インフルエンサーからアイドルへ

現在、SNSを全くしていないアイドルは存在するのだろうか?

アイドルにおいて現在、SNSは必須事項と言っても過言では無い。基本的にアイドル一人一人がTwitterやInstagramにおいてアカウントを持ち、またそうではなくてもグループ単位でアカウントを持つ。

また、インフルエンサーと呼ばれる人達がアイドルをはじめるといった事例も多々あり、SNSにおけるフォロワー数やいいね数はそのアイドルのステータスのひとつになりつつある。


話は少し変わるが、顔が少し可愛ければある程度のフォロワー数やいいね数は稼げる。いわゆる"インフルエンサー"になることが出来るのだ。コメントやリプライでは肯定のコメントが多く来るであろう。時に批判のコメントが来たとしてもそれが気にならないくらいの"肯定感"が満たされるのではないか。ではそんな中でなぜわざわざインフルエンサーからアイドルという道を選ぶのだろうか。


1番に挙げられるのはアイドルという職業に対する憧れだ。今現在の10代~20代は、AKBや乃木坂などを小さい頃から見てきた世代で、可愛い衣装を着て歌って踊るということに対する憧れを抱いたことのある人は、多くいるのではないだろうか。地下アイドルという、アイドルになることが身近になった今において、ある程度のフォロワー数のいるインフルエンサーにとってはアイドルになることも簡単に実現できる"夢"なのだ。

しかし、私がぜひ声を大にして挙げたい理由は別にある。

インフルエンサーは、SNSで満たされる承認欲求では満足が出来なくなったからではないか?

自らの自撮り写真を挙げ、それに対するいいね数の多さやコメント・リプライでの賞賛、またフォローしてくれる人達。もちろん最初はその増えていく様子に喜んでいたに違いない。

しかし、その状況が当たり前になってくると見えてくるのは、自分のようなインフルエンサーが多くいることや、また自分よりもそのようなステータスが高いインフルエンサーの存在だ。今まで200いいねで満足出来ていたものが、1000いいねでも満足できない。それにSNSでは顔が見えない。もちろん、自分自身の写真をアイコンにしている人もいるだろう。しかしそうではなく、そのいいねをしているアカウント一つ一つが実体を伴った人間であるのかを本質的に理解することは出来ない。それはSNSの利点でもあり欠点でもある部分だ。

そうなってくると、やはり欲しいのはリアルに存在する人間からのリアルな賞賛であり、それを実現させるのに最も手軽な手段がアイドルだ。

現在のアイドルは────コロナ禍においては別だが────基本的に観客の前で歌って踊り、さらには接触などを目的としてコミュニケーションを行う場合もある。自らを好きだという人が自分の歌やダンスに湧き、またコミュニケーションを通して自分を好きだということを常に伝え続けてくれる。そこでリアルな人間から自己肯定感を高めることが出来るのだ。またさらに、自分への好意が金銭となって分かりやすく現れる場合もあり、経済的にも承認欲求を満たしてくれるのだ。


また、今までSNSで反応してくれていた人達の顔が見えないと感じていたとしても、実際に自分のファンに会うことによって実体を伴っている実感を得ることが出来る。

だからこそインフルエンサーがアイドルになっていく現象はとどまることを知らないのだ。

しかしまあ、このような説を綴ったからと言って決してインフルエンサーからアイドルになることを否定している訳ではなく、元インフルエンサーのアイドルの中でも魅力的なアイドルは沢山いる。むしろ好きなインフルエンサーがいる人々は、彼、彼女たちがアイドルを始めることで実際に会えることを楽しみにすればいいのだと思う。

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