見出し画像

投資家は稲妻が光る一瞬に、市場に居合わせなければ、生涯リターンが半減する。

初心者として、株式投資を始めるに当たって、必ず読んでおくべきと言われる一冊の中に「敗者のゲーム」という本があります。

この本を読まずに投資を始めることは、運転免許証を持たずに、車を運転するのと同じくらい危険だと言われており、インデックス投資においては、一番優れている本とも言えるでしょう。

投資家は必ず読んでおくべき一冊。

本のタイトルである「敗者のゲーム」の意味を、著者のチャールズ・エリスさんはテニスを例に説明しています。

プロ同士のテニスの試合では、プレーヤー達は、ミスというものは滅多にしません。

では、試合の勝敗がどこで決まるかと言えば、目の覚える素晴らしいサーブやショットを決めた選手が勝つことになります。これが言われる、勝者のゲームと呼ばれるものです。

それに対して、敗者のゲームとは、言ってみれば、アマチュアのテニスの試合のようなもので、素晴らしいサーブで得点をするのではなく、相手がミスすることによって、自分の得点を得るということが圧倒的に多くなっていきます。

ようは、素人が株式投資をやる時も、このテニスゲームの考え方と同じで、リスクを追ってラインギリギリのサーブを狙ったり、失敗する確率が高いのにも関わらず目の覚える素晴らしいショット狙ったりしなくても、黙って市場に連動するインデックスに投資し続け、市場の誰かがミスをすることで、利益を獲得するのが一番賢い方法だと言えるのです。

相手のミスで利益を得るのが敗者のゲーム。

言ってみれば、市場の平均を上回ろうとしたり、アクティブ・ファンドに投資しようとすることは、法定速度以上で車を運転して、目的地に向かうようなもの。

車の運転はレースではありませんから、求められるのは、ほどほどのスピードで安全に目的地に辿り着くことです。

確かに車のスピードを上げれば、目的地に辿り着くスピードは早くなるかもしれませんが、事故にあって、大怪我する可能性も増えてしまいます。

一昔前は、株を売買する約9割が個人投資家であったため、個人で株式投資をする際でも、どんどんリスクを取って、勝者のゲームを成立させることができました。

しかし、1970年頃から市場よりも高い成果を上げようと懸命に努力する機関投資家がどんどん増え、現在では株を売買している9割は、圧倒的な情報量と投資経験を持つ機関投資家で、個人投資家は1割ほどしかいません。

さらに、過去60年間で、ニューヨーク株式市場の取引は2000倍以上に増え、1日の取引量は300万株から60億株に増加しており、経験豊富な機関投資家がITやAIを使って、24時間株の売買をしています。

いま株を運用している9割の人はプロ中のプロ。

つまり、投資を初めたばかりの人が市場の平均以上を狙って、どんどんリスクを取っていくということは、サッカーを始めたばかりの人が、いきなりセリエAのプロ・サッカー選手相手に試合をするようなものでしょう。

現在の株式の市場の動きは、圧倒的な情報を持つ機関投資家が作り上げています。

仮に最初のうちは、まぐれで勝ち続けられたとしても、数十年という長い期間に渡って、個人投資家が機関投資家に勝ち続けるのは極めて難しいと言えるのです。

ようは、市場に連動するインデックスに投資するということは、世界の投資家のプロ中のプロに資産運用をしてもらうということ。既に最速のリニアモーターカーが存在しているのに、自分自身で、リニアモーターよりも速い乗り物を考える必要などないのです。

「敗者のゲーム」の著者であるエリス氏は、個人投資家が長期的に投資で成功するためには、できるだけ長く自分の資金を市場に置き続けることが必要で、一瞬で消えてしまう「稲妻が輝く瞬間」に市場に居合わせなければならないと言います。

投資家は稲妻が輝く一瞬に市場に居合わせなければならない。

エリス氏によれば、1982年から2000年の18年間におけるベストの上昇日10日を逃すだけで、リターンの平均水準は18%から15%に低下するのだと言う。

さらに、ベストの30日を逃せばリターンは18%から11%になって4割のリターンが消え、過去72年間で見ると、ベスト5日を逃すだけで、投資のリターンの半分が消えてしまうのだと言います。

株価が暴落した時に、底値で株を買えればベストですが、僕らよりも1億倍以上の情報と経験を持っている機関投資家でさえそれができないのですから、投資経験数年の素人が、株の底値を見極められるわけがありません。

そう言った意味では、稲妻が光るほどの一瞬のチャンスを逃さないためにも、頻繁に株を売買して、市場から出たり入ったりするのではなく、自分のお金を市場に置き続けて、市場から退場しないことが一番大切になってくるのです。

ベスト5日を逃すとリターンの半分が吹き飛ぶ。

株式は短期で見れば、急落の可能性もあり、リスクが高いとも言えますが、長期間で持てば持つほど、リスクはどんどん少なくなっていき、大体25年くらいで見ると平均リターンは9%前後になっていきます。

もちろん、リターンがプラス10%になる年もあれば、マイナス10%になる年もあるわけですが、たまたま投資をスタートした年に暴落が起こったとしても、時間を味方につけて、長く市場に居続けるほどリターンは年間9%に近づいていくのです。

この「敗者のゲーム」という本は、初心者が株式投資を始めるうえで、大切なことが満載に書かれていますので、ぜひ一度読んでみてください。





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?