DJ Junzo Gardener'sDelight vol.1スペシャルインタビュー
Gardener'sDelight vol.1 2023 summerリリースにあたって、セレクターのDJ Junzoにインタビューを行いました。
Gardener'sDelightは神奈川県鎌倉市の造園業者、”地景ガーデニング”による音楽プロジェクトです。
”庭師の感性で届ける季節のグッドミュージック”をコンセプトに、造園と音楽をつなぐ試みにチャレンジしています。
それでは以下よりDJ Junzoのインタビューをどうぞ!
──ご出身を教えてください。
DJ Junzo(以下Junzo):神奈川県鎌倉市出身です。
──どんな子供時代でしたか?
Junzo:音楽がすごく好きな子供だったと思う。小学校の頃、合奏コンクールでドラム担当になって、アンサンブルの楽しみを知った。ドラムは合奏でも主役というか、要で目立ったし、すごく楽しかった。それと、お祭りのお囃子も大好きで、夏休みに、近所の神社で練習するのがとても楽しみだった。
──夢中になったグループやジャンルがあれば教えてください。
Junzo:グループだとWu-Tang Clanかな。
「お前はWu-Tangの中で誰が好き?」って感じで、初対面のB-Boyたちとは挨拶代わりに打ち解け合えるんだ。
ジャンルは、Good Musicであれば何でも好きだけど、自分のルーツとしてはReggaeとHip-Hop。
夢中になったのは、Undergroundだった頃の初期のDubstep。イギリスのローカルラジオをネットで探してDLして毎週ひたすら聴き込んでた。
──尊敬しているアーティストがいれば、何人でも教えてください。
Junzo:多すぎてキリがないんだけど、1人選ぶとしたらDJ Krush。
──その人たちをリスペクトしている理由は?
Junzo:DJ Krushのライブを初めてみたのは学生時代。サンフランシスコの大箱クラブで、本当に衝撃的だった。
アジア人で、Hip-Hopの生まれた地でここまで絶大な人気を誇って人々に尊敬されて、愛されてるMusicianって本当にすごいと思った。
日本語Rapもかけてたし、孤高の侍って感じだった。
自分もアジア人としてアメリカで生活していて、悔しい思いも沢山してきたし、そんな中でアメリカ人を音楽でロックしている姿は自分にとってHeroだったんだ。
イギリス在住時にライブを観た時も大箱のフロアが満員だった!
イギリスのヘッズ達は、DJ Krushは自分のStyleを貫き続けて本当にすごいってみんなRespectしてた。
DJ Krushのインタビューで、アメリカのHip-Hop文化をただ真似するんじゃなくて、日本人としてHip-Hopという文化をどう表現するかが大切だ、って言っていたのが今でも心に残ってる。
DJ Krushは、日本人のHip-Hopを真摯に表現し続けているから、世界中でRespectされ続けているんだと思う。
──DJをはじめた時期を教えてください。きっかけになったことなどあれば、そちらも。
Junzo:18歳の時、Reggaeがすごく好きで、ターンテーブルを手に入れて7インチのレコードでSelecterを始めたのが最初。
Jamaica盤の7インチレコードの音の太さがすごくカッコよくて、そこからレコードの魅力に深くのめり込んでいったんだ。
その後、アメリカに住んでた時に、寮でアフリカ系アメリカ人の学生達が、当たり前のようにでかいラジカセ持って、爆音でみんなで延々とフリースタイルしまくってるのを見て、相当カルチャーショックをうけた。
バスに乗ればヒスパニックの子達がフリースタイルラップしてたり、Hip-Hopが空気のように生活の中に根ざしてる国なんだって思ったよ。
寮で友達になる同世代のアメリカ人の子達はみんなHip-Hopの話題ばっかりだったし、周りの環境のおかげで、自分もHip-Hopにどんどんのめり込んでいって、パーティーでDJする時、Hip-Hopのレコードもかけ始めたんだ。
──現在までに3枚のミックスCDと、そのカセットテープ版をセルフプロデュースで制作されています。これらについて訊かせてください。
”Music From Lost Memory”は、すべてアナログオーディオで作り出す音質と、Junzoさんのスピリチュアルな世界観が一致した処女作にふさわしい名作です。リスナーのために、ご自身からの解説をお願いします。
Junzo:イギリスに住んでた時、"Music From Memory"というオランダのレーベルのレコードをレーベル買いしてよく聴いていて、日本に帰ってきた時に、"Music From Memory"のレコードだけでMix Tapeを作ろうと思って録音したDJ MIX作品。
友達が所有しているレコード針を10種類くらい聴き比べて、レコードの世界観に合う針を選定した。
ShureのType 3っていう、今では手に入らないレアなヴィンテージ針がすごく気に入って、それに決めた。
それから、DJの友達からハンドメイドのロータリーミキサーを借りて、レコーディングスタジオでデジタルを通さないで、フルアナログでカセットデッキに一発録りしたんだ。
テープ工場にも自分で足を運んで、カセットのマスターからプレスしたからフルアナログの音の楽しさが詰まってる。
いま聴き返すと、MIXはかなり荒削りなんだけど、ヨーロッパで自分が感じた望郷の想いだったり、その時期に亡くなった音楽好きの大親友がいて、彼に聴かせたいって気持ちがすごくあったから、感傷的なVibesを感じるかな。この作品はぜひ、カセットで聴いてもらいたいです。
──残りの2つの作品についても教えてください。
