「レコード1964」終演に寄せて
つきかげ座第三回公演「レコード1964」終演いたしました。
ご来場いただいたみなさま、心を寄せていただいたみなさま、本当にありがとうございました。
入場前の手の消毒や、面会のお断りなど、お客さまにも様々なご負担をおかけしました。
にもかかわらず、快くご協力いただきまして、ありがとうございました。
毎日毎日色んなことを考えました。
公演を中止にした方がいいのではないか、とも、何度も何度も考えました。
しかし、座組の中の誰もが、この作品を“今”届けなくてはならないと、信じてくれました。
そして、自粛要請はあくまで「大規模イベント」であることから、予定通り開催することにしました。
それでも、万が一がないとは言い切れません。
万が一があるかもしれないことを前提に、様々な対策を一緒に考え、そして実行してくれた制作チームには、本当に頭が上がりません。
私は、自分の判断が正しかったとは思っていません。
いいことをしたとも思っていません。
ただ、針の孔に糸を通すような偶然が積み重なった結果、上演という形を取ることができました。
本当に、日常というものは、当たり前にあるものではないのだと、必死で守らなければならないものなのだと、骨身に沁みました。
作品についてはたくさんの方に喜んでいただけたようで、ホッとしております。
しかしながら一方で、厳しい意見をくださった方もいて、そのこともホッとしております。
誰にでも受け入れられるものは、本当の芸術ではないのだと、先人たちが言っていたからです。
次のステージへ向かう準備をきちんとしなくては、と襟を正す思いです。
10代や20代の方の中には
「今まで観たお芝居の中で、一番面白かった」
とおっしゃってくださる方がいます。
ありがとうございます。本当に嬉しいです。
でも、私たちのことは、入り口だと思ってください。
この世には、面白いお芝居がたくさんあります。
私たちも、面白いお芝居を創っている先人たちを必死で追いかけています。
もっともっと面白いお芝居はたくさんあります。
有名どころや賞を取っているところは行っておくといいと思います。
「なんか合わないな」と思ったとしても、それはそれがあなたの感性だということで、それもまた素晴らしい発見です。
この世には面白いお芝居がたくさんありますが、その一方で、面白くないお芝居が何百倍もの数あります。
それはそうです。
不幸があるから幸せがあるように、面白くない芝居があるから面白い芝居があるのです。
だから、たまたま面白くないお芝居に当たってしまっても、気を落とさないでください。
面白いお芝居は、たくさんあります。
そう、面白いお芝居は、たくさんあるのです。
全然「レコード1964」の話をしていないぞ。
「レコード1964」は、オリンピックに便乗して書きました。
東京オリンピックの年に東京オリンピックの話をできるなんて今年だけだ、と思ってのことでした。
オリンピックイヤーだから、スポーツの話をやる団体が多いのではないか、ということで、裏方の話にしました。
その結果「裏いだてん」とおっしゃっていただいたりと、思いもよらない反応をいただきました。
私は最初、1964年はみんな、オリンピックを楽しみにしていたのだと思っていました。
しかし、調べれば調べるほど、全員がオリンピックを喜んでいたわけではないし、経済成長の恩恵を、すべての人が受けていたわけではないという事実を突きつけられて、はて、どう描いたものかな、と考えました。
その結果が、悟くんの台詞になりました。
そんなつもりはなかったのに、世相を切った台詞になってしまって私が一番ビックリしました。
それにしても、悟くんにも倫子ちゃんにも信子さんにも、竹本さんにも光子さんにも、峰岸さんにも小滝くんにももう二度と会えないのだと思うと、ただただ寂しいです。
舞台とは、そういうものです。
現実にいる人たちには会えるけど、舞台上の彼らにはもう会えないのです。
ありがとう、みんな。一生懸命で、素敵な人たちでした。
長い、長いぞ。
こんな長いブログ誰が読むんだ。
今、経済全体が冷え込んでいます。
この世のありとあらゆる業界が、収益を得られず苦しんでいます。
エンターテインメント業界もその一つです。
そして、私たちが生息している小劇場も大変なことになっています。
中止になった劇団はもちろんのこと、上演できたとしても、お客さまが集まらず、大赤字になっているところが多数あると思います。
うちも正直大赤字です。
来年公演が打てるのか、という瀬戸際に立たされております。
もしも、小劇場のお芝居をこれからも応援したいと思ってくださる方がいらっしゃいましたら、是非、グッズの購入などで応援してくださいますと幸いです。
つきかげ座の場合は、観劇三昧で過去作品「つばは微笑む」をご覧いただけますと、大変ありがたいです。
観劇三昧は、再生時間に応じて各劇団にロイヤリティが入ります。
観れば観るほど、その劇団を応援することになります。
外出できない今、是非色んな劇団を観てください。
そして実はこのnoteというサービスには「サポート」という機能があります。
一番したの緑のボタンから、クリエイターたちに支援を送ることができます。
もしもこれからも小島の作品を観たいと思ってくださっている方の中で、心とお財布に余裕のある方は、是非よろしくお願いします。
つきかげ座は、今のところ私しかメンバーがいません。
つきかげ座で起こったことのすべての責任は私にあります。
私はずっと、ひとりぼっちのような気がして、寂しくて寂しくて仕方ありませんでした。
でも、今つきかげ座は、正規メンバーが私しかいないことで逆に、誰がいてもいい団体になっているような気がします。
いたい人はいて、何か事情があっていられない人はいない、そんな場所です。
色んな人にとって、居心地のいい場所にしたいと思っています。
役者さんもスタッフさんも、それからお客さまも、また来たいな、参加したいなと思ってもらえるような、そんな場所にしていきたいと思っています。
私は文章を書くこと以外は基本的にあまり役に立ちません。
でも、私は小説家ではなくて、劇作家になってよかったと思います。
一緒にお芝居を創ってくれるみんなのことが大好きです。
作品創りに直接関わらなくても、手伝うよ、何かするよ、と言って集まってくれるみんなのことが大好きです。
そしてそんなみんなに心から感謝しています。
これからも「ここにいたいな。何かしたいな」と思ってもらえるような場所であるように、そんな作品が書けるようにがんばりたいと思います。
みんなありがとう。
不束者ですが、これからもよろしくお願いします。
まだまだ書きたいことはあるのですが、一旦ここで終わりにしようと思います。
やらなくちゃいけないことはたくさんあるし、もう次の舞台の締め切りが迫っているのです。
チーム制作からすでに「脚本進んでいますか?」というLINEが着ているのです。
はい。一文字も進んでいません。
書きます、書きますよよよよ。
そんなわけでして、とにもかくにも私が言いたいことは
みなさま、本当に、ありがとうございました!!
いただいたサポートは作品創りの資金に使わせていただきます!