暑くも寒くない日の、
暑くも寒くもない日の、ぽつぽつ降る雨が好きだ。トタン屋根かなにかにぽつぽつあたって、その音を聞いているとなんとなく落ち着いてくるから、中が濡れない程度にそおっとだけ窓をあけて、空気を入れ替えがてらそんな音を聞いている。
そういえば、出産直前の日々のなかにも、こんな雨の日がいくつかあった。暑くも寒くもなくて、じめっとしすぎてなくて、いつ陣痛が始まるのやらとそわそわしながら、ソファに寝っ転がって文庫本をちびちび読んだり、黄色い派手な傘を片手に歩いたりしていた。当日はどんな天気だったかいまいち思い出せないのに、なぜか直前の日々の天気はよく覚えている。未だに懐かしく思い出す、私と子どもが文字通り一体だった、あの狂おしいくらい愛しい日々を。
それでは、また。
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