Junzo:"Das Zertifikat"はドイツ語で証明書っていう意味なんだけど、自分なりのHip-Hop Styleをテーマにして録ったDJ MIX作品。
ロンドンに住んでた時のフラットの近くのローカルラッパーのレコードだったり、ポーランドの無名のラッパーとか、イギリス、ドイツのハウスのレコードに一曲だけ入ってるブレイクビーツの曲とかを抽出して繋げたんだ。
この頃から、Bpmのピッチ(レコードを再生する速度を変える装置)をできるだけ変えないで、録る手法を模索し始めた。ピッチで繋ぐというより、曲の素材をできるだけ生のまま抽出して、前後関係でストーリー性を作っていこうとしたのかな。
この作品も、今聴き直すと、ミックスの展開がかなりカオスなところがあるけど、良い意味で聞き手の感覚を酔わせるというか、Dopeな世界観を表現できたと思う。
タイトルは、直訳すると"証明書"で、日本語で、刀剣とか古美術品が確かな物である証明をする鑑定書を"極め札"っていうんだけど、そんな意味を込めた。
"Rumble of Lambeth Dub"は、近日中に新発売予定のDubのDJ MIX作品で、自分がロンドンで住んでいたLambeth区のVibesを自分のフィルターを通して表現した作品。
Lambeth区のStockwellっていう、カリビアンコミュニティの地区に住んでたんだけど、周りの住民は8割くらいアフリカ系だった。
Brixtonも歩いていけるところで、夏目漱石も住んでたエリア。けどアジア人はほぼいない。笑
やっぱりカリビアンとかアフリカ人達の雰囲気がすごく好きで、フラットの大家さん家族もカリブのグレナダ出身だったし、街中、パトワ語(Jamaica訛り)とコックニー(イギリスの労働階級訛り)が混じり合ったアクセントがよく聴こえてきて、Jamaicanもいっぱいいたしすごく楽しかった。
ロンドンはDubのオリジナルレコードの宝庫で、自分にとっては宝の山だった!
イギリスでgetしたDubのオリジナルレコードから選曲して、Lambeth区にRespectを込めて録った作品です。
──今回のGARDENER'S DELIGHT vol.1についてお尋ねします。参加の経緯など、簡単に教えてください。
Junzo:地景ガーデニングから季節刊行のMIX CD制作の依頼を受けて、今回はLovers Rockで夏の季節に楽しめるMIXをつくった。
Reggaeに馴染みのない人でも楽しめるように、R&BやSoulの往年の名曲のカバーをたくさん入れて、Popに仕上げた。一曲一曲の良さを聴いてほしくて、今回もピッチ(レコードの回転速度)をいじらず、RAW(生)の状態で録音したんだ。
──聴きどころ・特に聴いてもらいたいところなどありますか?
Junzo:カバー曲がたくさん入ってるから、原曲で好きな曲がある人は、カバーの面白さを、このCDで知った人はオリジナルの名曲を聴き比べて楽しんでもらいたいな。
──GARDENER'S DELIGHT vol.1を聴いてもらいたいシチュエーションなどあれば教えてください。
Junzo:聴いてくれた人にとって、熱い真夏のひと時をより楽しむspiceになれば嬉しいです。
──選曲されたアーティストや関連の楽曲で、リスナーが手に入りやすいものや、ネットで聴きやすいものなどあればレコメンドしてください。
Junzo:"Athens of the North"という発掘レーベルから出ている、"For The Love of You" というLovers Rockのカバー集アルバムがあって、そのシリーズは全曲すごくカッコ良い!往年の名曲ばかりで、Black MusicファンからPop Music Listenerまで、幅広く楽しめると思うよ。
──DJ Junzoの今後の活動の予定を教えてください。
Junzo:今は、いろいろなジャンルのDJ MIX作品の制作アイデアがあるので、ひとつずつ形にしていこうと思ってる。それと、自前のMixerやサウンドシステムを持ち込んで、鳴らせる場所があれば、オリジナルの音響でDJ Playをして、リスナーの皆さんに聴いてもらいたいです。
──ここまで、インタビューのご回答ありがとうございます。
最後に今回のGARDENER'S DELIGHT vol.1を聴いてくださった皆さんへむけて、メッセージをお願いします。
Junzo:この作品を聴いてくれて、とても感謝しています。良い音楽を通して、皆さんの過ごす日々がより楽しくなればとても嬉しいです。この作品を聴いて気に入ってくれたら、他のDJ MIX作品もぜひ聴いていただきたいです。秋号は、Neo-Soul MIXなので、そちらも楽しみにして下さい。どうもありがとうございました。
聞き手:地景ガーデニング
2023年7月メールにてインタビュー
アーティストプロフィール
DJ Junzo
神奈川県出身のMusician, DJ。
米国、英国在住経験を通してClub cultureの洗礼を受ける。
米国ではベイエリアのLocal Hip-Hop communityでの活動や、Mixing エンジニアとの共同作業をLAで経験。
英国ではサウスロンドンのカリブ系地区で生活し、UK Dub, Reggae, Bass cultureに深く傾倒する。
DJ のPlay styleは、Black Musicの精神をルーツとし、Hip-Hop,Reggae,House, Technoなど多岐に渡る。
https://www.instagram.com/junzo.sw4/#
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