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アナログアシスタント時代のハナシ:11『どうでもいい虚言癖』

当時のアシスタント仲間のYさんと、メッセージのやりとりしたら色々思い出してきました♪  Yさんに言われて「そうだったんだ!」って事実もあったりして…( ´艸`)当時の記憶をすり合わせると、けっこうなキャラを忘れていました(;'∀')これを忘れているって私…というか相手にしてなかったんだな・・・

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今回は、めずらしく女の痛いアシスタントの話 前編です。(長くなった)

Fさんは私よりも7歳くらい年上で、デビューはしてないのですが、別の先生からの紹介で風俗系の雑誌に風俗体験記を半ページ(1ページの半分のサイズ)の仕事を貰い、月に1度かな?描いている人でした。

長い間レギュラーのアシスタント先があったので、トーンを削れるという技術は少しあるですが、描きものに関してはやってこなかったんだなぁという人でした。

のちに、彼女が辞めて、代わりに入ったプロアシのおっちゃんが言うには、彼女の元アシ先は大御所先生で、10人以上のスタジオでアシの人数が多いので、下手でも遅くてもある程度は許されちゃう仕事場だったらしい…(おっちゃんの飲み仲間がここのスタッフ) でも、長い連載が終わって、使えない人は全部切られるって訳。

彼女は太ってはいるものの(人の事は言えた義理ではないですが(;'∀'))、かわいらしい声とかわいらしい顔と、天真爛漫な明るさで、好きな人は好きなんじゃないかと思うのです。

ただ、とても空気が読めないのと…無駄にはしゃぐので、苦手な人は苦手だと思うし、技術もないのに妙に上から目線で偉そうなことを言うので…どうしてこうなるかなぁという残念な人でした。

やっぱり投稿作を描いてない人は高飛車で上から目線で話して、業界を知ったつもりで語るという共通点は女性にもあるのかも・・・。

 なにか果てしなく大きく勘違いしている Fさんは、我々と自分を同列扱いしていたようです。特に、Yさんには「私【たち】漫画家は~」と、上から目線で偉そうに語ってたらしいのですが…デビューもしたことないのに、Yさんと自分一緒にすんな!💢(笑わせんな!図々しい!私よりキャリアのある人だよ)…と言うくらいに、己が見えていない残念な人でした。

どうやら当時、同人誌仲間のお友達(会社員)の家に居候していたようなのですが、どうも話からするとお友達は、彼女に出て行ってもらいたがっているようで・・・

初対面で知り合って数時間の私に、気軽に同居を申し出たり、近くもないYさんの家に遊びに行ったり、若い男の子のアシスタント仲間に、好き好き攻撃で(告白する勇気はない)妙にはしゃいだり…・・うーん…人との距離感の取り方が解らないんだろうなぁと思っていました。

そして、虚栄心がとても強いので自分は何でもできる!何でもしっている!という態度なのに、何も出来ないし何も知らないので、こりゃこれまでも相当いじめられてきたんだろうなぁと言う印象でした。

例えばね、先生の指定で「ここにバラの花の入った花瓶を描いて」に対して「バラの品種はなんですか?」…と、上から偉そうに自分でハードルをあげちゃうの(-_-;)でも、仕上がりを見せるともちろん、品種の描き分けどころか、バラ自体も描けてない…すっごい下手なんだよね・・・・何の虚勢?

これまで投稿してきて、持ち込んだ会社でも お話はいいんですけど、絵が… なので、原作をやらないかと言われて、何度も原作者デビューを断ったというのだが・・・彼女の普段の会話や言動からすると、とてもストーリーだけでも欲しいと編集さんが言い出すような魅力的な話を考えられるようには見えなかった。(言っていることが支離滅裂で通じない事も多い)

それにね、絵が下手だとしてもストーリーが良かったり魅力的だと下手なのって気にならなくなるし、そこはマンガとして重要じゃないんだよ。技術や絵はもちろん、いいに越したことないけど…編集さんは絵の描けない人も多いので、正直言うと絵が上手いか下手なのかは感覚の問題にしている人も多い。

逆にプロが見て、相当絵の上手いと思える人でも地味だったりすると、この作家は絵が下手だけど話がいいから売れているんだろうと、思い込んでいたりすることもあるのだ。(天下の大御所先生を下手呼ばわりした出版社社長の話を聞いたことあるよ。お前の会社にどんだけ貢献したと思ってるんだ!)

でも、この点はなんだか哀れだったので、そういう嘘をついてずーっと言い訳してきたんだろうなぁと思って、「へぇ~」と言って聞き流していたのだ。言っておくけど、言い訳している時点でデビューなんか出来ないからね?

