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許しを得るということ

許しを得るということ

人間誰もが許されたい。許して欲しいと思う。
私も何か相手に対して不遇な扱いをしてしまったり相手の機嫌や怒りをかってしまった時には申し訳ない。という気持ちでいっぱいになる。
だけどその人を許すかどうかは相手次第、そして謝りの期限というのは実に短い。
なるべく迅速に、早急に謝りを入れる方が良い。
物事の大きさや事例によるが、それで許してくれるかは別として時間をおけばおくほど熟成し発酵され煮え切らない思い出となって召喚され続けるのである。
時間を置いた分、100年継ぎ足された秘伝のタレぐらい美味しくなれば良いもの、素人が気軽に手を出し放置し続けた糠漬けぐらいしょっぱくカビが生えるのである。

許しを得たい人たち

私は許しを得たい人達によく遭遇する。
しかも熟成タイプの許しを得たい人達に。こういう熟成タイプはかなり厄介。
時間を置いて自分の気持ちの整理のために謝りたい人達のことを指す。

元凶になっている人はなぜしつこく連絡をしてくるのか。自分の影響により相手がダメージを受けているかもしれないことが気になってしょうがない。
どうか自分ではないことを確認したい、あわよくば許してもらって早く自分が楽になりたい。
これって私のせいじゃないよね?と確認したいから厄介なのだ。
悪いと思ってる気持ちと反省の態度がまるで感じられず、自分を守るために謝りたいです感が、丸見えなのである。

各いう私は何を言っても大丈夫そうな風貌らしく、人から物を言われやすいし、頼まれやすい、さらにはそれを相談してもゆいりさんなら大丈夫。と言われる。
何を言っても傷つかなさそう、何をしても許してくれそう、コイツになら平気と思われやすい。と自負している。
そしてやはりその時は強く言い返すことはできない。
私が経験した許しを得たい人たちの話を記す。

熟成タイプな上司

PT1年目の時インシデントを押し付けられたことがある。
インシデント発生をスタッフルームから見ていながら裏で私に書かせるように指南した上司がいるのだ。
自分のチームからインシデントがでたなんてことがあってはならないと察したその上司は私のところにとんできて「あなたが変わりなさいよ!!」と他の患者さんを診ていた私に言ったのである。
そうして現場を見ていないインシデントを書くことになった。
当事者ではないので記載に困った書き方になってしまい、課長に「なんであなたがこれ書いてるの?」と言われてしまう内容であった。
私も聞きたい。どうして私が書いているのか。その時は上司に言われて、、、と言えなかった気がする。初めてのことに動揺して、課長の言葉ですら責められているように感じてしまったのである。
とにかくインシデントがあった患者さんの心配と責任と初めて書くインシデントの重大さ、誰もフォローしてくれない環境に1年目の私は押し潰された。
こういうタイミングで業務後の研究会のミーティングやその日に課の研修、初めての発表など重なって完全にキャパオーバーであった。
いつ、一体いつインシデント書く時間があんのよ!!
今、考えるとどう考えてもおかしいし、その場にいた諸先輩方の対応も間違っている。と今になっては思うのですが。。。。
当時の私はとても悩んで、その後もその上司に苦しめられるのである。
「どうしてあなたが行かないの!!担当でしょ!!」と、どっちゃくそに怒られた。
悲しすぎて帰宅時に泣きながら運転していた。私の未熟さゆえに自分が悪いことをしたと思ってしまったと思ってしまったからだ。
そんな、1年目PTに優しくしてよーせんぱ〜いなんて今なら思います。
そう、そんなことがあってから2年が経った頃でしょうか。
私はその上司と同じチームになってしまったのです。
チームで発表に出す症例報告レジュメは確認しちゃくれない、研究のデータはやって置いて状態、写真や動画の整理、新しく入ってきた年上への指導、担当人数の偏り、どんどん仕事が積まれていきました。
じわじわタイプです。頭が良いので直接人格否定はしてきません。いっそばーか!ぐらい言ってくれたらいいものの、そんなことはしてきません。
断れない雰囲気、それもこれもあなたが悪いのよと有無を言わせないタイプです。
そんな上司に付き合っていたら知らないうちに自分がパンクしました。
休みが多くなった私のそれを感じとって個別に呼び出されました。
今のパンクしそうな私の状態を見ながらまだ大丈夫でしょと無理くりな押し付けに見事に紛れ込ませ、そう!「あの時のインシデントの件悪かったと思っている」という旨の内容!!
びっくりしちゃいません?2年も熟成させて今更。。。。!
許してしまいました。びっくりしすぎて。というか許すしか他ならない雰囲気です。自分がその場を圧倒、コントロール、支配するのです。
自分がいかに苦しかったかのように語られ泣かれましても!
苦しかったのは私の方!!!!
あの時私は20代前半、上司は40代後半だったでしょうか?
社会人になりたて、大人ってずるいし、思っていた大人でなかったことにカルチャーショックを受けたのでした。
私が許してあげたことにより、終わらせたかった、自分は悪くなかったと心を軽くしたかったんでしょうね。
その行動に許せません。年下ならまた話は違うのにね。
一番最悪な熟成タイプの許しを得たい人間です。

5年ごめん先輩

久しく疎遠になっていた先輩から突然の年賀状が送られてきました。
「謝りたいことがあります。会いませんか?連絡ください」
そこにはこう書かれていました。
何に対しての謝りなのだろう、と疑問に感じていました。
自分から連絡してくりゃいいのにそれはしたくなかったんでしょう。年賀状なんて今どき見ないこともありますからね・・・
連絡して会いました。
謝ってもらいたいからではありません。仲が良かった方なので、新天地で頑張っている先輩から何か情報や話が聞けるかもと思ったので会いました。
ですが、先輩は違いました。
私から許しを得たかった。あわよくば今辛いので支えて欲しいとの旨でした。
私、何をみんなに許せないことばかりをさせてきたんでしょうか?
5年の月日を経て「あの時はごめんね色々」と謝罪を受けました。
私にしてみたら今更感〜!!もうどうでもいいわの気持ちです。
なんのことに対してなのかもわかりません。先輩もはっきり言いません。
できればその時に謝ってほしかったですね。
5年かかったのは自分の気持ちが無理だったと話してくれました。
私が許すことでその先輩の心が軽くなって良かった。
謝罪5年の熟成はなかなかですけどね。チーズ出来上がった??
以降、許されたいんだろうなーと思う人が近付いてきたら歴然たる態度で接するように心がけている。

どうにかみんな許しを得たいものなんですね。
それだけ相手を傷つけた自負があるなら、自分で背負えよ。
許しを得ても相手の傷は消えない。自分だけ消そうとするな。
一生、抱えて生きていけ。

許しを得るということ

自分の中でいつかその出来事を許してあげることはあってもいいけど、相手にわざわざ許してもらいに行くのは違うんじゃないか。
謝罪は許してもらう前提で謝るわけではないことを知っておかなきゃいけない。
その罪に対しての反省である。
ごめんねを言えても、してしまったことは抱えて生きていかなくちゃならない。許されても終わりではない。ということ。
あからさまな許して欲しい相手からの謝罪は当人を思って謝罪してるのではなく、自分の安寧のためだと肝に銘じておこう。

拝啓、許されたい人たちへ。




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