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フードロスを減らす取組のコツを、4Pのフレームワークで整理してみる

 今週のガイアの夜明けでは「フードロス」への取組を特集していた。半年くらい前?に、衣服のロスを削減するための取組を特集していた回と重なる部分もあり、興味深かった。

フードロスの要所は、家庭ではなく飲食店にある

 フードロスを語る時、「いち家庭の話」と「飲食店やコンビニの話」は、分けて考えるべきだと思っている。なぜなら、構造やボトルネックが全く違うからだ。

 家庭の話である場合、それは「いち消費者の行動・心理」の話だ。例えば「安売りだからと買いだめしたけれど、使わずに捨ててしまった」とか、「食べられるけれど美味しくない(と思っている)部分を捨ててしまう」とかいう話だ。これらの問題を解決するのは、正直、かなり難しいと思っている。「買って備えておきたい」と思う心理や「あ!美味しそう!」という衝動に打ち勝ち、「今後一週間の食事予定を作り上げ、必要な食材を逆算し、必要なものだけを買う」ことなんて、人間にできると思うだろうか?たとえ技術の助けがあったとしても無理だろう。後者についても同じことで、例えばお寺で「茄子のヘタは食べられる」ということを学んだとしても、翌日の茄子の煮びたしにヘタを入れるとは限らない。我々は「美味しいから食べている」のであって「食べられるから食べている」のではないのだから。ハウス食品が行っている「残り野菜のカレー」にしても同じことだ。企業の取組として素敵だとは思うが、正直、大成するとは思えない。ビジネスとして成長するときがあるとしたら、それは、「残り野菜で作ったとは思えないくらい美味しい料理」ができた時だろう。結局のところ、「残しちゃいけない」という正義感は、「美味しいものを食べたい」という欲求に打ち勝つことは難しいのだ。

 一方で、販売店の場合は、解決できる余地が(家庭の話より)あると思っている。究極的には、販売店のロスとは「需要と供給のミスマッチ」により生まれるからだ。もちろん、すべての飲食店に「森岡毅バリの需要予測精度」を求めることは到底無理だろう(ちなみに森岡氏は、USJのプリンの販売個数の需要予測精度を誤差1ケタまで高めたらしい。パーセントではなく、個数の話だ…!)。だが、需要と供給のミスマッチの結果生まれてしまったロスをうまく活用する方法はたくさんある。「商品の価値が失われたから捨てる」のではなく、「価値を届けられなくなったから捨てる」のだ。つまり、価値を届ける仕組みを創れれば、ロスを減らすことができるのである。

店の売上やブランドを毀損しないロス活用は”ずらす”ことがポイントだ

①Product(商品)をずらす

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