「金価格の上昇はどこまで続くのか?— 新興国の中央銀行と個人投資家が支えるゴールドの未来」
2024年の夏、ゴールド(金)価格は歴史的な高値を更新し、世界中の投資家の注目を集めています。ニューヨーク先物市場では、金価格が初めて1トロイオンス2500ドルの大台に乗せ、その上昇の勢いは止まる気配を見せていません。
この状況は、中央銀行の大口買いや、世界中で広がる個人投資家の小口投資によって支えられています。
本記事では、金価格の上昇要因を整理し、今後の価格動向について考察します。また、米国と中国という世界経済の二大国における自国経済や通貨への不安が、どのようにゴールド市場に影響を与えているのかを探っていきます。
1.金価格の上昇要因
まず、金価格がここまで急激に上昇している背景には、いくつかの要因が重なっています。
中央銀行による大量購入
1つ目は、中央銀行による大量購入です。
ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)の報告によると、2024年の1〜6月期に中央銀行が購入した金の量は483.3トンに達し、このペースで年間1,000トンを超える可能性があります。
特に、新興国の中央銀行が「米ドル離れ」を進め、金を代替資産として選んでいることが、金価格を押し上げる要因となっています。
個人投資家の増加
2つ目は、個人投資家の増加です。特に中国では、1粒1グラムほどの「金豆」と呼ばれる金製品が人気を集めています。
若者たちが毎月1粒ずつ購入するという草の根的な投資が広がり、金の現物需要が急増しています。
上海黄金交易所(SGE)では、2024年6月の1日平均売買高が前年同月比で4割以上増加しており、中国国内での金への関心が高まっていることがわかります。
また、米国でも金への関心が高まっており、会員制量販店コストコが販売する1オンスの金の延べ棒が人気商品となっています。こうした現象は、低所得者層からも金投資への関心が高まっていることを示しています。
2.米中経済の不安がゴールド市場に与える影響
金価格の上昇を支えるもう一つの大きな要因は、米国と中国における経済的な不安です。米国では、インフレや金利政策に対する不透明感が投資家の間で懸念されており、これが金価格を押し上げる要因となっています。
特に米連邦準備理事会(FRB)の利下げ動向が市場の注目を集めており、金利が下がることで金の魅力がさらに増す可能性があります。
一方、中国では、不動産不況や株価の低迷、人民元の対ドル安が続いており、国内での投資先が限られていることから、金が安全な投資先として選ばれています。
さらに、海外投資への規制が厳しくなっているため、富裕層から若者までが金に資産を移しているのです。
3.金価格はどこまで上昇するのか?
それでは、金価格はどこまで上昇するのでしょうか?
JPモルガンやシティグループといった大手金融機関は、今後も金価格が上昇し続けると予想しています。
JPモルガンは2024年10〜12月期の平均価格を1トロイオンス2650ドル、2025年1〜3月期の平均を2700ドルと見込んでいます。
また、シティグループは2025年半ばから後半にかけて、金価格が2800〜3000ドルに達する可能性があると予測しています。
この予測の根底には、米国の債務膨張によるドルの信頼性低下があります。
どの政権が政権を握ったとしても、米国の財政赤字問題は解決が難しく、長期的にはドル安が進行する可能性があります。
これが、金の需要をさらに押し上げる要因となるでしょう。
4.最後に
金価格の上昇は、中央銀行や個人投資家の動向に加え、米中の経済的な不安によって支えられています。
今後も金価格が上昇する可能性は高いですが、その道のりは一筋縄ではいかないかもしれません。
市場の動向を注視しながら、金投資を検討することが重要です。
これからも、ゴールド市場の動きに注目し、適切な投資判断を行うための情報を集めていきましょう!
本記事は、日本経済新聞の記事「通貨不安が映すゴールド最高値 世界の個人が投資」(https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB211NY0R20C24A5000000/)を参考にしています。
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