大学入試現代文の道標①~A「現代文」とは何を試す科目なのか?(評論と小説は分けて考える!)

 皆様、こんにちは。現代文科予備校講師の竹中です。前回の記事にて述べましたように、今回から「現代文」の世界を具体的にのぞいていくことにしましょう。

◎現代文の「あるあるお悩み」とは?

 その前に、少し身の上話を。僕は、今でこそ講師として「現代文」を指導していますが、実は最も苦手で大嫌いな科目が「現代文」でした。(ちなみに、僕が好きな科目は、小学校=全部嫌い 中学校=英語 高校=日本史 高卒時=英語と日本史と古典 でした。)

 現代文が嫌いだった理由、それは「どう勉強したらいいのかがわからない」「どこが大切な文なのかがわからない」「なぜそれが答えの文なのかがわからない」の3点でした。そして、ついには「子供のころから読書してきた人が得をする科目やん!こんなの不公平や!」と見当ちがいな憎しみを現代文に抱くようになったわけです。(そんな僕がなぜ現代文の講師になったのか・・・それはまた別の機会に)

 どうでしょうか?上の太字に記した言葉「どう勉強したらいいのかがわからない」「どこが大切な文なのかがわからない」「なぜそれが答えの文なのかがわからない」、現代文が苦手な方は思い当る節があるのではないでしょうか。現に、予備校で指導していても、多くの方がこの3点の悩みを抱えて相談にきます。これらの悩み、簡単に言えば、

★「現代文の方法論(勉強法、読解法)が分からない」 

とまとめられます。逆に言えば、上記のお悩みを解決することができれば、現代文は攻略可能ということです。「悩み」とは「解決のヒント」でもあるのですから。

◎「現代文」とは何を試す科目なのか? 

 そもそも、現代文という科目は、皆さんの何を試す試験なのでしょうか。実は、それは現代文の入試問題そのものが教えてくれています。皆さんは、現代文の入試問題、見たことがありますか?もしまだであれば、センター試験の過去問など何でもいいです。ぜひぱらっと見てみてください。すると、必ず冒頭にこのような文言があるはずです。

「次の文章を読んで、後の問いに答えなさい。」

 実はこの文言に、現代文が試していることが凝縮されています。つまり、

①文章を「読む」力

②設問を「解く」力

 この2つだけです。ですから、皆さんは漢字問題などの純粋に知識を問う問題を除けば、この「読む」「解く」という2つの力を高めていけばよいということになります。(ちなみに悩みの解決方法には2つの鉄則があります。それは「シンプルに考える」と「分けて考える」です。苦手な人は特に、まずはシンプルに考えましょう。)

◎「評論」「小説」は分けて考える!

 ただ、その力点の置き方は文章の種類によって微妙に異なります。現代文では大きく分けて「評論」「小説」という2つの文章が出題されます。その中で、哲学などの馴染みの薄い抽象的なテーマについて論じられている「評論」は、一般の高校生には少々読みづらいものと言えます。それに対し日常生活に潜む人間心理を描写した「小説」は、共感がしやすく比較的読みやすいものが多いです(もちろん、一部の難関大学では非常に抽象度が高く、読みとりに苦労する小説も出題されますが、ここではあくまで一般論としてのお話にとどめます)。この2つは、どちらかと言えば正反対に位置するものといえます。
 
 実際に、受験生と話していても、評論の場合は「そもそも何が書かれているのかが分からない」という相談が多く寄せられます。一方、小説の場合は「書かれていることは大体わかるけど、どこが解答になるのかが分からない」という相談がかなり多いです。

 となれば、その対策も「評論」「小説」では少し分けて考えたほうがよさそうです。つまり、

◎「評論」= 読みづらい =「読む」力を重点的に鍛える

◎「小説」= 解きづらい =「解く」力を重点的に鍛える

 僕はよく、「評論は読み物、小説は解き物」と述べるのですが、こうして分けて考えることで、これまで漠然としていた現代文の世界が、少しずつその姿をあらわしてきます。「評論」「小説」をごちゃまぜに考えるのではなく、その文章の性質に応じて分けて考え対策を練る、こうしたアプローチが悩みを解決してくれるのです。(評論と小説の具体的な読解法の違いは各論にて説明しますね)

 次回の記事は、この両者の性質を念頭に置き、今後の勉強をスケジューリングしてみましょう。ここまで御覧いただき、ありがとうございました。

 




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