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逸品一筆

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何と言っても、グルメは最高ですね。このマガジンでは、「これは、旨い!」と叫びたくなるほどの和洋中の逸品を具にご紹介したいと思います。ホテルレストランや町場の食事処の逸品を、是非、… もっと読む
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#日本料理

あの人に会いたい・・・善家 繁

 現在、ICTやホテル文化と食文化、私塾「Well Done」主催、取材など、コンサルティング業務を主軸として日々活動している筆者である。  実は、ホテル文化と食文化の基礎を築いてくれたのが、当時、熊本ホテルキャッスル四川料理 桃花源の料理長(最終職位:同ホテル常務取締役兼総料理長)であった善家繁(ゼンケシゲル)氏との出逢いであった。  元々、食文化については、ICTを本業としながらも、自分なりに研究を重ね、和洋中いずれも、五つ星ホテルレストランから町場の人気レストランま

和食の不思議な魅力・・・

 シティホテルのキュイジーヌは大きく分けて、日本料理(和食)、西洋料理(フレンチ、イタリアン、その他)、そして中国料理(北京、上海、広東、四川、その他)となる。勿論、街場の人気レストランを見回すと、海外の料理は筆舌に尽くし難いほど多種多様となる。  標題に「和食の不思議な魅力」を挙げたのは、和食には日本流唯一無二なる弁当(lunch box)にある。最近ではパリでも人気急上昇中と聞き及んでいるが、この弁当こそが「和食の不思議な魅力」を牽引している。  上述の料理群は、基本

「日本料理えのきぞの」のお弁当・・・

 熊本市内の新屋敷(高級住宅街)を流れる大井出(加藤清正の治水事業)沿いにある「日本料理えのきぞの」。知る人ぞ知る、熊本市内でも料理の源流のような食事処の一つである。  「えのきぞの」の歴史を振り返ると、現在は三代目の榎園豊成氏が継承し、初代、二代目が100年近く培ってきた隠れレシピも受け継ぎ、平成四年に同店を開業(令和元年に新屋敷に移転)している。  昨日、同店のお弁当(水の巻)を予約していたので、それをオフィスに持ち帰り、一年ぶりに試食をすることにした。  写真下の

脇宮盛久作『初春を寿ぐ 縁と結の新たな門出』・・・これは、参った!

 本日、博多から筆者と打ち合わせのために、大切な方々が3名来熊。先ずは、昼から腹拵えをして、会合に臨むことにした。  ここで登場するのは、当然の如く、熊本ホテルキャッスル和食料理長の脇宮盛久氏である。毎度のことだが、今回も無理難題を振ってしまった。  出されたのは、この料理たちである。彩鮮やかにて、一つ一つの食材が生き生きとしている料理ばかり。パーフェクトな接待になると確信した。  食事の中で、博多のボスが一言。「この、ふぐの白子美味いですね~!」と。筆者も唸りっ放しだ

脇宮盛久の世界(6)・・・『焼物』

 金目鯛と赤茄子錦繍焼き 山芋とろめんソース 銀杏 零余子 海胆 裂き松茸 紅葉芋 ざくろ茗荷  器も素晴らしいが、これはアートである。器の中央にちょろんと盛ってあるが、食材が何が何やら分からぬほどの造形美に見入ってしまった。  お味のほどは、言わずもがな。流石に、脇宮盛久流の会席料理である。

『えのきぞの』・・・土鍋炊き立てご飯で決まり!

 いつ行っても、ブレのない『えのきぞの』。敷居が高そうに見えるが、とてもフレンドリーで、接遇が素晴らしい。  取材のご協力を得て、本日、久しぶりの同店人気コース料理『雅』を食させて頂いた。久しぶりに、ホッとする日本食にありつけたようだ。  取材中は、皆さん総動員でご協力を頂き、スムーズに撮影が終了した。筆者の場合は、常に『お客目線』での取材・撮影なので、照明など一切使わない。観たまま、食べたままを語ることにしている。  本日の取材は、ランチのお客が引いた頃を見計らって、

脇宮盛久の世界(3)・・・『小吸椀』

 先ず、器に描かれた鈴虫に目が行った。羽根のところは貝殻を施してある。和食らしさが漂う、小さな椀。蓋を開けると、中央に盛り付けられた吸い物の主役たち。  『菊花蓮根饅頭 蕪擂り流し仕立て』という、小吸椀。名残鱧射込み、松茸、菊菜、柚が食材として使われており、絶妙なる吸い物であった。  会席料理の中では、この吸い物が命であると考える。何故なら、職人の腕の高さが、この小さな椀に凝縮されているように思えてならないからだ。  最後の一滴まで飲み干し、器やその蓋をじっくりと拝見し

