平野裕二

子どもの権利や人権に関する国際的な動向についての情報を主に発信しています。自営業(翻訳…

平野裕二

子どもの権利や人権に関する国際的な動向についての情報を主に発信しています。自営業(翻訳)。 https://w.atwiki.jp/childrights/

マガジン

  • 子どもの意見表明・参加

  • ヨーロッパにおける子どもの権利関連の動向

  • 国内動向

    日本の動向に関するコメントなどをまとめてあります。

  • 国内人権機関/オンブズパーソン等

    子どもオンブズパーソン/コミッショナーを含む国内人権機関(NHRI)関連の記事のまとめです。

  • 子どもに対する暴力

最近の記事

学校における子ども参加を重視するアイルランドのいじめ行動計画「キネオルタス」(2022年12月)

〈教育制度における子ども参加に力を入れようとするアイルランド:新たな「行動計画」より〉で紹介したように、アイルランドでは最近、教育省の政策の策定・実施への子ども・若者参加を確保することを目的として教育省内に生徒参加課(Student Participation Unit)が設置されました。  これは、2022年12月に策定された新たな「いじめ行動計画」の実施計画(2023年4月)の一環としてとられた対応ですので、その内容についても簡単に紹介しておきます。  2022年12

    • 教育制度における子ども参加に力を入れようとするアイルランド:新たな「行動計画」より

       先日の投稿で紹介したとおり、アイルランド政府(子ども・平等・障害・統合・若者省=DCEDIY)が4月12日に発表した「意思決定への子ども・若者参加行動計画(2024~2028年)」では、今後焦点を当てていく8つの行動領域それぞれについて、詳細な行動項目・担当機関・時間枠などを掲げたチェックリストが作成されています。  そのうち2つの行動領域について、どのような行動が予定されているかを紹介しておきます(要旨;太字は平野による)。 1.政府全体を通じて、意思決定ならびに政策

      • 国連人権理事会、子どもの権利の主流化に関する決議で子ども参加のための体制づくりを各国に奨励

         前回の投稿で述べたように、国連人権理事会が4月5日に無投票で採択した「子どもの権利:子どもの権利の実現と包摂的な社会的保護」に関する決議(A/HRC/RES/55/29;現時点では決議案を参照)では、「包摂的な社会的保護」と並んで「子どもの権利の主流化」についても取り上げられています。  これは、昨年(2023年)7月にとりまとめられた「子どもの権利の主流化」に関する国連事務総長ガイダンスノートを踏まえたものです。同ガイダンスノートの実施の調整はOHCHR(国連人権高等弁

        • 国連人権理事会、子どもの権利と「包摂的な社会的保護」に関する決議を採択

           国連人権理事会は、4月5日、「子どもの権利:子どもの権利の実現と包摂的な社会的保護」に関する決議(A/HRC/RES/55/29)を無投票で採択しました。現時点では決議案(A/HRC/55/L.18/REV.1)しか参照できませんが、最終的に採択された決議の原文はこちらのページから参照可能になる予定です。  今回の決議では、表題にある「包摂的な社会的保護」に加え、「子どもの権利の主流化」にも焦点が当てられています。国連人権理事会は、この2つの問題をテーマとして、3月14日

        学校における子ども参加を重視するアイルランドのいじめ行動計画「キネオルタス」(2022年12月)

        • 教育制度における子ども参加に力を入れようとするアイルランド:新たな「行動計画」より

        • 国連人権理事会、子どもの権利の主流化に関する決議で子ども参加のための体制づくりを各国に奨励

        • 国連人権理事会、子どもの権利と「包摂的な社会的保護」に関する決議を採択

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        • ヨーロッパにおける子どもの権利関連の動向
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        • 国内動向
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        • 子どもに対する暴力
          71本
        • 国連人権条約機関
          106本

        記事

          アイルランド政府、意思決定への子ども・若者参加に関する新たな行動計画を発表

           アイルランド政府(子ども・平等・障害・統合・若者省=DCEDIY)は、4月12日、「意思決定への子ども・若者参加行動計画(2024~2028年)」(Participation of Children and Young People in Decision-making Action Plan 2024-2028)を発表しました。2015年に発表された「意思決定への子ども・若者参加に関する国家戦略(2015~2020年)」(以下「国家戦略」)を引き継ぐものです。 ★ Mi

          アイルランド政府、意思決定への子ども・若者参加に関する新たな行動計画を発表

          徹底して「権利」という言葉を忌避する自民党横浜市議団「こども・子育て基本条例」素案――その意図は?

