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現代文読解の道標《特別編》~現代文Q&A①「現代文を復習して、意味あるの?」(前編)

 皆さんこんにちは。
 現代文科講師の竹中です。

 こちらのQ&Aコーナーでは、実際に生徒さんからよくいただく質問にお答えしていこうと思います。

 今回の現代文あるある質問は

★「現代文の復習って、意味があるんですか?」

 というもの。

 これは、特に1学期に多くいただく質問です。

 もう少しこの質問を具体的に紹介すると、次のような内容となります。

「先生、現代文の復習って意味はあるんですか。だって、授業で扱った文章がそのまま入試で出る可能性は低いですよね。だから、内容も答えも知っている文章問題を復習しても、本番に出ないのであれば意味がないと思うんです・・・」

 どうでしょうか? 僕は、ごもっともな質問だと思います。

 同じテーマの文章だとしても、その切り口や結論などは筆者によって千差万別です。まして、全く同じ文章や設問が出題される可能性は皆無に近いと思います。となると、やはり同じものを繰り返し解く意味はない・・・?

 それでも、やはり僕は「現代文に復習は大切」と強く思います。

 なぜでしょうか? 


「過程を辿る力」が「読解力」!

 僕の大好きなミステリー小説を例に考えてみましょうか。

 ミステリー小説の面白さの1つは、「犯人は誰なんだろう?」と考えながら読み進め、最後に「そういうことか!」と真犯人の正体に驚愕する、その意外性にあります。

 では、1度読み終えたミステリー小説は、「すでに真犯人が分かっているから」もう二度と読む価値のないものなのでしょうか。いや、もっと言えば、冒頭で真犯人が明らかにされるミステリー小説の場合はどうなのでしょうか?これも、「すでに真犯人が分かっているから」その続きを読む必要はないのでしょうか?

 おそらく、そうではないはずです。ミステリー小説の真骨頂は、「真犯人が誰か?」ということ以外にも、「その真犯人をどうやって明らかにしたのか」、その推理の「過程」にあります。だからこそ、名作と呼ばれるミステリーは、何度読み直しても、例え犯人を知っていたとしても、面白いものなのです。

 これは、現代文でも同じことです。

 現代文で最も大切なこと、それは「結果」ではなく「過程」です。例えば、ある文章を読む時に「要点はどこなのか?」も大切ですが、それ以上に「そこが要点だとなぜわかるのか?」、その要点に至るまでに辿る過程が重要なのです。また、設問を解くときには本文に根拠を求めるのが鉄則ですが、大切なことは「どこが根拠文なのか?」以上に、「そこが根拠文だとなぜわかるのか?」「どうやってその根拠文に到達したのか?」なのです。

 上述しましたように、現代文では同じ文章や設問というのはまず出題されません。文章や設問が異なれば、要点や根拠文の場所も当然異なります。ですから、復習時に要点や根拠文の場所を確認するだけだと、異なる文章を読み解くときには当然困ってしまうわけです。

 となると、本番で頼れるものは何なのか?それは、文章上の表現を手がかりに要点まで辿りつく力、あるいは設問や傍線部に残された手がかりを辿り根拠文に至る力、ということになります。つまり、過程を粘り強く辿っていく力です。これこそが未知なる文章や設問を切り開く源泉なのです。

★手がかり(文章中の表現など)を辿り、要点を見つける!=「読む力」
★手がかり(設問や傍線部など)を辿り、根拠を見つける!=「解く力」

 そして、この「過程を辿る力」を身につけるのにうってつけなのが、「復習」なのです。


「復習」とは、「模範となる過程」を再構築する場

 では、なぜ授業の復習がこの「過程を辿る力」を養成するのに最適なのか?

 なぜなら、一度受けた授業では、「模範となる過程の辿り方」が示されているからです。そう、それが先生方の解説なのです。学校や塾の先生方、あるいは僕たち予備校講師が授業で示すのは、文章の要点や解答の根拠だけではありません。「なぜそこが要点だとわかるのか」「その根拠文を発見するためにどう考えればいいのか」、要点や根拠に至る過程に特に注力して解説します。しかも、先生方はプロですから、その過程の辿り方は極上のものなのです。他の多くの文章や問題にも応用できる、そのような辿り方となっています。

 皆さんは復習時に、この極上の辿り方を自力で再現できることを目標としてください。極上なる過程を自力で再構築する場、これが復習なのです。

 復習を効果的なものにするには、まず目の前の授業をしっかり聞くこと。特に、先生方がどのようにして要点や根拠を導き出しているのか、その過程に注目して受講することが大切です。

 そして、復習時にただ要点や根拠の場所だけを確認するのではなく、「なぜそこが要点だとわかるのか?」「一体どんな手掛かりを辿ってその根拠に辿りついたのか?」、要点や根拠に至る過程を自力で辿っていきましょう。その際、本文に矢印などを引くなどして、その過程をビジュアル化しておくことも大切です。そして、自らの過程の辿り方と、授業で先生方によって示された過程の辿り方を比較し、改善していくのです。(比較とは、「類比」「対比」でしたね。詳しくは前回の記事をご確認ください。)その中で疑問点が浮上すれば、しめたものです。先生方に質問し、より理解を深めましょう。

★効果的な復習をするためには
①授業をしっかり聞く(特に先生方の過程の辿り方に注目!)
②自分が辿ってきた過程と、先生方の過程の辿り方を比較する


 

 現代文における「復習」の重要性がおわかりいただけたでしょうか?

 次回の記事では、より具体的な復習方法について書いていきたいと思います。

 

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