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掌の中の小さな命・・・

 孔子公園(熊本県菊池市)の駐車場に車を預け、取材に出ようとした瞬間に、駐車場の地面でツバメがバタついていた。よく見ると、飛べない幼鳥のようだ。 

 咄嗟に車から降り、その幼鳥を保護することにした。しかし、幼鳥はバタバタと羽を地面に叩きつけながら逃げて行く。

 空から一羽の親鳥が降り立った。幼鳥のすぐ横に立っているが、手も足も出ない状態である。もう一羽の親鳥は上空を低空で飛びながら、危機的状況を知らせたいのか、猛烈に鳴いていた。

 そうしている内に、高齢者が運転するグレーの軽自動車が幼鳥に向かって近づいてきた。地面で幼鳥がバタついているのが見えないのか、ちょうど幼鳥の真上を跨いだ状態で停車した。

 その軽自動車が幼鳥を潰してしまう可能性があったので、すぐ横で幼鳥の位置を確認したところ、左前輪のタイヤ内側数センチのところに立っている。

 再び、軽自動車が動き出し、奥の駐車スペースへ向かった。幸運にも幼鳥は潰されずに無事だった。すぐさま、幼鳥に近寄り、両手の掌で幼鳥を包み込んだ。ギリギリセーフである。

 幼鳥は安心したのか疲れ切ったのか、全く暴れる様子もなく、掌の中で大人しくしていた。羽毛はもふもふしているが、体はかなり痩せている。体温は高温で、温かい小さな行火(あんか)でも握っているような感じである。

 道の駅の中へ幼鳥を運び、担当者に幼鳥を巣に戻してもらうように伝えることにした。すぐに上司がやってきたので、その場で幼鳥をそっと手渡した。

 その上司はニコニコ笑いながら幼鳥を受け取り、脚立を持ち出して、無事幼鳥を巣に戻してくれた。

 「毎年、ツバメがやってくるのが楽しみなんですよ。ありがとうございました。さっきの幼鳥は巣に無事戻したので、しっかり育ってくれればいいのですが。」と礼を言って去っていった。

 掌の中の命は何とか助かったようなので、胸を撫で下ろしたのであるが、ツバメの幼鳥に触れたのは生まれて初めての体験であった。

▼写真上(1枚)と写真下(3枚)はMidjourneyで画像生成したもの

親鳥を待つ幼鳥
お腹減ったと泣き叫ぶ
巣の上で暴れまくる
一羽の幼鳥が落ちたのを見届けるツバメの兄弟

▼巣に戻った幼鳥の写真

四羽になっている。

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