いちばんやさしいPMBOKの本

プロジェクトマネジメントに取り組むにあたっての参考書。アジャイル組織で、WBSやガントチャートっぽいのを入れて進めることに手詰まり感があるなかで、いくつか参考になる点のみメモ。

計画こそが成功のカギ

WBSやガントチャートは、ネットにあるような情報を見れば、ある程度ぽいものをつくって、ある程度周りのメンバーを納得させることはできるが、結局蓋をあけると認識齟齬があって手戻りしたり、何らかの要素でスケジュールが後ろに倒れてしまうことがほとんど。その中において、重要なことが計画である。

本来、計画とは、それを実行作業者たちが行うときには「そのまま行えばよい」というくらい現実的なものである必要があります。(p.62)

これに加えて言うと、「そのまま行えばよい」というくらい現実的で具体的なものであるというのが肌感としては欠かせない。そのためにも、実務で何が起きているのか状況を聴いて瞬時に判断できる程度に解像度が高いメンバーでないとプロマネは務まらない。

よくプロジェクトではトラブルが起こり、それを対応していることで一生懸命働いていると周りも本人たちも誤解することがある。しかし、本質的にはトラブルは起こらず計画通りにいくことが望ましいのは周知の事実であり、それを握るのが計画になる。計画の詳細については、以下のようなプロセスがある。

プロマネ計画書作成/スコープ計画/スコープ定義/WBS作成/アクティビティ定義/アクティビティ所要時間見積り/アクティビティ資源見積り/アクティビティ順序設定/スケジュール作成/コスト見積り/コストの予算化/人材資源計画/品質計画/コミュニケーション計画/購入・取得計画/契約計画/リスク・マネジメント計画/リスク識別/定性的リスク分析/定量的リスク分析/リスク対応計画(p.69-70)

プロジェクトの最終イメージから考える

WBSを作る際、足元の課題から積み上げていくよりも、そのプロジェクトのゴールから逆算して作る方が効率が良い。というのは、WBSはそこに書き出されたすべてが果たされれば、ゴールに達成できるタスクリストと同義だからだ。

改めて本書の文章で強く学んだことは、以下の文になる。

「WBSを作成する」ということは、「プロジェクトの最終イメージを可能な限り明確にする思考活動を行っている」ということといえます。(p.93)

これは最初の計画共有が終わった後に効いてくるところで、進捗にずれがあった時に、どこに差異があったのかを特定するうえで大変役に立ってくる。間違っても与えられた期間や予算をもとに、現状を無視して形だけWBSやガントチャートをつくるような無駄だけはしてはいけない。

あと1つ、忘れてはいけない心構えとして以下も肝に銘じておきたい文章。

そこそこ複雑なプロジェクトでは、プロジェクト・マネジャー一人だけで、そう簡単に妥当な計画が立てられるものではありません。(p.95)

私含め、新米プロマネは一人で抱えでしまうこともあるが、who knows whatをおさえておき、頼るべきところは積極的に巻き込み・頼り、プロマネは寝ても覚めても「今のプロジェクトの進め方でいいのか」「もっと良い方法はないのか」という進捗管理に全力を注げるリソースを割いておくことが重要になる。

周囲の後出しじゃんけんに惑わされない

たいていトラブルなどで進捗が遅れると、その問題をとらえて上司や同僚があーだこーだ好きに言ってくる(言い方悪く書いてますが、いけてないプロジェクトはトラブル時に他責にする傾向がある)場合がある。起きたことは事実として受け止めつつも、「本当にそれは必要なのか」と「何かがぬけてないか」は常に考え続けることが大切である。短絡的にあれもこれも取り入れていると、業務は増えていくので、思考さえ回していてのトラブルは、何を言われても平気な顔をしていればよい。

コミュニケーションを怠らない

規模が大きいプロジェクトほど多くの人がかかわり、その分コミュニケーションコストが増えていく。その時にそのままメンバー同士の努力に任せてしまうと、いつの間にか収集がつかなくなり、一人ひとりの能力が発揮できないばかりか、互いにいがみあったり、ポテンヒットでミスをしてしまうことが起きてしまう。そうならないためにもプロマネは組織設計にも積極的に関与して、メンバー間が気持ちよくプロジェクト成功という同じベクトルをもって活動ができるような計らいを立てていくことが大切になる。

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