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ひとりで寝るときは本を5,6冊部屋に持っていって、てきとうにパラパラ、読みながら寝ようと思うのだけれど、結局一冊目を数ページ読んだだけで眠くなり、9時半くらいに寝てしまった。これだと寝かしつけで寝落ちするのと変わらなくて、せっかくのひとりの時間が、ともったいないことをした気分になる。

川端康成の雪国の、かまわぬのカバーのやつを見つけたので先月くらいに買って、冬のあいだには読み終わろうと、ちびちび読んでいる。近代文学の授業でやった気がするけれど、あまり覚えていない。どちらかというと谷崎の細雪とか、太宰の女生徒、斜陽の方が好きだった。川端康成では山の音の方が好みだった気がするけれど、これまた話の内容をさっぱり覚えていない。

昔は日本文学のこの、暗がりの、じめっとした、文体があまり好きじゃなかったのだけれど、最近着物にはまったからか、それとも歳を重ねたからか、日本に住んでもう10年が経ったからか、箱根の帰り道で見た路地のぼんやりとした暗がりとかに、名状しがたい感情が吐出してきて、平たい言い方だけど心が震えてびっくりして、一回しか読んでないけど本棚には残していた谷崎の陰翳礼讃を読みたくなって、国内旅行をしたいなと思ったのだった。長らく住んでいる土地の、明るさと湿度に合ったものを読んだりしたくなるのだった。

それでは、また。

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