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遠くの人を思うとき

会いたくとも、もう会えないだろう人が
たくさんいる人生だ。

お互いの生まれた国に帰るために別れた人。
貸してもらった漫画だけが手元に残った人。
あんな一言が最後だなんて思わなかった人。
バイクの後ろから見た、襟足ばかり思い出す人。
マフラーを一緒に巻くほど近くにいたのに、もう今は隣にいない人。

別れが自分からでも、相手からでも、どちらでもなくとも。
悲しくもなく、締め付けられるほどには苦しくないけれど、
あんなにどうでも良かった日常が思い出されてならない人たち。
触れはしなくとも、確実に体温を保ったままの横顔が見えた。
元気かなともう祈ることしかできないけれど。

もう会えないであろう人を想う時
miss youとはよく言ったものだ。
咄嗟に言った言葉
出会った年齢
どうしようもない誤解
お互いの性別
その時に持っていた価値観
出身国
目の前のあなたをじっとみつめられなかったこと
何かが決定的に間違ったからこそ、会えなくなったのかもしれないんだよなぁ。

会いたくとも、もう会えない人が
たくさんいる人生だ。
だからこそ、たくさん思い出していこうとする人生で良いことにした。
そう決めてしまおうと思って、
思い出す意味を決めた。

あの子元気かな、私がそう想う時、
相手にちょっと元気が宿ることにした。
すこしだけ、そう決めた。

祈りは一方通行だから、
思い出す意味が欲しいだけかもしれないけど、
人生は結局どんな思い出が欲しいかだと思うから。


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