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5日間の忘備録。

10/10 木曜日
夜髪の毛を乾かしているあいだ、何気なくツイッターを開いたらうちのエリアがトレンド入りしているのを発見。そういえば本気の水害防災ガイドが配布されてたな...と思い出し、夫に「トレンド入りしてるんだけど笑」と防災ガイドを見せる。このころはまだ余裕。

ふたりで調べ始め、避難情報もこの時点では出ていないし、浸水のリスクはないと思うけれど万が万が万が一氾濫したら浸水するリスクが高い家なのと、私が身動き取れない、いつ赤ちゃんが生まれるかわからない38週妊婦なので、どうしようかと相談。最初は2時間ほど離れている義実家に避難しようと話すが、病院から遠くなるのでそれはまたそれでリスクでは、と話が決まらない。でも自宅が浸水したら、破水したときなんかにどうやって病院向かうんだ?と心配に。

結局助産師の友だちにも相談して、病院近くのホテルを取った。ホテルを取ったことでいったんほっとして寝る。


10/11 金曜日
朝起きて天気予報を見ると、明日は思ったより早い時間から雨風が強くなることに気づく。土曜日チェックインだと遅いかもしれないな...と思い、夫が金曜からホテルを取る。でも同じところでは取れず、目と鼻の先のホテルを取る。朝の家事を終わらせるも気がそわそわ。もしかしたらホテルキャンセルが出るかもしれないと思い、ホテルに電話を何回かかける。ラッキーなことに二泊連続で取れたので、明日は移動しなくていいと安堵。

念のため陣痛タクシーにも連絡。自宅じゃないと迎えに来てくれないと思っていたらそんなこともないことがわかる。

お昼時、ホテルで食べられそうなパンや野菜ジュース、おにぎりをコンビニで買う。

午後、停電したとき用に、冷蔵庫の中身を処分し始める。大きな圧力鍋に1キロのもも肉とトマトとオクラ、れんこん、その他足のはやそうな野菜を次々放り込んでカレーにする。カレーだと日持ちしそうなのと、時間が経ってからの方が美味しそうなのと、どんな野菜を入れてもマッチしそうな懐を持つのでちょうどよかった。ルーじゃなくてパウダーを使ったのでさらさらしたカレースープになったけれど、胃もたれしなくて良い。

ちょっとだけ仕事をする。心配でそわそわしてあんまり手につかない。ホテルに泊まるための荷造りをしたり、駐車場の場所を確認したり。

夕方、弟たちが帰ってきて、通気口を閉めたり窓に養生テープを貼ったりしてくれる。夜には夫も両親も帰ってきて水のうをつくってくれる。上の弟はひとり暮らしの彼女さんのところへ向かう。私と夫はホテルへ。夫は運転に不慣れなので(まったく人のこと言えないけれど)、運転中私はピリピリ。無事ホテルに着いてチェックインして、部屋にたどり着いてようやくほっとする。台風が来る前からぐったりしている。思ったより部屋が広くてふたりでテンションが上がる。毎週楽しみにしているバチェラーを見てふたりでわいわいコメントしたあと眠りにつく。


10/12 土曜日
そわそわしてたからか早めに目が覚める。朝食を申し込んだのでレストラン会場へ。他にもお客さんがたくさんいてなんだか気が紛れる。海外の人が多い。朝食はビュッフェ形式で、めっちゃ美味しいというわけでもないけれど、ちゃんとしたもの食べられるときに食べておこう、ということでたくさん食べる。ヨーグルト、リンゴ酢ジュース、サラダ、とろろごはん、パン少々、ちゃんこ鍋。和洋折衷と言えば聞こえはいい。

部屋に戻って少ししたら、両親からLINEが入った。同じホテル追加で取れないかとのこと。どうやら避難勧告が出たらしい。慌ててフロントに行ったけれど空いてないとのこと(たぶん、台風に備えて新規の客は受け付けてなかったのか?)。電話して心配するも、防災無線を聞き間違えたみたいでそこまで焦らなくてもよかったみたいで、落ち着いていた。私は心配性なので心配が消えないけれど、身体が持たないし出産が始まる可能性もあるので両親の判断に任せることにする。お昼までは電車も動くしまだのんびり構えてたけど、思ったより早く自宅エリアに避難勧告が出たので一気に警戒モードに。

