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瞬きを見つけ出す星

星を描いて。

そう誰かに頼んだら、描かれるのはきっと五角形の星だろう。ある人は線を繋げて。ある人は角を繋げて。それはいずれもカクカクとした図形だろう。その図形を言葉の通じない異国の人に見せても、それをきっと現地の言葉で『星』と呼ぶだろう。

宇宙に浮かぶ惑星は優しく丸い。でも、丸を描く人なんていない。当たり前のように、人の頭に浮かぶ星は五角形だ。小学校の理科の時間、丸い惑星の写真の隣に大量の五角形を描き連ねていた。それぐらいには、そのことが気になっていた。

いくつもの星の夜を跨ぎ、いくつかの国で星を見た。そのどれも光っていた。いやあれは光っていたのではないんだと、知っている。確かに星はキラキラとしているんだけれど、それはゆらゆらと揺れて、どこか不安定で、歪で...瞬いていたんだった。当たり前のことを頭の中で反芻すると、思考は時代を飛び越える。そして気づく。惑星は太陽の光を反射し、地上という果てしなく遠いところから見たときに『星』になり、『瞬く』という言葉もそこから生まれたのだと。人が自然と星を五角形に描くのも、星が瞬くものだったからだろう。

足元の地球を『地球星』とは呼ばないし、手の届かない離れた憧れの人を『スター』と呼ぶ。

見られている場所によって、星は概念を得たり、失くしもする。

星にまつわる全てを、人類は星の光を浴びながら見つけて、言葉に落とし込んだ。ゆらゆらと揺れる綺麗なものがいつでも見えていた時代はきっと、それによって言葉が生まれるほど豊かだった。


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