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演劇創作は清水の舞台みたいなものだった

人生で一番のチャレンジは、やはり小劇場での演劇公演だった。
劇場を借りるための手続きから始まり、スタッフやキャストに一人ひとり依頼し参加してもらい、チラシなどの宣伝活動を行い、脚本を書き、演出を考え、美術・音響・照明各スタッフと打ち合わせをし、稽古をし、小屋入りし、よくもまぁやったものだ。

大体100人前後の規模の公演だとして、予算は200万~300万程度かかる。
節約が上手な団体はもうちょっと削れるだろうが、人手が足りなさすぎてお金が解決した部分があるため、私はこれくらいだった。
この規模のお金を、何の後ろ盾もない個人が一人で動かすというのは、なかなかに勇気が要ったし、よく考えると感覚が麻痺していたのかもしれない。

公演でしんどかったことは色々あった。
やらなくちゃいけないことが多すぎて体力がもたないとか、考えていることが上手く伝えられなくてもどかしかったとか、緊張しすぎてご飯が食べられなくなったとか、2020年3月の公演では、新型コロナの影響で幕が開くのかどうかすら怪しかった。
でも、今振り返って一番しんどかったのは、いつだってお金のことだった。
お金が足りるのか、本当に回収できるのか、キャスト、スタッフにちゃんとギャラを払えるのか、もっと言ってしまえば、今、こんな経済状況で、自分の将来は大丈夫なのか、いつもいつも不安だった。

一方で、キャスト・スタッフと力を合わせての作品創りは楽しかった。
もっと上手くできたんじゃないか、と思うところも多々あるが、それでもその時の最善を尽くしていた。
『いい作品を創りたい』という志を持った人たちが集まってくれた。
本当に私はいつも人に恵まれていて、感謝してもしつくせない。
『つばは微笑む』は大好きな朝ドラのような世界を創ることができたし、『レコード1964』では初めて過去のできごとをもとに物語を書くことができた。
自分の作品を見直すことはほぼないのだが、たまには見返してみてもいいかもしれない。

過去の演劇作品は演劇動画配信サービス「感激三昧」で観られますので、よかったらご覧下さい。
『つばは微笑む』

『レコード1964』

演劇創作からもう3年も離れてしまった。
いつかまたやりたいという気持ちと、体力的にも経済的にももうしんどいという気持ちが行き来している。
とりあえず、創作活動は私のアイデンティティの根幹であり、辞めるつもりはない。
今はオンラインも含め、様々な創作活動ができる。
これからも様々な形で創作活動にチャレンジしていきたい。

#わたしのチャレンジ


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