           Facebookでは3月13日付の投稿で取り上げたのですが、自民党横浜市議団(よこはま自民党)が「こども・子育て基本条例」素案を発表して市民からの意見を募集しています(~4月14日)。次のページをご参照ください。 -よこはま自民党:(仮称)横浜市こども・子育て基本条例 素案に関する市民の皆様からのご意見を募集いたします https://jiminyokohama.gr.jp/(仮称)横浜市こども・子育て基本条例素案に関/  毎日新聞も3月13日配信記事で次のように報じま

          徹底して「権利」という言葉を忌避する自民党横浜市議団「こども・子育て基本条例」素案――その意図は?

          ニュージーランド子ども・若者委員会、レイシズムに関する子どもたちの声をまとめた報告書を発表

           3月21日は国連が定める #国際人種差別撤廃デー でした。ニュージーランド(アオテアオラ)では同じ日を「人種間関係デー」(Race Relations Day)として祝っていますが、同日、子どもコミッショナーに代わって2023年7月1日に発足した独立機関「子ども・若者委員会」(アオテアオラの先住民族マオリの言葉で「マナ・モコプナ」)が、同国におけるレイシズム(人種差別・民族差別)についての子どもたちの視点をまとめた報告書を発表しました。 ★ Mana Mokopuna:

          ニュージーランド子ども・若者委員会、レイシズムに関する子どもたちの声をまとめた報告書を発表

          欧州評議会人権コミッショナー、「人権とジェンダーアイデンティティ/ジェンダー表現」に関する論点ペーパーを発表

           欧州評議会人権コミッショナーが、3月14日、「人権とジェンダーアイデンティティ/ジェンダー表現」(Human rights and gender identity and expression)に関する論点ペーパー(Issue Paper)を発表しました。次のページから報告書および要約資料をダウンロードできます。 ★ Council of Europe - Human rights of trans people: increased visibility and leg

          欧州評議会人権コミッショナー、「人権とジェンダーアイデンティティ/ジェンダー表現」に関する論点ペーパーを発表

          子どもの売買・性的搾取・性的虐待に関する国連特別報告者、エンターテインメント産業における子どもの性的虐待・搾取について国連人権理事会で報告

           Facebookではとりいそぎ紹介しておいたのですが、子どもの売買・性的搾取・性的虐待に関する国連特別報告者が国連人権理事会に提出した「エンターテインメント産業における子どもの性的虐待・搾取」についての報告書(A/HRC/55/55)が、1月5日付で発表されています。3月5日には国連人権理事会(第55会期)で報告書のプレゼンテーションが行なわれました。 ★ OHCHR - Sexual abuse and exploitation of children in the e

          子どもの売買・性的搾取・性的虐待に関する国連特別報告者、エンターテインメント産業における子どもの性的虐待・搾取について国連人権理事会で報告

          「こども・若者の意見の政策反映に向けたガイドライン(案)」へのパブリックコメント

           ひとつ前の投稿の冒頭でも述べたとおり、こども家庭庁が本日(3月6日)午後5時まで「こども・若者の意見の政策反映に向けたガイドライン(案)~こども・若者の声を聴く取組のはじめ方~」についてのパブリックコメントを実施中です。  このガイドライン(案)は、各府省庁や地方自治体の職員を対象とするもので、意見反映プロセスを(a)企画する、(b)事前に準備する、(c)意見を聴く、(d)意見を反映する、(e)フィードバックするという5段階に分け、国連・子どもの権利委員会の一般的意見12

          「こども・若者の意見の政策反映に向けたガイドライン(案)」へのパブリックコメント

          資料:国・地方レベルの公的意思決定プロセスへの子ども参加のあり方に関する欧州評議会のガイド

           現在、こども家庭庁が「こども・若者の意見の政策反映に向けたガイドライン(案)~こども・若者の声を聴く取組のはじめ方~」に関するパブリックコメントを実施中です(3月6日(水)午後5時まで)。Facebookではとりいそぎ次のようにコメントしておきました。  提出期限までにあらためて検討して意見を送りたいと思いますが、この機会に、そのうち取り上げようと思っていた欧州評議会の資料を紹介しておきます。以前の投稿〈ヨーロッパ:子ども参加推進のためのオンライン・プラットフォーム〉で紹

