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国連・教育変革サミット閉幕――世界を変えるための教育に向けて

 9月16日・17日・19日の3日間にわたって開催された国連・教育変革サミット(TES)が閉幕しました(6月末に開催された「プレサミット」および9月16日に発表された「ユース宣言」に関する投稿参照)。日本での関心は高いとは言えないようですが、いくつかのニュースで取り上げられています。

1)NHK:「国連教育変革サミット」女子生徒の教育の権利や重要性訴える
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220920/k10013828331000.html

2)日テレNEWS:【国連本部】 “子どもが平等に教育受けられる世界を” マララさん訴える
https://www.youtube.com/watch?v=8MxXzRSL3OY

 マララ・ユスフザイさんのスピーチ(英語)はこちらの動画で見ることができます。

 教育変革サミットの成果と今後の取り組みの方向性をまとめた記事としては、次のものがあります。

3)United Nations: Over 130 countries heed call to reboot education systems, offering new hope to world’s children for a better future - UN Secretary-General issues call to action and vision for way forward at UN Summit(教育制度の再起動の呼びかけに130か国以上が呼応、よりよい未来に向けて世界の子どもたちに新たな希望を示す――国連事務総長、国連サミットで前進のための行動の呼びかけとビジョンを発表)
https://www.un.org/en/transforming-education-summit/tes-summit-closing-press-release

4)UN News: Education transformation needed for 'inclusive, just and peaceful world' - UN chief(「包摂的、公正かつ平和な世界」のために教育変革が必要――国連事務総長)
https://news.un.org/en/story/2022/09/1127011

 アントニオ・グテーレス国連事務総長が最終日に発表したビジョンステートメントこちらのページからダウンロードできます。

 グテーレス事務総長は、21世紀の教育においては次の4つの分野で学習者を支援していくことが重視されなければならないと指摘しました。

a)学ぶことを学ぶ(Learn to learn)
b)共に生きることを学ぶ(Learn to live together)
c)なすことを学ぶ(Learn to do、職業的スキルの習得など)
d)よく生きることを学ぶ(Learn to be)

 そのうえで、次の4つの分野で教育を変革していかなければならないと強調しています。

A)すべての学習者の発達の支えとなる学習環境を確保する
B)教員が自己変容して変革の主体となれるようにする
C)デジタル革命を公教育のために活用する
D)より多く、より公平に、より効率的に、教育に投資する

 前掲3)のリリースでも述べられているように、教育変革サミットに向けた協議の過程で、130か国以上が教育を優先課題に位置づけて取り組んでいく決意を表明しました。その概要は次のとおりです(太字は原文ママ)。

半数近くの国が学びの喪失(learning loss)に対処するための措置を優先的にとっていくとしたほか、3分の1の国は児童生徒・教員双方の心理社会的ウェルビーイングを支えていくことへのコミットメントを表明した。経済的に脆弱な状況にあるコミュニティを対象として直接的・間接的教育費を相殺するための措置も3か国に2か国が挙げたほか、75%の国は、表明したコミットメントのなかで、ジェンダーに配慮した教育政策の重要性を強調している。

https://www.un.org/en/transforming-education-summit/tes-summit-closing-press-release

 また、教育変革サミット特設サイトに設けられた「行動の呼びかけ」(Calls to Action)のページでは、次の6分野における具体的行動が呼びかけられています。

● 危機的状況における教育
● 学びの危機への対応
● デジタル学習
● ジェンダー平等の増進
● 教育への資金拠出
● 世界を変革する

 国連事務総長が示したビジョンやこれらの行動の呼びかけを日本でどのように受けとめ、実行に移していくか、十分な議論が必要です。

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