見出し画像

共通テスト本番に向けて

皆様ご無沙汰しております。現代文科講師の竹中です。

思い返せば、昨年春に出された緊急事態宣言に伴う休校という状況下で、少しでも現代文の勉強にお役立ていただければと思い、この記事を書き始めました。あれから、はや数か月。時勢はさらに厳しくなりつつあるものの、共通テストの実施は確実となり、あっという間にテスト直前となってしまいました。

月日の流れるのは本当にはやいものです・・・・。

ということで、久々に書く今回の記事では、共通テスト本番における現代文の注意点を4つ挙げておこうと思います。

①本番当日は、お気に入りの文章問題を持っていく!

 本番の緊張状態で、初見の文章を制限時間内に読解するのは想像以上に大変です。ですので、まずは試験開始前までに頭を読解モードに切り替えておくといいでしょう。

 具体的には、「今まで解いた文章問題の中で、自分が特にお気に入りのものを評論、小説1問ずつ持参し、本番開始前までに読み込んでおく」という方法が挙げられます。問題は何でもいいですが、センター試験の過去問などがいいでしょうね。

 問題を解く必要はありません。あくまでも頭を本文読解モードにするための準備ですので、持参するのも本文だけで構いません。好きな文章がなければ、特に思い入れの深いもの(難しかったけど、復習して読み取れるようになった文章など)を持参するといいでしょう。

②最初はゆっくり、徐々に加速! 

 試験開始直後は、気持ちも高ぶっておりなかなか本文の世界に入れないことがあるかと思います。そうした場合、まずは気持ちを落ち着け文章との距離感を縮めるために、「最初はゆっくり読む」ことが効果的です。

 時間制限が厳しいため、とにかく急ごうとしてしまう気持ちはよくわかりますが、「急いては事を仕損じる」「急がば回れ」などの言葉の通り、はじめを急ぎ過ぎて内容がよくわからないまま読み進めてしまうと、結局途中で行き詰まってしまう恐れもあります。そちらのデメリットの方が遥かに損失が大きいです。

 ですので、最初はあえてゆっくり挑む。で、だんだん慣れてきたなーと思い始めたころには、勝手にスピードも上がってきます。それが読書というものです。

③難易度順とは限らない!

 現代文の設問は、難易度順では決してありません。例えば、冒頭に抽象的な内容を集中させている文章であれば、当然冒頭部を問う最初の設問の難易度は上がります。もちろん、その逆もしかりです。

 ですので、もしなかなか解けないと思いましたら、特に最初の設問は一旦スルーしてしまうのもありだと思いますよ。他の設問を解き進める中で一気に見えてくることもあります。

 少なくとも、最初の難しい設問に時間をかけすぎ、他の取りやすい設問に時間がかけられなかったという悪手だけは避けなければいけません。他科目も同じだと思いますが、総合力の勝負であることを常に念頭に置きましょう。

④根拠が見つからないときは「対比」を疑う

 例えば、Aという内容が問われているとします。その場合、当然Aに関係する内容を探し、根拠としますよね。

 でも、なかなかそのAが見つからない・・・。そこで焦りを覚え、安易な消去法に逃げてしまう。

 現代文で陥りがちな状況ですね。そうした場合は、いったんAを探すのを諦め、逆の内容であるBをおさえると効果的です。逆の内容をおさえることで、そこから本来求められているAの内容を推測することができます。

 例えば、AとBが対比関係で、Aが問われていたとしますよね。でもAがわからない。そこで、逆内容であるBを見ると「客観的」という言葉がある。すると、Aはその逆、つまり「主観的」な内容であると推測できるわけですね。これが「対比による逆予測」という思考法です。評論だけでなく、小説で心情がうまく取れない場合にも効果がありますので、是非お試しあれ。




 以上の4点が本番で心掛けていただきたい内容となります。

 どれも当たり前の内容に思えますが、本番の緊張状態ではこうした当たり前を見失うことが多々あります。ですから、これらの当たり前を少しでも意識して本番に臨んでいただければと思います。

 哲学者ショーペンハウアーがのこした名言に、以下の言葉があります。

     運命がカードを混ぜ、われわれが勝負する

 大学入試というものは、その実施も含め、我々にはどうすることもできません。センター試験から共通テストに変更となったこと、コロナ禍での入試実施となってしまったこと。これは、どうしようもないことです。

 そうした運命が与えた試練の中でも、勝負するのは我々なのです。与えられた条件下でもベストを尽くし最高の勝負をする。

 どうか、大学入試が皆様にとって最高の勝負の場となりますように。  


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?