「長州力」
しばらく空き家だったお隣に、人が入った。猫を2匹連れていた。雄と雌の若い猫だ。1年経って気がつくと、4匹に増えていた。
猫達は、ご近所を走り回っている。ご近所で猫の糞尿被害が出てきた。我が家もそうだ。保健所の方が2回お隣に注意しに行ってくれたが、飼い主さんは
「放し飼いしていない」
「避妊して去勢している」
と嘘を話す。
雄猫は木に登り、公園を走り回り、草むらに背を低くして身を潜めて雀を捕まえようとする。野生化しているのだ。筋肉がついて男性ホルモンがムンムンだ。
コイツは去勢はしてないだろう。
僕はこいつを「長州力」と呼んでいる。猫にしては大胸筋が異常に発達しているからだ。「長州力」は我が家の庭を我が物顔で闊歩していた。一度、箒で威嚇してこの場所は危険だと認識さそうとした。それからしばらくは我が家に現れなくなったが、昨日また久しぶりに「長州力」が現れた。
長州力は体付きが2倍位になり筋肉が以前にもまして増加していた。
そして「ここは俺のお気に入りの場所だぜ」
というように堂々と庭を闊歩する。目も三角にしてこちらを睨む。僕もちょっと一瞬怯んでしまう。
だが、ここで引いてしまうとこの場所を明け渡すことになってしまう。
僕も
「なんだこのやろう!」
とファイティングスピリット発揮して、ホースで水を噴射して威嚇する。
長州力は
「お前、それ反則やろ」
という顔をして逃げていった。
反則も勝てばストロングスタイルになるのだ。