お昼、一緒に暮らしている弟がさすがに一人で家にいるのは...ということで、近くに住む両親の元に身を寄せる。お風呂に水を張り、洗濯機やトイレにも水のうをつくってブレーカーを落として出たとのこと。雨風が強まってくる。

私と夫はホテル内にある中華料理店へ。昨日はやってるって言ってたけどさすがにな...とダメ元で行ったらなんとやっていた。スタッフさんたくさんいて、みんな今日はずっとホテルにいるのかな...と感謝と心配。1800円のランチセットと高いけれど、やっぱりちゃんと食べれるときに食べておきたいから奮発して中華粥セットを選ぶ。期待を裏切るくらいの美味しさだった。久々にこんな本格的な中華食べたなあとしみじみする。美味しいもの食べるとやっぱり元気が出る。

少し離れたところに座っている外国人4人組のスマホが大音量でなり始める。「なんだなんだ?」みたいな感じでスタッフさんに話しかけているので、私たちもたぶん緊急速報かなと思って見に行って英語に訳してあげた。隣の区に避難勧告が出ているとのこと。私はいよいよホテルがあるところにも避難勧告が出るか...?とひやひやしていたのだけれど、おそらくイギリスから来たジェントルマンとマダム4人組はひたすら陽気で、今日7時からパーティーやるから来ない!?と誘われる。楽しそうで夫は行きたそうにしていた。私のお腹を見て、「あと二週間で生まれるの?そのお腹の大きさ、イギリスだと3ヶ月よ。」と言われる。確かに小さめベビーではあるけれど、イギリスの妊婦さん、臨月になったらどんだけでかいんだと思った。

部屋に戻り、隣の区まで避難勧告が出ていたので、ホテルがある区にも避難勧告が出るのは時間の問題かな...と思い、念のため病院に電話をかける。冷たくあしらわれるかなあと思っていたら、意外にそんなことなくて、避難勧告が出たタイミングでどうするか悩んだらもう一度電話ください、心配だと思うけれど大丈夫?と言ってくれた。こういうときの言葉っていちいち身に沁みる。

テレビのニュースをつけると、「命を守る行動を」「一刻も早く避難を」と連呼されていて心がざわざわする。避難勧告が出た場合、建物が頑丈で上の階がある場合、避難した方がいいのか家に止まる方がいいのかよくわからず、水害はそこで悩むな...と思った。

テレビのニュースだと現在の周りの状況がわからないし、いたずらに不安を煽られて疲れたので途中から消して、私は読書したりスマホゲームを始める。夫は隣で、川の水位を1時間に一回くらいチェックして、それをエクセルや写真をパワポに記録していった。父は3時間ごとの雲の動きをずっとウォッチしていて定期的に家族LINEに投げていた。なるほど、台風が来たときは川の水位と雲の動き、満潮の時間などを自分で確認すればいいのか、と学ぶ。一次情報にあたらないと意味がないことがわかった。ツイッターで区議会議員は、区や河川管理事務所に問い合わせた結果をツイートしてたので、そういうのも確認。次回の地方選挙はこの人に入れようと夫とふたりで何度も感謝する。

夕方。早めにお風呂に入って水を貯めておく。買い込んでいたおにぎりや野菜ジュース、パンを食べる。プラスで買っておいたポテチやアルフォートが美味しかった。ついでにインスタントうどんも食べた。久々に食べるとすごく美味しく感じた。

お腹の赤ちゃんに、今日はお腹で大人しくしてるんだよ〜と話しかける。なるべく横になって安静の態勢でいる。

雨風強まってきたはずなのに、あまり音がしない。カーテンを開けると雨風はあったので、どうやらすごく防音なホテルらしい。おかげで想像よりは怖い思いをせずに済む。

9時。雨のピークと言われていたのでひやひやしていたけれど、思ったより降らなかった。ラッキーとしかいいようがない。川はもちろん増水しているけれど、増え幅から言っておそらく氾濫はしないのではと家族LINEで話し合う。何かあったらホテルの部屋に逃げてくると話してたけれど、深夜0時くらいになって風もやみ、おそらくそのまま家に止まっても大丈夫、ということで、私たちも眠りの態勢に入る。


