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【読む】若い読者のための経済学史

経済ってなんだろう。

現代社会を動かしている1つの力学であることはまちがいないとしても、その本質について考えたこともありませんでした。でも、いまの社会を形作っている大きな要因として経済の仕組みがあるなら、ちょっと知ってみたいぞとむくむくと興味が沸いていたのです。そして経済を学ぶための学問が経済学なら、それがどういう経緯で生まれ、どのように発展してしてきたのかの歴史を学ぶことで、経済についてもう少し理解を深められそうです。

そう思って手に取ったのが本書。

初学者のぼくにとっては、最高に刺激的な読書体験ができて大満足です。

本書は、経済そのものの「起こり」から、時代ごとにチャプターを区切って、経済学史や思想史のスーパースターたちにももちろん触れながら、時系列順で一気に歴史をまくっていく構成になっています。ところどころで経済理論にも触れますが、難しい数式は一切抜きで、あくまで経済学「史」を紹介することに徹底しています。大きな大きな物語のなかに理論の紹介が位置づけれられているので、「なるほどあの話は、こういう文脈のなかから誕生してきたのか」とそこに必然性を(理論単体で理解しようとするより)感じることができるので、そういう読書体験は贅沢でしたね。

私がワクワクしたのは、一番最初の経済の「起こり」の部分です。そう、いきなりクライマックスです笑。
最初の経済革命は1万年以上前に起こりましたが、そのトリガーは何によってひかれたのか、という話です。そして、それが「農業」であるということです。
農業によって人々は、

・移動せずにその土地で生き延びていける人が増えた(土地という概念もここで生まれた?)
・人々が寄り集まって村が生まれ、文明が生まれた
・自分が食べる以上の量の作物を生産できるようになった。余剰が生まれた。
・つまり、自分で食べるものを必ずしも自分でつくる必要がなくなった。
・食物を保管できるようになり、それを管理するために文字が生まれた。
・税の徴収がはじまった。

などなど、現代社会にも残っている様々な経済的な仕組みの運用をはじめています。
この「起こり」としての農業について、より興味が湧きました。

ぼくも自分で食べるものを自分でつくれない人だし、ほぼ全ての都市生活者がそうでしょう。はるか昔に農業によって「起こった」経済の仕組みの中で捉えていくと、自分たちの立っている場所が決して普通ではないということを感じることができましたね。
自分で食べるものを自分で作れない人も、「食べ物をつくる」ということを知らないでいいわけではないと自戒も込めて思いました。生活のなかで目に触れないものから、人は思いを馳せなくなりますよねー。

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