大学入試現代文の道標②〜B.現代文力の高め方(春〜夏休み前 総論)

 皆様こんにちは。
 現代文科予備校講師の竹中です。

 初回の記事でご案内したように、本記事の全体像は

A「現代文」とは何を試す試験なのか?~評論と小説の違い
B「現代文」で試される力を、どう高めていくのか(総論、時期別)
C「現代文」で試される力を、どう高めていくのか(各論、項目別)

となっています。

 前回の記事では、A「現代文」とは何を試す試験なのか?~評論と小説の違い について、以下のように答えました。

★現代文で試される力(現代文力)=「読む力」と「解く力」
★評論は読み物、小説は解き物

 では、現代文で試される力、つまり「読む力」「解く力」をどのように高めていけばよいのか。ここからその道標を示していきましょう。ちなみに、道標の記し方なのですが、

 B総論(その時期にするべき内容)→C各論(具体的な勉強法など)

へと進んでいきます。

 今回の記事からしばらくは、

 総論(4月~夏休み前にするべき内容)→各論(具体的な勉強法など) 

について書いていきますね。

◎4月~夏休み前の道標

〈4月〜夏休み前までの道標〉
 ①まずは「読む力」!=短めの評論から始める
 ②「読める距離」を伸ばして行く!(文→段落→全体)
 ③「読む」ための語彙力を増やす!

一つずつ追いかけてみましょう。

①まずは「読む力」!=短めの評論から始める


 現代文をマラソンに例えて考えてみましょう。
 マラソンで勝ち抜くには、様々な力が求められます。コースの状況やライバルの走力などの分析、アップダウンのペース配分などです。でも、まずはコースを走りぬくスタミナがなければ、ゴールそのものができません。
 現代文でも同じことです。確かに「解く力」も大切ですが、まずは文章そのものに向き合い続けて、読み通す力が何よりも求められます。そして、この「読む力」はスタミナと同様、育成に時間がかかります。ですからまっ先に取り組むべきことです。

★「読む力」=文章に向き合い続け、読み通す力=育成に時間がかかる

 では、どのような文章を読めばいいのか。それは、「短めの評論」から始めるがベストです。「え?小説ではだめなの?」と思われる方もいるでしょう。だめというわけではないのですが、大学入試で出題される小説は「読みやすい、でも解きづらい」ものが多いため、よほど抽象度の高い小説でない限り、純粋に「読む力」を鍛える教材としては不向きだと僕は思います。それに比べ、評論は抽象的なテーマを扱ったものが多いため、そもそも「読みづらい」ものです。スポーツのトレーニングなどでも同じでしょうが、「少しきついかな・・・」と思う程度の圧力を自分にかけ、それに慣れていくことが実力を高めていく秘訣になるのです。また、前回の記事でもお話したように、大学入試現代文においては「評論は読み物、小説は解き物」です。こうした入試の性質も考えれば、やはり評論でじっくり「読む力」を鍛えるのがいいといえます。

★まずは「短めの評論」から始め、「読む力」をじっくり養成!


②「読める距離」を伸ばして行く!(文→段落→全体)

 マラソン初心者がいきなりフルマラソンを完走することは難しいですよね。評論文でも同じことです。普段哲学などの文章を読み慣れている高校生であればともかく、そうした機会がほとんどない方にとっては標準的な長さ(約3000字)の評論をいきなり読むには苦労すると思います。
 そもそも、「読む力」には段階があります。 **

 レベル1=文の構造把握(特に主語述語)
 レベル2=段落の大意把握
 レベル3=全文の大意把握

 この順に従って少しずつ読み切れる距離を伸ばしていくのが理想的です。

 特に大切なのはレベル2です。一つの段落をきちんと読み込み、大意が取れるようになること。まずは、この練習をしっかり行いましょう。レベル3はこのレベル2の延長線上に存在しますので、レベル2で手を抜いてはいけません。

★段落の大意をとることが何より大切!


③「読む」ための語彙力を増やす!

 評論文を読んでいると、アイデンティティ、パラドックス、円環的時間、などの用語が出てきます。こうした用語は、あらかじめ意味を知っておくと、その文章の内容が掴みやすくなる、お助けアイテムです。
 ですので、英単語などと同様に用語集などを用いて覚えていくとよいでしょう。覚え方には色々あると思いますが、僕のおすすめの覚え方は

①評論を実際に読み、知らない語句があったらマーカー等で線引きしておく。(いきなり調べず、まずは前後内容からの類推を試みること)
 ↓
②設問解答、段落大意などが全て終わった後に、緑色のマーカーの言葉を調べ、意味を理解する。(市販の用語集でOK、その際調べたページには付箋などを貼っておく)
 ↓
③いったん目を閉じて、その言葉の意味を自分の言葉で説明してみる。
 ↓
④3日後に、緑色のマーカーが引かれた語をみて、その意味を説明してみる(できなければ、再び用語集へ)

 このようなイメージです。ポイントとしては、

★文章の中で覚えていく

★自分の言葉で内容を説明できればOK。

の2点となります。


 ここまでが、4月から夏休み前にやるべきことの総論となります。なんとなくでも、全体像がつかめればOKです。

 それぞれの具体的な勉強法、おすすめ教材などについては、次回の各論にて紹介していきますね。




 

 

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