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3.9

目の前の通りで一日中工事が行われて、耳栓をしていた一日だった。小説を読みたい気分が訪れたので、本棚のなかから買ったけれどまだ読んでいなかった小説を探し、チャンドラーの高い窓に。他のマーロウシリーズも何冊か読んだけれど、このシリーズは、読んでいるあいだはわりかしぐいぐい読んでいるのに、読み終わると筋書きをきれいさっぱり忘れている。逆に言うと、マーロウシリーズは、探偵ものでありながら、推理や筋書きよりも、細部の描写(高い窓でいうと、訪ねていった家のきれいに刈り揃えられた芝生とか、その上をキラキラ舞うスプリンクラーの水しぶきとか)がいきいきしているのかもしれない。こういうタイプの小説は、読んでいるあいだは細部の描写による愉悦があり、読み終わってしばらく経つと、どんな話だったっけ?ってなるので意外に筋書きがしっかりしている小説よりも読み返したりすることが多くなる。

それでは、また。

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