「は」と「が」はやっぱりうまく説明できない。

N4クラス最後の授業での質問

A:誰か手伝ってくれませんか。
B:私がお手伝いします。

「これはどうして「私」なんですか」と聞かれた。これはいわゆる「総記の」であるので、そのような状況を言い、説明した。なんとなくわかってもらえたような感じではあったが、すっきりはしていないようだった。

授業が終わってから、そして今朝も考えていたが、やはりこの「は」と「が」は難しい。

新情報・旧情報、焦点が前件にあるか後件にあるか、大きくかかるか小さくかかるかなど、説明はいろいろある。多くの人が考えてきたことなので、ネットに蓄積されている情報も多い。だがしかし、このような説明を日本語だけの説明で学習者は理解できるのであろうか(こんなことを書くとその能力がないのを露呈しているような気もするし、媒介語での説明はできない)。

以下は学生に練習付きで送った説明(学生に送ったものにはベトナム語を多少つけている)。厳密にいうと説明ではなく解説になっている。また学生に送ったものには学生Fと学生Gの部分は記述していない。

〇 「は」と「が」にはいろいろな意味がありますが、ここでは授業で質問があった使い方を説明しています。
 
〇 まず次の例文を見てください。

(Aは先生、Bは学生です)
A:誰か手伝ってくれませんか。
B:私お手伝いします。(「が」を使って、手伝うのは「私」だということをはっきり言っています)
C:私手伝えます。(「手伝える」という事実を言っています)
D:私大丈夫です。(私の状態が「大丈夫」、手伝える状態だということを言っています)
E:私手伝えません。(「手伝えない」という事実を言っています。否定のときは「は」を使うことが多いです)
*この場合の質問は「誰か手伝ってくれますか = 誰か手伝うことが可能かどうか」を聞いているので、「私は手伝いません」(「手伝う」意志を否定した言い方)は使えません。
F:先生、Gさん手伝ってくれると思います。
(「Gさんは」とした場合は「Hさんも・・・」と続く可能性がある。「Gさんが」とした場合は「ほかの誰でもないGさん」と言うことになる)
G:先生、この中で手伝ってくれるのHさんだと思います。
(この場合のこの言い方、いわゆる強調構文では「のが」を使うのは不自然。「のが」をつかうと焦点が前件、つまりは「手伝う」ことに当たる。求められている答えは「誰が」であり、「何を」ではない)


〇 練習があるので、やってみてください。(  )の中には「は」、「が」のどちらか1つが入ります。練習2では「も」をつかうところもあります。
 

練習1(Aは先生、Bは学生。今教室で話しています)
 
A:誰か手伝ってくれませんか。 誰もいないんですか。Bさん( は )どうですか?
B:すみません。私( は )手伝えません。Cさん( は )このクラスで一番親切(いちばんしんせつ)なので、Cさん( が )手伝ってくれると思います。
A:そうですか。じゃ、Cさん、お願いします。
C:すみません。私( は )手伝いたくないです。
A:そうですか。Cさん( が )だめなら・・・
D:先生!! 私( が )お手伝いします。/私は手伝えますよ。
A:え!? Dさん( が )手伝ってくれるんですか。うれしいです。ありがとうございます。 びっくりしましたね。Dさん( は )手伝ってくれないと思っていましたから。

練習2(お皿を割った人をさがしています)
 
A:Bさん、あなたがやったんでしょう。
B:違(ちが)います。私( は )やっていません。
:じゃ、Cさん、あなたですか。C:いいえ、私( も )違います。
A:じゃ、Cさん( は )お皿を割った人がだれか、知っていますか。
C:いいえ、知りません。
A:Bさん( は )知っていますか。お皿を割った人( は )誰ですか。
B:私( は )知りません。
A:じゃ、Dさんしかいませんね。あなた( が )やったんですか。
B:すみません。私( が )やりました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?