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封印


川の流れは 絶えずして*
行き交う人も 同じ事

思い移ろう 諸行は無常 
世のことわりも 同じ事

うつろう花ぞ 恋しけれ
色香いろか失い 記憶薄れた

刻む憶えは 媚薬か麻薬
時刻む先 何処へか行く

思い出すから 忘れないのか
or忘れないから 思うのか

執着まとった 罪の様
火祭りの夜の 道連れか

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*鴨長明の方丈記(1170〜1180年くらい)の冒頭文「行く川の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。」より頂きました。

旅先の川辺で思う。
行き交う人々は川の流れのように次々と出会うものだ
(でも深く知り合えるのはごく一部、だから出会いは貴重なのでしょうね。)

人の心も時が経てば変わっていくもので
世の道理(人の恋心)も同じようなものだ
(ココの道理には「道理の別意として男女の仲」をかけてます)

花の命は短いからこそ愛おしい
時の流れのなかで、ふと記憶の中の焦がれるように想いを振り返る
でも時が経てば、どうしても色香の記憶は薄れてしまうものだ

記憶という名の思い出は、今となっては心を惑わせる媚薬や麻薬の様だ
時を戻そうにも時計の針は意思とは無関係に、容赦なく先へと進んでしまう

忘れようにも忘れられない、消えない想い
それはついぞ思い出してしまうから、忘れられないのだろうか
それともいつまでも忘れずにいるから、つい思い出してしまうのか

この想いはまるで執着の塊で、償えない罪のような心地すらする
火葬されて灰になってしまうまで持ち続ける想いなのだろうか
そんな焦がれる想いが、時に抑えも効かずに暴れ出す…
いっそ、紅蓮の炎に燃えてしまおうか…

恥の多い人生を歩んできました…なんか太宰さんみたいですね、はは。



題絵は長野県公式観光サイトより、奈良澤神社例大祭の「大天狗の舞」です。


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