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国連・子どもの権利委員会の一般的意見26号(子どもの権利と環境)に関する子ども・若者アンケートの結果が発表される

 国連・子どもの権利委員会が3月末から6月末にかけて実施した、一般的意見26号(とくに気候変動に焦点を当てた子どもの権利と環境)に関する子ども・若者(18歳未満)向けオンラインアンケートの結果が報告書として発表されました(9月14日)。

 報告書はこちらのページからダウンロードできます。日本を含む103か国の子どもたち7,416人から回答がありました。

 報告書では、次の5つの論点について、子どもたちから寄せられた回答がまとめてあります。

1)気候変動と環境危害の影響
2)気候変動と環境危害について考えていること・感じていること
3)教育・支援へのアクセス
4)意見を言い、真剣に受けとめられること
5)情報へのアクセス

 3)との関連で、「あなたは学校または地域で環境や気候変動について学んでいますか?」という設問に対して「学んでいない」と答えた子どもの割合が東アジア・東南アジア地域で一番高かった(27%)というのは少々気になるところです(他の地域では10%前後;報告書p.19)。昨年10月に発表された「ASEAN地域における安全、清潔、健康的かつ持続可能な環境に対する子どもの権利についての原則および政策指針」なども踏まえ、環境教育を強化していく必要があります。これは子どもたちからの主要な要求のひとつでもあります(後述)。

 なお、「あなたは子どもの権利についてきいたことがありますか?」という設問に対しては回答者の9割が「はい」と答えていましたが、オセアニア地域(77%)と東アジア・東南アジア地域(84%)では子どもの権利の認知度がやや低いという結果も出ています(報告書p.19)。

 主要な知見として、上記のページでは次の3点がとくに挙げられています。

● 環境危害または気候変動によって自分の権利に影響が生じたときは援助にアクセスできると回答したのは、回答した子どもの41%。
● 回答した子どもの67%は、環境危害が一部の子どもたち(小島に住んでいる子どもや自然に依存して生活している子ども)に及ぼす影響は他の子どもに対する影響よりも大きいと考えている。
● 回答した子どもの88%が、気候変動と環境危害は将来世代の子どもたちを脅かしていると考えている。

 子どもたちから大人に出された主な要求は次の6点です。

1.清潔で健康的な環境。
2.意見を聴かれ、真剣に受けとめられ、環境行動で役割を果たせること。
3.政府、企業およびすべての大人による、明確で透明性のある行動。
4.世界中の国・地域全体の協力。
5.意識啓発と環境教育。
6.可能性のある解決策についてのアイデアを共有するためのスペース。

 委員会は、寄せられた子どもたちの意見も踏まえ、年内には第1次草案を作成して意見募集を行ないたいとしています(8月29日、委員会の第91会期開会会合で明らかにされたもの)。

【追記】(9月16日)
 セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンが日本の子どもたちを対象に実施した独自のアンケート結果も発表されました(9月15日)。

★【調査結果】 気候変動と経済的不平等に関する子どもアンケートを実施
https://www.savechildren.or.jp/scjcms/sc_activity.php?d=3995

 セーブ・ザ・チルドレンが実施した国際調査(7月の時点で1万3千人以上の子どもが調査に参加)の一環として行なわれたもので、こちらの報告書は10月に発表されるそうです。この調査結果も一般的意見26号の作成過程で考慮されるのだろうと思います。

【追記2】(10月12日)
 日本ユニセフ協会も報告書の概要を紹介しました(10月7日付)。

★気候変動に関する日本を含む世界の子どもたちの声/半数以上が気候変動や環境破壊に不安/国連子どもの権利委員会が公表
https://www.unicef.or.jp/news/2022/0217.html

【追記3】(11月9日)
 セーブ・ザ・チルドレンによる関連の調査結果が2件公開されているので、追加しておきます。

-【気候変動問題】15ヶ国の5人に4人の子どもが、気候変動や経済的不平等を日常的に目の当たりにしていると回答(10月14日公開)
https://www.savechildren.or.jp/scjcms/sc_activity.php?d=4017

【報告書】 3人に1人の子どもが、高い気候リスクと深刻な貧困の二重の危機に直面している(11月9日公開)
https://www.savechildren.or.jp/scjcms/sc_activity.php?d=4046

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