2016熊本地震後 避難生活対策

熊本地震後、私達は車中泊での避難生活を選択しました。
悲しいことに、車中泊中にエコノミー症候群になって亡くなってしまった方もいらっしゃいましたが、それでも車中泊を止める人は極少数だった。
その時政治家が「エコノミー症候群にならないように家に帰って」的な発言をしていたけど、蒲島知事が「それができないから車中泊してるんだ」と県民の心情を代弁してくれました。

あのときの「帰宅できない」というのは、家が崩れてしまったという物理的な問題がある人はもちろん、また揺れるかもしれないという心理的な問題を抱えている人がいました。車中泊にはエコノミー症候群や窃盗等、リスクが多いことも理解してます。でも止められなかったのは何故か。

『前震が来たあとこれが本震だと思って、完全に元通りとはいかないけれど家をきれいに片付けた。頻繁に余震も来るし、大きく揺れた恐怖は残ってるけどたぶん週明けにはきっと元通りの生活になるだろう…そう思って疲れ切って寝た直後にきた本震。前震を超える揺れで元通りにした家が昨日より破壊され、前震では大丈夫だった家が傾いたり、古いビルが潰れたりした。熊本城も阿蘇神社も大橋までも崩された。昨日の片付けは何のためだったの?という怒りと悲しみが堪えきれなかった。
私の場合ですが…『2度あることは3度あるって言うじゃない。昨日もこれが本震と思ったら前震だったじゃない。じゃあまたいつ来ても大丈夫なように、建物の中には入らないでおこう。片付けも落ち着いたらでいい。』
こういう心理でした。完全にトラウマです。

なので屋内である体育館メインの「避難所に行く」という選択肢は無し。ということで、4月27日まで完全車中泊しました。その後電気や水道が復旧していったので日中は家→夕方公園に移動して車中泊を10日間。日中明るい内に家の片付けをしたりして屋内滞在を増やして、徐々に家への恐怖心を無くしていった。その後避難先の公園に来ていた自衛隊の仮設お風呂が5月5日に終了するのを切欠に、やっと家の中で寝られるようになりました。

震災後のライフラインの状態と生活、車中泊で活躍したものや逆に要らなかったものを書いていきたいと思います。

電気

比較的早く復旧するけど、それでも2・3日は電気無しを覚悟。
よって、冷蔵庫・炊飯器・洗濯機・エアコン等は使用不可。もちろん携帯の充電器も使えない。水と電気を大量に使う洗濯は当分諦めるくらいの気持ちでいたほうがいい。市外のコインランドリーに数時間位かけて行く人はいたけど、車と時間と気持ちの余裕があればの場合だと思う。

【対策等】
・クーラーボックス
冷蔵庫にあった生の食品類は保冷剤と一緒に早めにぶちこんで、1・2日で食べきる。食品が空になっても、飲み物や薬類・スプレーやボンベなど熱に弱いものを入れておけば物入れにもなるし椅子にもなるし、まな板にもなる。
・モバイルバッテリー・シガーソケット充電器
スマホでの情報収集や家族知人との連絡は不可欠。iPhoneの場合は低電力モードにして節電。余震が多い時期は地震情報がバンバンはいってくるので充電が結構減る。私は車で充電できたので困らなかったけど、体育館へ避難した人が「充電用電源は命がけの争奪戦だった」と言っていたので、対策は充分に。

水道の復活は地域によって差があるけど最短1週間、最長1ヶ月。でもこれは地下水で水道を賄っている水の都熊本の話なので、いい意味でも悪い意味でも他の地域には当てはまらないかもしれない。
水やお茶がどこもかしこもことごとく売り切れ。コンビニにはジュースしか無い。通りすがりのおばちゃんが「しょうがないけんこれでご飯炊こう。土鍋で」と言って自販機でコーラを買っていた。

熊本は湧き水が豊富な土地なので、近くの水源に水を汲みに行くことができる。給水車が本震後すぐに各避難所に配備されていたので(長蛇の列だったけど)飲水は早めに確保できた。
それでも量は限られてくるので生死に関わらないような、体を清潔に保つための水(歯磨き・洗顔・入浴等)は極力少なくしたい。

入浴は、水が出るまでは本震後1週間くらいして公園に来てくれた自衛隊の臨時お風呂に2日〜3日に1回くらい行っていた。ご近所さんやママ友など、全裸見せるには勇気がいるような人たちがたくさんいるので勇気を持って行きましょう。タオルだけあれば、ほかは完璧に揃ってました。大きなビニールプールの温かいお風呂は、疲れた体を癒やしてくれる天国でした。本当に気持ちよかった!