          資料:国・地方レベルの公的意思決定プロセスへの子ども参加のあり方に関する欧州評議会のガイド

          アイルランドのNGO連合、政府の子ども施策に関する「通信簿」を発表

           先日の投稿で紹介したアイルランド子どもオンブズマン事務所とその若者助言委員会(Youth Advisory Panel: YAP)の報告書 "Pieces of Us - What's Next?" には、付録(Appendix)として、報告書で取り上げられた6つのテーマに関する国連・子どもの権利委員会の勧告の要約も収録されています。必要があってその日本語訳を作成しましたので、上記投稿にも追記として掲載しておきました(有料エリアへの掲載になります)。  一方、アイルランド

          アイルランドのNGO連合、政府の子ども施策に関する「通信簿」を発表

          国連・子どもの権利委員会、3人の父親(外国籍)の退去強制をめぐる事案でデンマークの条約違反を認定

           国連・子どもの権利委員会は、2023年9月19日、通報手続に関する子どもの権利条約の選択議定書に基づき、3人の子どもの父親の退去強制をめぐる事案でデンマークの条約違反を認定し、退去強制を行なわないよう同国に対して求めました(CRC/C/94/D/145/2021)。  申立人は、デンマークからの退去強制を言い渡されたナイジェリア国籍の男性です。彼にはいずれもナイジェリア国籍を有する3人の子ども(うち1人は「義理の息子」)がおり、ナイジェリアに送還されればこれらの子どもが父

          国連・子どもの権利委員会、3人の父親(外国籍)の退去強制をめぐる事案でデンマークの条約違反を認定

          アイルランド子どもオンブズマン事務所、国連・子どもの権利委員会の勧告のフォローアップに関する子どもたちの声をまとめた報告書を発表

           アイルランド子どもオンブズマン事務所(OCO)が設けている若者助言委員会(Youth Advisory Panel: YAP)が中心となり、"Pieces of Us" と題する子どもレポートをとりまとめて国連・子どもの権利委員会に提出したことについて、以前の投稿で紹介しました。  国連・子どもの権利委員会は2023年1月にアイルランドの第5回・第6回統合定期報告書を審査し、総括所見(CRC/C/IRL/CO/5-6)を採択しています。アイルランドが緊急の措置をとる分野と

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          アイルランド子どもオンブズマン事務所、国連・子どもの権…

          国連・子どもの権利委員会、パレスチナの子どもたちの状況を憂慮する声明をあらためて発表

           恐怖、痛み、飢えのなかで暮らす子どもは、ひとりもいるべきではありません。  それなのに、現在、恐怖、痛み、飢えと無縁の子どもはガザにはひとりもいません。  それどころか、この戦争を生き延びて成長する機会を持てさえすれば運がよかったとみなされることになるでしょう。  国連による最新の数字によれば、昨年10月7日以降、2万7,585人のパレスチナ人が殺され、6万6,978人が負傷しました。  7,000人以上が瓦礫の下に埋まったままであると推定されており、死傷者の総計は

          国連・子どもの権利委員会、パレスチナの子どもたちの状況を憂慮する声明をあらためて発表

          国連・子どもの権利委員会、ウクライナ戦争を背景とする子どもの権利侵害に終止符を打つようロシア連邦に勧告

           先日の投稿でお知らせしたとおり、国連・子どもの権利委員会が第95会期(1月15日~2月2日)に報告書審査を行なった6か国(コンゴ/ブルガリア/セネガル/ロシア連邦/リトアニア/南アフリカ)についての総括所見(先行未編集版)は、2月8日(木)に第95会期のページで公開されました。各総括所見の概要は、OHCHR(国連人権高等弁務官事務所)のプレスリリースにまとめられています。  やはりロシア連邦に対する委員会の勧告への関心は高く、国内外で報じられています。日本語で読める記事と

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