『豊穣の秋たけなわ 再会の宴』に舌鼓。

 数十年ぶりの旧友(山本順司医師/東京大学医学部卒)との再会。その宴を飾ったのは、『豊穣の秋たけなわ 再会の宴』(脇宮盛久料理長作/熊本ホテルキャッスル 個室 細川)。  学生時代と変わらぬ、互いのトークスタイル。旧友は開口一番、「よく二人で話していたよね。僕は受け身で10聴いて、1話す感じだった。」と。  筆者としては、そんなにお喋りの自覚はないが、彼にとってはそうだったようだ。数十年ぶりの会話は、数十年前と同じペースで、色んな思い出が湧き出してくる。  彼は、防衛医

日本料理えのきぞの・・・或る夏の日のコース料理を想いつつ。

 今年、取材依頼を何度か行ったが、同店とのスケジュールが噛み合わず、残念ながら、夏のコース料理を逸してしまった。  土鍋炊き立てご飯がお気に入りで、上品なご飯茶碗に山盛り3杯以上は軽く食べてしまう。旬の食材を次から次へとテーブルにサーブされると、胃袋が急に動き出す。  今の熊本。山手は紅葉の準備ができつつ、肌寒さを感じる日が続いている。昨日などは、一日中寒々とした雲行きで、時には、小雨もぱらついた。  どうしても、この夏のコース料理は食したかった。世界的なパンデミックか

和食の『器』その3・・・京料理えのきぞの

 『京料理えのきぞの(榎園豊成料理長)』は、熊本市中央区新屋敷にある人気和食処である。最近はなかなか足を運べないが、写真のように、同店の『器』もなかなか味わい深いものが沢山ある。  同店の特徴は、『基本』に忠実であり、決して派手さや格好良さを演出することがない。だからこそ、信頼に値する食事処として、大切な方々へご紹介できるのだ。  和食店によっては、派手な包丁捌きや盛り付けなどを異常に強調する所もあるけれども、和食の頂点に立つような店で、そのようなものを見たことはない。本

和食の『器』その2・・・語れば尽きない、『器』の話。

 昨日に続いて写真を整理していると、筆者のお気に入りの料理人『脇宮盛久料理長』(熊本ホテルキャッスル 細川)の 会席料理やランチで出された料理の中から、『器』を選んでみた。  どれもこれも、写真を見ると、『器』と『料理』がシンクロしており、香りが飛び出してくる。記憶に刻まれてた想い出の料理たち。先程、夜食にて『チャーハン』を作ってみたが、雲泥の差に愕然とするばかり。(しかし、我ながら旨いと叫んでしまった。)  冗談はさておき、下の茶碗蒸しなど、松茸とウニが添えられて、そこ

和食の『器』その1・・・玉手箱のような『器』あり、逸品一品勝負の『器』あり。

 筆者の写真集の中から、一瞬目に留まった『器』をランダムに数点選んでみた。四季折々の食材を大切に扱い、職人の心を語り、演出してくれるのが『器』である。  洋食では『お皿はカンバスだ!』というものとは、やや趣が異なる、和食の『器』。蓋のあるなしに関わらず、季節感やその逸品を大切に盛るために、凄腕職人は丹念に『器』を選りすぐる。  勿論、洋食で表現する『カンバス』に似たものとして、和食では『八寸』なるものが存在するが、深い歴史やストーリーが凝縮されたものとして配膳される。ここ

料理写真は、全て記憶に残る。・・・瞬間的に香りや食感、味、そして笑顔を思い出す。

 時折、取材した料理写真の整理をしながら、気に入った写真を適当に選び、『極上グルメ百選』にまとめることがある。  左上から右へと進むと、1)ザ・リッツ・カールトン東京 『日本料理ひのきざか』の鉄板焼の野菜、2)同じく蝦夷鮑、3)同じく蝦夷鮑の料理、4)熊本ホテルキャッスル 四川料理 桃花源の乾燥アワビのステーキなどと、何処の誰が使った食材で、どのような料理だったかを直ぐに思い出す。  人間の記憶とは、その時の『美味』の刺激の度合いによって左右されるのかと勝手に思っているが

天才料理人 黒須浩之が語る、『料理はセンス!』。・・・ザ・リッツ・カールトン東京 日本料理 ひのきざか統括料理長当時の取材記録

▼以下は、2009年に取材した時のもの。これから『和食の職人』になる若い方々への良いヒントになるかも知れない!!!  新潟県出身の天才料理人 黒須浩之。料理人の家庭に育ち、子供の頃から寿司屋の手伝い。野菜を洗ったりクルミを割ったりと。調理師学校を経て、海外に飛び出し、現在は世界最高峰のホテルである『ザ・リッツ・カールトン東京』で腕を振るっている熱血料理人だ。今回は同氏の『料理はセンス!』について話を聞く事ができた。 天才料理人 黒須浩之が語る、『料理はセンス!』。 幼少期