【対策】
・歯磨きは液体のマウスウォッシュで代用。歯ブラシ洗ったりうがいしたり…という水がないので、水は紙コップ1/2杯以下で済ませられるように調節。
・パスタや袋麺のような大量の水がないと作れないようなものはNG。優雅で楽しいキャンプじゃないので、震災時はゴミでしか無い。防災グッズに入れてるなら今日今から全部食べてしまっていいくらい要らない。
・食器類は洗えないので、なにか食べるときは食器をラップで包んで汚れないように対策する。もしくは、食器を使わない。袋に入れたまま手掴みが最高。

【揃えておきたいもの】
・ウェットティッシュ 水タイプ・アルコール入除菌タイプ
あればあるほど助かる。うちは合計12パックほどあったけど余らなかった。本当は自分の家族分だけあれば充分だけど、震災時は周りの人との助け合いが大事。困っている人がいたら1パックやるくらいの気持ちで。自分も足りない物を分けてもらうことがあるもんね!
・液体マウスウォッシュ&歯ブラシ
歯磨き粉はいりません。使う水を減らしましょう。不快だけど死にません。
・タオル類
たくさんいる。バスタオルは布団代わりになるし日よけにもなる。車中泊時の目隠しや座布団・枕代わりにもなる。洗濯はできないから汚いんだけど、だからこそ持てるだけ持っていったほうが良い。

ガス

都市ガスが一番遅い。料理はもちろんできないし、風呂も沸かせない。
プロパンガスは、その時ボンベに入ってる分が無くなったらおしまい。使用するときはガス管の破損等が無いか確かめてから使用すること。
「ちょっと汚れたくらいで死なない」という気持ちで、お風呂は諦める。私はお風呂に入ってるときにまたでかいの来たら全裸で逃げることになると思ったら、しばらく入る気にもなれなかった。

【揃えておきたいもの】
・カセットコンロ&ボンベ・ちょっと深い蓋付きフライパン
一番重宝したかもしれないていうくらい日々の食生活を支えてくれた。冷蔵庫の在庫を適当に炒めて数日は食べられる。使う場所は人が少なくて風のない場所で。



その他いろいろ

・洒落たバック等いらん。非常用持ち出し袋とかわざわざ書いてあるやつじゃなくてもいい。家にある、一軍落ちしたデカめのバックでいい。両手が使えるリュックだともっと良い。

・携帯は長いストラップをつけて首から下げておくのが便利だった。紛失防止にもなる。みーんな同じような携帯もってるので目印にもなる。

・洗濯カゴや買い物かごのような大きめのかごがあると整理整頓しやすい。
私は2つ家から持ち出して、食に関するもの・衛生用品・大事なもの…等カテゴリー分けして入れておいた。かごの上にバックに入れた衣類やタオルをおけるし荷崩れもしない。

塩、ふりかけ
ごはんは支援物資などで意外と手に入る。ただ味がほぼない。これがあるとちょっと子どもたちも幸せ感じる。塩は、おにぎりはもちろん冷蔵庫にあったきゅうりを塩もみして日持ちさせるのにも重宝した。日中片付け等重労働してくる方々の熱中症予防にも。

ビタミン剤
効果があったのかはわからない。でも缶詰やインスタントものばかり食べているとやはり健康面が心配になってくる。これを飲んどくとちょっと落ち着くというか、安心すると言うか…プラシーボ的な。
マルチビタミンを一袋持っていたので、近くにいるおばちゃんたちに毎日配っていた。元気だして乗り切ろうね〜って。

果物ナイフのようなカバー付き小型ナイフ
停電状態の冷蔵庫の中身が鮮度を保てるのってたぶん2日もない。なのでそれぞれの家庭にある在庫を消費しまくらないといけない。硬い野菜や肉・魚は切らないといけないので、1日目は手でちぎって炒めたりしていた。3日目くらいに余震のすきをついて包丁をとりだしたけど、普通の包丁は危険すぎるしでかい。「果物ナイフくらいが丁度いいね〜」と言いながら使っていた。まな板はかさばるけどあったら便利。私達はクーラーボックスの蓋で代用した。

・お菓子、飴
子供がいる家庭にはあったほうが良いと思う。精神安定剤のようなもの。
チョコやキャラメルは溶けるので避けて、個包装されてるクッキーみたいなのがおすすめ。カントリーマームとかマジ最高。ショックで食欲失う子もお菓子なら食べられたりしてカロリー補給できる。栄養とか言ってる場合じゃない。何か食えれば良し。

・ラップ、ジップロック、ビニール袋
食器に巻いたり食べ残しに蓋したり、とにかく重宝するラップ。小さいサイズで良いと思う。ジップロックやビニール袋は、食品入れる以外にも濡れたくない小物類入れたりするのにも役立つ。

・薄いテーブルクロスみたいな広い布、ひざ掛け
意外に車中泊期間一番活躍したかもていうくらい重宝した、ズボラな私が買ったあと車に置きっぱなししていた3枚のインド綿テーブルクロス。寝るときの布団代わり・目隠し・日除け・風呂敷代わり・レジャーシート…etcあってよかったと本当に思う。薄手だからかさばらないし風も通してくれた。
1枚は水と物々交換みたいにして友人にあげたんだけど、避難所でも間仕切りや荷物隠しなどで使えたようです。

・銀の断熱材入ったシート
正式名称がわかりませんが、よく弁当袋の内側に張ってある銀のアレです。なぜ私の車にあったかというと、贈答用の冷凍馬刺しを買ったときに巻かれていて、それを剥いで中身だけお渡ししたときにそのまま車に置きっぱなしにしていたからです。1.5m×1.5mくらいありました。
窓からの日差し除けになるし寒い時は体にかけるとホカホカ。体育館であれば、クッション代わりに下に敷いてもいいし。食品類を防温してくれるのにも大活躍してくれました。


今日のところは以上、健忘録としてざーっと長文を書き連ねてみました。
阿蘇山噴火のニュースを見て、またいつどこで地震が来るかわからないなと思いました。二度と経験したくは無いけれど、それはこちらが選べることじゃないので対策と情報は常に取り入れていきたいです。

いつかなにかの役に立ちますように。

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