男慣れしてないので、彼女より10歳以上年下の若い男のアシスタントであるDくんが好きで好きで(;'∀')妙に彼に媚びていたのですが・・・(Dくんはアシスタント業界には珍しいオシャレ男子で背が高かったのだ…)

運の悪い事に、Dくんは彼女もいるし、彼は自分よりも仕事が出来て、頭のいい大人の女が好きなので(本人談)・・・よりによって、生理的に一番受けつけないタイプのようでした(;'∀') ←イライラさせていた…

彼に見せようと思ったのか、仕事場にチューブトップの服と超ミニのデニムで現れて…40歳過ぎで、このコギャル風の服はさすがにイタイとは思ったけど…もちろんこれにはDくん、ドン引き(;・∀・)

原作デビューを何度も断ったくだりでもわかるように、彼女はどうも普段から虚言癖があってちょいちょい細かい、どうでもいいような…嘘つく必要あるのか?と思われる嘘をつくのです(;'∀')

私は趣味でパンを焼くのですが、料理上手でもないし、特別女らしくもないし(怒ると江戸弁でべらんめい口調だし…)ただ、パン焼き体験をして以来、夏場になると時々作っていたのです。(一日体験大好きなんで)

仕事場の先生の夜食がいつもコンビニだったので、パンも多くて…だったら!と思って、先生の為に夜食用のパンを大量に焼いて持参しました。(他の仕事場にも持参していたしね)コレがそのパンです(≧▽≦)
もちろん先生は大喜び( ´艸`)

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すると、Fさんは自分も普段からパンを焼くのでいつもイースト菌を冷凍庫に常備しているというのです。この時、私は「イースト菌って生きているから冷凍したら死んじゃう…」と思ったけど…何か特別な方法でもあるのかなと思ったのでした。

私が使うのは顆粒タイプの個別包装になっている市販の安いベーキングパウダーで、小麦粉は弟の友人からホテル用のパンを焼くためのものを20㎏分をもらってて、冷蔵庫に小分けにして保存していたので、彼女にもそれをひとつあげたの。

すると、次の仕事の時に彼女が、今回パンを持ってこようとしたけど、ベランダに出していたら同居しているお友達の犬が食べちゃって失敗したと言い出した…。

「え?パンって天日干しするわけじゃないよ?」

私の言葉に困って笑いながらごまかそうとして顔を引きつらせている彼女がいました。この時にああ・・・やっぱり嘘だったのかと気が付きました。パンぐらい誰でも簡単にできる!という私へのマウントしたかっただけなんだ・・・なぜ夏場のベランダが発酵に適しているのかという意味も解ってないようなので、おそらくパンは焼いたことは一度もないのでしょう。

なんでこんな嘘をわざわざつくのか意味がわかりませんでした。

Dくんに対してのアピールだったのか、私へのマウントだったのか知りませんけど、自分に過剰な能力があって、自分は仕事もできるんだというアピールを常にしてくるんですが、技術的にも出来ないことだらけ…

出来ないなら大口たたかなきゃいいだけだし、自己顕示なんかしなくていいはずなのに、出来もしない事をまるで自分が有能であるかのように振舞うので、アシスタント先の先生からすると、こんな迷惑なアシスタントはいないのです。

虚栄心が強すぎるんだよね…

私はアシスタント始めたころには出来ないことも多くて、描けないものも多いし、下手だったりするので、技術獲得のためには自主練習を何枚もしたの。

ベタフラッシュとトーン削りが、ものすごい上手い友人がいたので、彼女に教わり、家で何十枚もベタフラッシュを練習したので、今となってはアシスタント先の先生が、他の連載作家さんから「あなたの作品の中のベタフラッシュを参考にしてウチのアシスタントに頼んでる」とまで言われるほどの出来になったのだ。だって、本当に練習したもん。

トーンも当時は高価すぎて買えなかったけど、アシスタント先の先生がグラデーションのトーンを使って出たグラデーションになってない薄い部分のトーンを処分するというので、お願いしてもらってきた奴と、自分で買ったトーンで(先行投資)何枚も練習した。今となってはデジタルなので削る技術は必要なくなってしまったけど、当時は必要だったので、背景が描けないならせめて技術を!と思って家にいる時間は毎日練習した。

背景だって、プロアシさんのスゴイ背景のコピーをもらって勉強したし、本も買った。実際に実践していくと腕は上がったので、この頃には最終話の見開き背景も任されたりした。

それでも、私は彼女のように自分は何でもできる!なんて言えない。だって、すごい人は本当にすごいし、先生の好みもあるし(実際に、この仕事場の先生は私のベタフラ気に入らなかったみたい)自分の能力をこんなふうに過信なんて出来ない。←自分より上手い人なんて死ぬほどいるじゃん…

彼女は長い間お世話になった先生の仕事場でも、ものすごい背景やメカを目の当たりにしているはずなのに、何も勉強しようともしてこなかったんだろう。こんなビックチャンスを貰いながら、自己過信に満悦して、何度も注意されて出来ないことの方が多かったはずなのに、出来ない自分と向き合ってこないまま40歳を超えていたのだ。

彼女には謙虚さがなくて、自分の能力への過信がひどすぎて、人から信用されないという図式が出来上がっていたのだ。

長くなりそうなので、後編に続きます(つд⊂)


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