10/13 日曜日
台風一過で青空が広がる。まず川の水位を調べる。上流からの水が下流に流れ込んできているのでむしろ昨日より増えている。まだひやひやするけれど、上流は落ち着いてきているし、これ以上雨は降らないのでたぶん大丈夫、と朝ごはんを食べに行く。昨日と同じブッフェ形式。今日はごはんをやめてパンを多めに食べた。

部屋に戻ってしばらくして、避難勧告が解除されていた。ようやくほっとして、チェックアウトして帰ろうと話す。ぐったりしていたのでチェックアウトぎりぎりの11時まで滞在。結局飲まずに取っておいた水や食料を持ち帰る。チェックアウト時のスタッフさんに「ラブライブ好きなんですか〜私も娘もはまってるんですよ〜」と話しかけられた。夫がラブライブのTシャツ着てたかららしい。しばし話して和む。こんな大変なときに泊めてくれてありがとうと感謝の念を抱く。

徐々に目の前のラーメン屋がのれんを出したり、マックがオープンしたり、電車が頻繁に走ったりと日常の風景が戻ってきていた。台風の後だからか暑い。帰り道、夫も疲れているのか運転中注意が散漫でひやひやする。ようやく自宅に帰り着き、どっと疲れが押し寄せる。しばしふたりで昼寝をして、ようやく元気が出てきた。心はまだ疲れているので、なぜかキッチンの排水溝まわりを磨いたりする。

夕方、散歩がてら川の様子を見に行く。氾濫、とは呼べないかもしれないけれど氾濫していた。道は乾いて人は行き交っていたけれど、流れが速い。夫は昨日水位を確認していたカメラの位置を探していたけど結局見つからず。

夜、両親もやってきて今回の反省会をする。リスクに備えすぎると何もできなくなるのと、あらゆる可能性を考えると膨大すぎるので、「こうなった場合はこうする」「これがダメだったらこうする」といくつかのオプションを日頃から意識しておこう、という話になった。家族でこんなに防災意識が高まったのはたぶん初めて。ずっと日本にいなかったのと、3.11は経験していないのと、阪神淡路大震災のときは幸いなことに被害が少ない地域だった。

結果的に氾濫しなかったのは、このあたりに雨があまり降らなかったから、ラッキーだったから、ということなんじゃないかと話し、改めてひやひやした。もし浸水したら、という想定は全然杞憂じゃなかった。

お風呂に浸かりながら、このあと出産に備えなきゃなのか〜となんだか気持ちが疲れる。とりあえず、今日は待ってね、とお腹の赤ちゃんに話しかける。


10/14 月曜日

ゆっくり目に起きて、ふだんの朝のルーティンをのろのろやっつける。食洗機の食器片付けたり、洗面所をころころしたり、お掃除ロボットをかけたり、休日のホットケーキを焼いたり、テーブルの上を拭いたり。なるほど、日常ってこうやって戻ってくるんだな、となんだか実感する。

この3連休にやるはずだった産後の準備をいろいろやる。保育園を調べ、やっとこさ臨時のベビールームを片付けてベッドを用意する。産後、夫は育休を3ヶ月取るので、育児の分担とざっくりとしたスケジュールについて話す。そんなことをやってたらあっという間に夕方になったので、取り置き期限が今日までだった本を借りに図書館へと向かう。「睡眠こそ最強の解決策である」、人気なのか1〜2ヶ月くらい待った。読みたい熱が下がっちゃってるのが残念だけどせっかくなので雨の中向かった。

気になっていた「三時のわたし」という日記本を見つけたので、それも借りる。帰って開いてみると、作者は日本人だった。なぜか私、ずっと韓国人が書いた本だと勘違いしていたのだ。1月1日から12月31日まで、毎日三時、自分が何をしていたのかがイラスト付きで、1日一ページずつ書かれている。こういう記録的なたんたんとした日記好きだなあ...と改めて思う。

読みながらふと、今回の台風のこと、忘れないように私も記録しておこうと思いたつ。喉元過ぎればというのが災害だし、「子どもが無事生まれるだけで嬉しいし、尊い」とひしひしと実感した今回の気持ちを、忘れたくないなあと思ったから。思ったより全国的に被害がひどくて、胸が痛い。被災された方が一刻も早く日常に戻れますように。

それでは、また。


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