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あなたが見ている子育て系投稿は「トンデモ情報」かもしれない。情報で傷つかないための3つの方法


こどもリハビリかめきちです。

様々な情報発信をしている中で、よりリハビリがしやすくなったり、より食事の介助がしやすくなったりなどの「育児や発達支援の精度が上がる」ためのグッズを紹介します。
そこには、保護者がこどもとの関わりで「よりやりやすく」なることによって浮いた時間を心豊かに過ごしてほしい。という気持ちがあるのです。

少し話はそれますが、私が「日本一リアルタイムに相談できる小児PT」でありたいという気持ちの根底には「この情報はうちの子に合っているか?合っていないか?」と、ネットを血眼になって徘徊する保護者によりエビデンスがある導きを、簡単に且つ迅速にしたいという思いがあります。

今や情報の海、といわれるこのネットの世界ですが、
ある程度保護者にも、「この情報は信じてもいいのだろうか?」という疑念の気持ちも多々あること思います。
そんななかで、私のもとには

「この商品どう思いますか?
この商品は発達によさそうですか?
この商品はうちの子に使わないほうがいいですか?」

というような相談もたくさん来ます。

正直、商品のURLが送られてきてパッと見た瞬間に「ゾっ」とするものがたくさんあり、これは私だけが気持ち悪く感じているのか、、と
念の為調べるとエビデンスが不十分(推奨しない)だったり、
他の小児科医の先生が注意喚起や提言をしているものがほとんどです。

私はトンデモ商品やトンデモ情報への嗅覚がやたらといいのです。亀の割には。


ではどうしてそんなエビデンスのない不確かな情報が出回り、なおかつそこを信じたくなってしまうのでしょうか。また、そんな情報に左右されないためにはどうしたらいいのでしょうか?一人でも多くの方に正しい情報を知ってもらい、安心して育児や発達支援ができるように、理由と解決策をセットにして書く。よし!!



トンデモ情報が巷に流れ出る理由


その1 育児に正解はないから

数学や英文法のように出産育児に「正解」というものはありません。
皆、こうしたほうがいいよ、とかこうしたらうちは楽だったよ、などという先駆者の体験談などを元に試行錯誤しながらトライ・アンド・エラーで育児をしてくのだと思います。
そう、「1+1=2」のように正解のあるものだったらその情報だけ出回ればいいのですが、はっきりとした正解がないので様々な「これがいい」という手法が横行するのです。良くも悪くも。これが良いものだったらいいのですが、中にはエビデンスの無いものもたくさんあります。

これがいわゆる「トンデモ情報」ということになるんですね。

ここで私は思います。

育児に正解はないのですが、小児科には、医療にはエビデンスというものがあります。エビデンスというのはたくさんの医療者や研究者が時間やお金をかけて導いたデータに基づいた検証結果です。


その2 母親はいつだって必死だから

よく思うことがあります。10ヶ月も命を子をお腹に宿し、生きるか死ぬかの出産という行為をして、24時間つきっきりでないと死んでしまうかも知れない赤子を育てる。いやマジ母親すごすぎん????
お母さんはお母さんであるだけで、それだけで素晴らしいと思うんです。
そんな素晴らしい母親ですが、産前と産後はまるっきりメンタルも体調もすべてのコンディションが変わってくるんだと思います。

・睡眠不足
・極度の疲労、ストレス(まわりはできているから頑張らないと)
・様々な不安な気持ち(このやり方ではたして合っているか心配)
・孤独感、焦燥感(自分はこの世でこどもと2人きりなんじゃないかと思う)

産後の母親のメンタルはホルモンバランスだけでなく様々な疲労によりもう困憊なのです。そんなとき、低下するのはそう、判断力です。
なにも全ての育児情報を「産後の判断力が鈍った母親の弱みにつけ込む」なんていう風にはいいません。しんどい母親に寄り添ったり、助けようとする情報も多々あります。ですが、その情報が本当に信頼のできるものであるのか、ということは覚えておいて頂けたら嬉しいです。


その3 人間のネガティブ心理が働くから

Instagram等を見ていて、私でも胸がざわざわする内容があります。それは

「〇〇しない子はやばい!」
「〇〇できないとよくない!」



のような、明らかに保護者の不安や心配を煽るような投稿です。

これは情報発信側のマーケティング的があります。なぜかというと、我々のような情報発信で飯を食っている人間(言い過ぎ)からすると
見出しはマイナスイメージの方がリーチ数はあがる(クリック数が増える)」というのは絶対常識だからです。
このロジックとして、人は「より良い」情報を得たいのはもちろんなのですが、それよりも「これをしなかったらやばいぞ」というような情報のほうが食いつきやすいのです。
そこには保護者の「自分が今この情報を見逃したことによって将来的に我が子に悪影響が加わるのではないか」という責任感とネガティブ心理が働き、藁をもすがるきもちとなります。

