【G1@Clubhouse⑪】農業の生産・流通・配達&輸出の新たな潮流
2月8日22:00 ~23:00に行われたG1@Clubhouse⑪の内容のポイントをご紹介します。*本記事は2021/2/9に公開した知見録の記事を転載しています。
テーマと出演者
テーマ:「農業の生産・流通・配達&輸出の新たな潮流」。
出演者:高島宏平(オイシックス)、秋元里奈(ビビッドガーデン)、岩佐大輝(GRA)、林芳正(参議院議員)、堀義人
発言のポイント
※上記出演者のご了解を得たうえで、記録、公開しています。
1)農業の現状の課題とは
・「農地法(株式会社が農地を所有できないこと、など)」を規制緩和していかないと、スタートアップはなかなか参入できない(農地をリースすることも可能だが選択肢があることが大切)
・兵庫県養父市が、農業の国家戦略特区に指定され、「中山間農業改革特区」として、農地法の規制緩和に取り組んでいるのが、フェアな視点で評価されてない現状がある。
・農業の議論の仕方にも問題がある。農業のKPIは、産業、安全保障、国土保全、生業など多岐に渡るので、誰かが意見をいうと、別の人が別のアングルから意見を言うことが起きがち。中山間地と平野部の話もそもそも全く違う話なので、議論の前にまず前提をしっかりと合わせるべき。
・農業自給率は10年前から下がっているが、農業生産額は8〜9兆円に増えている。また、担い手も高齢化で減少と言われているが、日本の人口あたりの農家数はアメリカやドイツよりも1.5〜1.6倍ほど多く、(個人の農家は減っているが)法人で農家をする人は増加傾向にある。こういった農業のポジティブな現状もあるのだが一般的に伝わってない。
・兼業農家が農地(耕作放棄地)を手ばなさないと言う問題がある。これに対しては、農地を手放すためのインセンティブを官民でしっかりと提案していく必要がある。
・農業の議論をするときに、小規模就農者を置き去りにしてはいけない。日本は中山間地が4割を占め、細かい農地が多いので、小規模だからこそ出せる多様性、環境保全の役割などに目を向け、大規模と小規模の両軸で考えるべき。
2)今後の農業の未来とは
・現在、農家のコミュニティーは地域単位の集まりだが、今後は(日本イチゴ協会のような)品目単位ごとのコミュニティーを作っていった方が良い。そうすれば、新規就農者が品目ごとにスキルを学ぶこともできる。
・品目ごとにマーケティングをしていかないと、海外輸出の際に、無駄な産地間競争が発生してしまう。また、輸出専用の施設を、地域別に空港の横に作るなど、全農と民間が一緒になって輸出に力を入れていく必要がある。
・農地法の運用が、県ごとに異なるのできっちりと統一すべき。また、農地法の適用を一定期間、その地域で農業の実績がある農業生産法人には開放するといった規制緩和も必要。
・規模が大きくても、小さくても、生産者が価格の自由度を持つことが大事。小規模農家であればブランド化して付加価値をつけて販売する。大規模農家は、逆に価格をカジュアルな値段に下げることも大事。
・小規模農業がしっかりと利益を生むためには、①販売先を複数持つ(メリット・デメリットに合わせてポートフォリオをしっかりと組む)。②コストを下げる。③生産性をあげる。この当たり前の3つのことをしっかりやればと売上は上げられる。