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四等分してそのうちのひとつを食べて残りを積み重ねてラップして放置してあった食パンのラップを一枚また一枚とぺりぺりとはがして夏はマーマレードを塗って食べた。キッチンスツールのネジが取れているからかぎいぎいといった音が鳴る、誰かの首をノコギリで切っているみたいだと思う。

今朝パン屋でもらったマーマレードジャムはゼリーみたいにぷるんとしていて、夏は余った残りをバターナイフで掬い上げ手のひらに塗ってから舐めた。ピンポンと鳴ったので玄関を開けたら10年前に行方不明になったとされた妹がたっていて、10年前とまったく同じピンクの短いコーデュロイスカートにベージュのパーカーを着て立っていたから夏は声なんか出るはずもなく、でも妹ははいお姉ちゃんお土産と言ってオレンジ色の袋を差し出すから中を覗いたら今食べたばかりの同じマーマレードジャムがいくつか入っていてそうだ私は昔から柑橘系のジャムが好きだったんだわと思い出し、妹みたいな格好をした彼女に向かってどうぞお茶でも出しますからと言って扉を閉めた。

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