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子どもを車から降ろし忘れる事故について伝えたいこと

初めまして。合同会社コベリンで主にスマートフォンアプリの開発をしている船曵と申します。私達が開発しているアプリは例えばこのfeather for TwitterというiOSアプリがあります。

そして今、私達は子どもを車から降ろし忘れる事故を1件でも減らしたいと思い、取り組みを始めています。
スマホでTwitterクライアントアプリを作っている会社が子どもを車から降ろし忘れる事故に対してなにかアクションを起こしている?そもそも、降ろし「忘れる」「事故」って何??

思うことはいっぱいあるかもしれません。1つずつ説明させてください。

子どもを降ろし忘れる事故って何?

毎年、特に夏場になるとチャイルドシートに乗った子どもが車内に閉じ込められたまま車内の温度が上がり熱中症などで亡くなってしまう、そんなニュースを見聞きしたことがあると思います。2021年は特に福岡県の保育園バスのニュースが話題になっています。そして、毎年何件か同じような事件・事故が発生しています。

こういった事故・事件の原因の一つに「うっかり忘れてしまう」があります。子どものことを「うっかり」忘れて車から降ろし忘れてしまう・・・。そんなことがあるのでしょうか?残念ながら本当にあることです。

例えばこちらの論文ではForgotten Baby Syndrome(赤ちゃん忘れ症候群)として研究されています。

概要にはアメリカで発生した171件の事件のうち79%が赤ちゃん忘れ症候群が関係していると書かれています。本文には加齢やストレス、睡眠不足などが原因で大切な記憶を忘れてしまう現象があると書かれています。

例えば、会社から帰るとき。最寄りのスーパーで買い物してから帰ろうと思っていたのにまっすぐ家に帰ってしまった。そんな経験ありませんか?私はあります。

日常的な買い物と自分の子どもを一緒にすることはおかしいかもしれませんが、しかし人間の脳の働きには限界があり加齢・ストレス・睡眠不足などが原因で限界に達するときがあることは事実です。そのタイミングが不幸にも自分の子どもを車から降ろすときだったら・・・。

実際のところ日本では子どもを降ろし忘れてしまう「事故」があること自体、あまり知られていないようです。ニュースの報道に対して「親の愛情が足りていない」「虐待だ」など、それ以外にもこの場で紹介することもはばかられるような強い言葉で当事者を攻め立てる人たちがいます。確かに世の中には故意に起こした「事件」もあるかもしれません。しかし、何らかの仕組みを持って事前に防ぐことのできる「事故」も多数あります。これは先に紹介した論文や後で紹介するように国内外の企業や組織が開発・研究しているデバイスやルールから導かれる明らかな事実です。

どうしてアクションをするの?

最初にも書きましたが、私達の会社はスマホアプリを作っている会社です。そんな会社がなぜ子どもの降ろし忘れ対策を考えているのでしょうか。結論を先に書くと、私の個人的な体験から子どもを降ろし忘れる事故は他人事じゃないと思ったこと、そして事故を防ぐ方法は提案されているけれど私の生活にマッチしていなかったため、自分たちでできることは無いか模索し始めたためです。ここからは、私の個人的な体験や調査したことを紹介します。

2019年秋に私が第一子を授かりました。幸いなことに私達は会社の制度を事前に整えて、子どもが産まれた2019年秋から翌年6月くらいまで9月間育児休暇を取得できました。育児休暇中は当然ながら育児をするわけですが、産まれたばかりの赤ん坊は夜が来ても寝ないし、深夜に起きて母乳を求めてきます。家族間で負担を軽減するため、だいたい私が眠らない子どもを日付が変わる頃まであやしていました。そうすると日中は睡眠不足でパフォーマンスが落ちて来てしまいます。その状態で検診やら病院やらで子どもを連れて車を運転し外出します。ご存知の方も多いかもしれませんが、0才児はそんなにチャイルドシートが好きではないです。なので車の乗り降りは大騒ぎ。いざ病院についても慣れない抱っこひもで固定して、荷物を持ってとやっているうちに、スマホとか車の鍵、かばんなんかを車内に置き忘れることもありました。そんなことを繰り返すある日、ふと思ったのです。

「そう言えば、毎年子どもが車内で熱中症で亡くなるニュースを見るけれど、もしかしてあれって他人事ではないのでは・・・?」

そこから色々と調査を行い、企業や組織が子どもの降ろし忘れに対して何とかしようとしているらしいことを知りました。ここでいくつか事例を紹介します。

Euro NCAP のChild Presence Detection (CPD)

ヨーロッパで販売される車に対して実施される安全テストであるEuro NCAPではChild Presence Detection(CPD)というテスト項目が追加されます。まさに子どもの降ろし忘れに関する事故を防ぐための項目で、車内に取り残されている子どもを検知する機能や、保護者やレスキュー隊に通知する機能、そしてレスキュー隊が救助する時に中の子どもを救助しやすくする構造などが設定されています。またこの機能を実装するために補助金も設定されているようです。今後ヨーロッパで販売される車で安全性の高さをアピールするとき、この項目を満たした自動車が出てくると考えられます。

村田製作所やヴァレオ、オムロンの検知システム

Euro NCAPのCPDを受けて村田製作所やヴァレオ、オムロンがそれぞれ独自に子どもを検知、降ろし忘れを通知するシステムを開発しています。

村田製作所はWifi電波を用いて子どもの呼吸なども検知するようです。

ヴァレオが開発してる物はミリ波レーダーで検知するようです。こちらも呼吸の検知や毛布の下にいる子どもの検知ができるようです。

オムロンもまた、呼吸を検知する機能のデバイスを開発しているようです。

HONDA ヴェゼルやTOYOTA シエンタのリヤシートリマインダー

国内で販売されている一部車種には「リヤシートリマインダー」と呼ばれる機能がついています。乗車時に後席ドアを開けた場合、停車時に後部座席の確認を促すよう、モニターに表示する物です。センサーではなく、ドアの開閉記録を使うため先に紹介したデバイスと比べると精度は落ちるかもしれませんが、機能はとてもシンプルです。

海外で販売されている商品

海外ではすでに子どもの降ろし忘れを防ぐための製品が発売されています。例えばイタリアの赤ちゃん用品メーカーChiccoから、チャイルドシートに取り付けるタイプの製品が発売されています。

こちらはBluetoothでスマホに接続して、チャイルドシートに子どもが乗った状態でBluetooth接続が切れるとスマホに通知が表示されます。この製品は以前、個人輸入と一時的な技適を取得して利用したのでレビュー記事を書きます。

また、AliExpressでチャイルドシート警報システムが発売されています。

いくつかの事例や製品を発見しましたが、気軽に使える物がありませんでした。どれもまだ研究・デモ段階だったり、特定の車にしか搭載されていない、日本では発売されていない等の理由で買ってすぐ利用できる物はありません。

私が今抱えている課題を今解決したい。同じような課題を抱えている人はきっといるはず・・・。そんな思いでアクションを取り始めました。具体的に今までやってきたことや、これからやる予定のことは今後note内で紹介します。

今回の記事では現実に「車から子どもを降ろし忘れる事故」が存在すること、そしてこの事故を防ぐため私たちがアクションを取っていることをお伝えしました。それでは失礼します。