見出し画像

GLOBISの乱読帳2022年7月~まるはち文化倶楽部編~

グロービスの様々な組織から書き手を招き、読んだ本を紹介してもらっているこの企画。今回はグロービスに多々ある「クラブ/サークル」のうち、まるはち文化倶楽部から山田に書籍を紹介してもらいました。

まるはち文化倶楽部とは

グロービスは、本社の東京のほか、仙台、水戸、横浜、名古屋、大阪、福岡に国内拠点が置かれています。更に国外では、シンガポール、タイ、中国、アメリカに置かれ、世界各地にオフィスが点在しています。

まるはち文化倶楽部は、そんな世界各地にあるオフィスのうち、名古屋オフィス所属のスタッフが設立したサークルです。「まるはち」とは名古屋市内でよく見かけるマークのことで、市章にもなっています。尾張徳川家の合印として用いられていたことに由来する、歴史のあるマークです。

「まるはち」というサークル名には、名古屋という土地に根差し、名古屋の文化に親しみ楽しみつくそう!という私たちの活動目的と、まわりにも名古屋文化を知ってもらいたい、という思いを込めました。

活動は主に、オフィス周辺の文化施設での鑑賞会参加などがあります。直近では、名古屋フィルハーモニーの演奏会でクラシック音楽を愉しみ、身も心もリラックス!この夏は、国内最大規模の国際芸術祭「あいち2022」を鑑賞する計画をたてています。

iOS の画像 (2)
名古屋に本社がある愛知ドビーの鋳物ホーロー鍋「バーミキュラ」の展示場・バーミキュラビレッジに赴いた時の1枚

コロナ以降、グロービスではリモートワークがぐっとすすみ、同じ名古屋オフィス所属のスタッフ同士でさえも、リアルで顔を合わせる機会が減りました。
そんななか、このサークル活動が名古屋で働くスタッフ同士や、名古屋所属以外の離れているメンバーをつなぐ場になれたらいいな、と思っています。

今月の本『まるまるの毬

(著:西條 奈加 出版社:講談社)

名古屋人のソウルフードといえば「小倉あん」が有名です。小倉トーストをはじめ、名古屋の喫茶店には、必ずと言っていいほど「あんこ」が使われたメニューが並んでいます。
今回は、名古屋人が大好きな「あんこ」がたっぷり出てくる、読んで美味しい時代小説をご紹介します。

物語の舞台は、江戸の麹町。--そう、令和のグロービス東京オフィスの所在地です。なんだかこの物語にご縁を感じます--親子三代で菓子を商う「南星屋(なんぼしや)」は、主の治兵衛(じへえ)が諸国を巡って見覚えた菓子が日替わりで並ぶ繁盛店です。
子どもでも買える値で提供するため、材料を見繕い、作り方も工夫して菓子を拵えるのが治兵衛の信条。地域の人々に喜んでもらえるよう、利益度外視でお客のための努力を惜しみません。
こんなお店が私の家の近くにもあったらなぁ、と思わず羨ましくなってしまいます。

表題作の『まるまるの毬』をはじめ、各話のタイトルに用いられているのは、どれも治兵衛が拵える菓子の名前です。

なかでも私がいちばん食べてみたいのが「大鶉(おおうずら)」。

幼い頃のある日、治兵衛の弟・五郎はある理由から癇癪を起こし、父親に怒鳴られても殴られても折れず、ついには庭の高い木に登ってまで徹底的に抵抗します。
そんな弟を見て、治兵衛はその不屈の精神に尊敬の念を抱きながらも、意固地をほぐそうと弟の好物である「大鶉」を拵えて自らも木の上へ上ります。治兵衛は自分だからできる手段で弟を助けようとするのです。
大鶉とは、いわばおおきな大福餅。鶉に似たふっくらとした形がその名の由来で、ひとつ食べればお腹一杯になるほどです。それを兄弟そろって眺めのいい木の上で頬張ったら……想像するだけで幸せになりますよね。
物語の中では、このふたりで食べた大鶉が、やがて兄弟それぞれの生きる道を決めるきっかけになりました。

私にも3つ年下の弟がいます。性格も得意なことも全く似ておらず、お互い実家を離れた今、私たちの生き方はずいぶん異なっています。
しかし性格は違っていても、大人になって話してみると、考え方や価値観が似ている部分があることに気づきます。やはりお互い知らず知らず影響は与えあってきたのでしょう。

物語の兄弟は、大人になって同じ思い出を振り返り、今でも互いを大切に思っていると、言葉にせずとも感じあいます。
私と弟にこんな絆があるかはさておき、少なくとも私にとって弟は、思っていることを何でも言い合える相手です。兄弟でも、友人でも、そんな相手が一人でもいてくれるのはきっととっても嬉しいことではないでしょうか。
江戸時代であれば、手紙を届けるにも飛脚で何日もかかりますが、今はデジタルですぐにでも顔が見れて声が聞ける令和。美味しい和菓子を食べながら、久しぶりに連絡をしてみようと思います。

>°))))彡  >°))))彡  >°))))彡

いかがでしたか?皆さんも読書を楽しんで下さい。
GLOBIS知見録にもぜひアクセスしてくださいね!