゃもの鳴き声で暁七つに目が覚め、
布団をかたずけ、掃除が終わった頃、
井上組長が、朝の稽古だと迎えに来た。

組長は稽古が本当に好きだ。
我々の力量が無いのが理由なのだろうが、
隊士と稽古している姿が多い。
そして、良く、試衛館時代を思い出すと言う、 
なんでも、局長や副長、各隊の組長と、
同じ試衛館と言う道場で過ごしたらしい。
朝の稽古は個人の鍛錬が中心で、
午後の鍛錬は隊での鍛錬になるとのこと。

明け六つの寺の鐘が鳴り、
稽古場の清掃を一通り済ましたら、朝食だ。

朝食の後、本日の勤務割が告げられた。
六番隊は当直とのこと、午前中は非番で、
午後は休み、暮れ六つから夜八つ時まで寝ないで、待機する。
夜間の見回りで、応援が必要になった時の為、
当直として待機する、と言うことで、午前中はひたすら稽古。

お昼は軽く食べて、寝る。
しかし、寝れない。

夕食は、また、鍋だが、
なんの鍋だろう見たことのない肉が入っていた。
これからが、長い、夜四つより遅くまで起きていたことが無い。
昼も寝れなかったので、眠い。
井上組長が、眠たかったら、寝ても良いと言っていたが、
これは隊務なので、寝るわけにはいかない。
同郷の治郎作と居眠りしたら、そばをおごる賭けをする。
足をつねったり、正座をしたりして、何とか居眠りをしないで済んだ。
稽古より疲れる、隊務が終わった。

明日はゆっく寝てられるかと思ったら、
普通通りと言われて、すぐ寝る。

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