価値判断・意思決定#5 夏の学び【42】
今回も、価値判断・意思決定の学習について考えていく。
前回は、クローズドエンド型「提案する社会科」の事例を紹介した。
前回と同じく、茂松氏の実践の続きを紹介する。
今度は、高松市全体を舞台としたオープンエンド型の提案する場面を用意されている。
高松市中心部の消防機関の配置図を子供たちに渡して、次のような発問をされている。
ここでも、あと1か所、という限定条件をつけている。
前回と同じで、いくつでも作って良いということにしてしまうと、たくさんつくれば良いという話になってしまうので、真剣に考えなくなってしまうということである。
この時に、子供たちから出た意見として、次のような選択肢が出ている。
A 山間部・・・家屋はあるのに施設が少ないから
B 新興住宅地・・・住宅が多いから
C 中心商店街・官庁街・・・建物がつまっているし、高い建物が多いから
D 臨海の工場密集地・・・石油タンクや木材置き場など、大火事の元がたくさんあるから
そして、意見に対しての反論がたくさん出たということだ。
反論できるということは、自分の意見だけでなく、他の意見もしっかり聞いているということなので、やはりこのように条件をつけていることで、議論が深まったということができる。
そして、この授業の終わりは、結論をつけるところにない、ということである。
先生から、新設の予定がないということを伝えられて、授業は終了したそうだ。
これだけ議論して、そういう結論になってしまうと、子供たちの意欲としてはどうなのだろう、という疑問は残るが、子供たちが活発に議論しているところを見ると、価値判断・意思決定力を育てるのに繋がるような授業なのだと感じる。
このようなオープンエンドの場面は、実際の社会における政治問題としてよく現れるのではないかと思う。
もう少し範囲を広げると、例えば、原発の処分場をどこに作るか?などの未解決の問題を、与えられた条件をもとに選択肢を検討することが、考えられる。
現実の問題であれば、答えが出ていない分、実際の解決策として提案するような場面も考えることができる。
しかし、それが解決となるか?という問題もあるので、相当な吟味が必要である。
今回のシリーズでは、提案する社会科について書きました。
お読みいただきありがとうございました。
ご参考になれば幸いです。
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