マイナスな情報を全て否定するわけではありません。大事なのはそのマイナスな見出しが「根拠と解決策がセットになって書かれているかどうか」ということです。


ちゃんとした情報を得るにはどうするか

その1 専門家(自称ではない)の意見を参考にする

情報のソース(出どころ)、ですね。〇〇コンサルタントとか〇〇研究会とか、見栄えのよい肩書はたくさんあります。それがすべてうさんくさいわけではなく、本当に実績のある方か?ちゃんとその過程を踏み、分野に精通している方なのか?ということを考えて情報を取りに行くことが大事です。
正直、研究会〜とか〇〇会〜とかはいくらでも言えちゃいます。

私が信用しているのはまずは教科書。そして厚生労働省、日本小児科学会、論文、都道府県のHP、病院のHP…の順番です。ぶっちゃけ自分が情報発信しているときに余所の方のInstagramとかYouTubeの情報とか一切見ません。
解剖学や生理学とかを急いで確認したいときにたまにYouTubeで解説を見るくらいです。それくらい自分が情報発信するときは情報の出どころに気をつけています。だって、私が発した一言で人の人生を狂わすからもしれないから。それくらいの責任感で発言しています。

その2 不安を煽る文面は、一度深呼吸する

これはその1にも通づるものですが、特に女性は視覚優位な方が多いです。
写真や画像から見て取れる雰囲気や、フォントなどで気分が上がったり、逆に心配になったりします。写真や画像で一番情報が入るSNSはInstagramです。実際私のところには「うちの子ハイハイしません」という相談がたくさん来ます。そこでママに「ハイハイしないことがよくない、というのはどういった情報からですか?またママはどう思いますか?」と伺うと大半の方が

なんかInstagramでハイハイしないと駄目って書いてありました、、、
とお答えになります。
確かに正常発達を考えると、ハイハイしないことは心配なことです。ですが、大事なのは

・なぜ身体発達にハイハイが重要なのか
・なぜその子がハイハイをしないか
・ハイハイをしないことがどの程度悪影響があるのか
・総合して今何をすべきか

を考えることです。今はわかりやすく例としてハイハイをあげましたが
おすわり練習、歩行練習、離乳食の進め方なども同様です。
これら全て、体の仕組みや発達のこと、そして気になったときにどう対応するかが明確になっている情報を参考にしたほうがいいです。
となるとやはりそのマイナスな見出しが「根拠(理由)と解決策がセットになって書かれているかどうか」を見る必要があるということですね。



その3 バランスよく情報を得る


ここまで様々なことをお伝えしてきましたが、私の情報収集のオススメを最後に伝えます。
それはズバリ、バランスよく情報を得ることです。
ではそのバランスとはなんなのか?を細分化していくと


・見たときに心がざわざわする情報は大体NG
・一人の人に的を絞りすぎず「〇〇さんも同じこと言ってたな」という観点
・難しい専門知識をかみくだいてわかりやすく説明してくれる人を探す
・この情報どうだろう?と思ったら周囲に相談(近ければ近いほど◎)
・専門的な情報発信を専門職に相談するのも有り(担当セラピスト、医師等)
・見栄えのいいものや聞こえのいいものに対して思考停止しないこと
 (これするだけでこどもは〇〇になる!みたいな)

かめきち情報収集虎の巻

というところになります。


長々と呼んで頂き、ありがとうございました。

様々なSNSをやっていると、冒頭でも書いたとおり「ギョッと」「ゾッと」するような情報がたくさんあります。
ときにはそういったグッズや方法がこどもの命を奪うものになってしまう、苦しい現状もあります。
しかしそういったグッズを出したりしている人は決してこどもと保護者を苦しめようとして開発したつもりなど微塵もなく、むしろよりよい子育てになるんじゃないかと思うばかりだと、認識しています。

ですがその先にあるのは
本当に安全なものなのか?エビデンスがあるものなのか?
消費者の見極める目が、こどもの命を救います。



今回、この記事を書くきっかけになった書籍です。正しい情報がひとりでも多くの方に伝わっていきますように、私も日々がんばります!




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