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如水(起業編)其の五・・・初仕事

如水(起業編)は、起業20周年の2010年11月9日に発刊した小冊子(非売品)です。現在、5巻まで発刊していますが、今回、「note」に掲載することで、起業を目指す若い方々や、会社管理職で頑張っている方々に、少しでもヒントになればと思い、恥を偲んで掲載することにしました。山あり谷あり、紆余曲折の人生を、ご覧頂ければ幸甚です。


◇初仕事◇

 先ず東京のNHK衛星放送に話を持ちかけた。たまたま「天地創造」という熊本県民文化祭(熊本県阿蘇方面)を衛星放送で1991年の年末に放送するという情報が入った。NHK衛星放送担当者が「阿蘇五岳のバックから天地創造という黄金の文字がクルクルと回転しながら手前に舞い降りて・・・」と、20秒を超えるフルCGアニメーションの発注があったのだ。

 熊本に戻り、その話をスタッフにすると「無理です!」と一言。しかし、初仕事を受けて来たからには何が何でも創らねばならない。製作期間は1ヶ月半。1秒に30フレームスのCG映像だから、20秒だと600枚の映像を創る事になる。専門的になるが、CGはモデリング、マッピング、光の設定、カメラや物体のアニメーション設定ほか、レンダリングといった行程を踏まねばならない。更にテレビ局へ納品する為のβカム(ビデオテープ)へCG1枚ずつをコマ落とししなければならない。

 レンダリングとは、特殊なプログラムを走らせ三次元映像を制作する事。ちなみに当時のマシンでは、1枚のCG映像レンダリング時間に約20分掛かってしまう。そうなると・・・NHK衛星放送のCGアニメーションには、レンダリングだけでも200時間以上掛かってしまう事になる。すーっと血の気が引いて、気が遠くなった事を思い出す。当時の製作担当スタッフは、私以上に目の前が真っ暗になったのではなかろうか。

 それから1ヶ月半が経過し、NHK衛星放送のCGアニメーションを無事納品する事ができた。年末の深夜「県民文化祭・天地創造」の放送をリアルタイムに見る為に、オフィス2階にある大型テレビのスイッチを入れ、僅か20秒の動画(制作日数45日)をスタッフと一緒に見る事にした。「わ~、凄い、衛星放送にD&LのCGが流れたよ~!!」と。・・・歓びのあまり皆の眼にはちらりと涙が見え隠れした。・・・私はしれっとトイレのドアノブを回して、独りになった。

 ※NHK衛星放送の発注のその他大作は「ウッドストック・フェスティバル」(世界最大規模のロックの祭典)とエイズ・キャンペーン番組

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