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ホテル文化に学ぶ

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取材先はザ・リッツ・カールトン東京、帝国ホテル東京、ホテルオークラ福岡、グランドハイアット福岡、熊本ホテルキャッスルなど。食文化発信基地としては、最高の食事処を選んでいるので、何… もっと読む
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#帝国ホテル

『豊穣の秋たけなわ 再会の宴』に舌鼓。

 数十年ぶりの旧友(山本順司医師/東京大学医学部卒)との再会。その宴を飾ったのは、『豊穣の秋たけなわ 再会の宴』(脇宮盛久料理長作/熊本ホテルキャッスル 個室 細川)。  学生時代と変わらぬ、互いのトークスタイル。旧友は開口一番、「よく二人で話していたよね。僕は受け身で10聴いて、1話す感じだった。」と。  筆者としては、そんなにお喋りの自覚はないが、彼にとってはそうだったようだ。数十年ぶりの会話は、数十年前と同じペースで、色んな思い出が湧き出してくる。  彼は、防衛医

2024年フランス料理おせち「佛蘭西」が届く

 毎年、この豪華なフランス料理おせち「佛蘭西」が大晦日に届けられる。昨年と同じく午前中に、熊本ホテルキャッスルの担当者が運んできてくれた。担当者はよく存じ上げており、音楽大好きで、とても趣味多き人物である。  早速、自然間接光を取り込んで、三段重ねのフランス料理おせち「佛蘭西」の蓋を開け、一段目から三段目まで写真を撮った。内容は、昨年のものとほぼ同じものである。  盛り付けは、今回のものが隙間なく、偏りなく、美しい。たぶん、盛り付けた人のスキルが昨年よりも高いはずだ。車で

「10時間、待て。」と言われても・・・

 毎年年末に届けられる「帝国ホテル」のオリジナルクリスマスケーキ。  「10時間、待て。」と言われると、待てなくなるのが凡人たる筆者である。冷凍された帝国ホテルのクリスマスケーキの箱をこそっと開けてみる。  例年はモンブラン系のケーキだったが、今年は彩鮮やかなクリスマスカラーのベリー系ケーキである。  宅配便が届き5分も経ってないので、まだ各種ベリーに霜が降りている。この鮮やかな色のケーキを10時間も待つのは耐え難い。  先ほど、オフィスでランチを済ませたばかりなので

ホテル文化と食文化・・・歴史と伝統の重み

 長年、足繁く通うお店は、とても落ち着き、心地良い。  特に、ランチタイムで利用するホテルレストランや街場食事処の名物料理は、週替わりであったり、月替わりや季節替わりであったりと、四季を通じて、いつも空っぽの胃袋を優しく満たしてくれる。  そういった中で、長年慣れ親しんだ伝統の料理や雰囲気、接遇などが急変すると、戸惑ってしまうことがある。時代の流れとして、「日々変化、日々進化。」は当然期待するものながら、歴史と伝統は大切に残して欲しい。  以前、少々高値であったものの、

帝国ホテル東京のルームサービス・・・シャリアピンステーキに齧り付く!

 130年の歴史と伝統を誇るホテルのホテルとして、また、旧御三家の一ホテルとして、多くのファンを持つ、帝国ホテル。写真は、その帝国ホテル東京のルームサービスである。  同ホテルには、食事処として、地階に食事処として多くの有名テナントがあるけれども、先ずは、ルームサービスにて試食することにした。  勿論、シャリアピンステーキ発祥のホテルでもあるので、シャリアピンステーキは、いの一番に注文することに。  ご覧の通り、欲張ったルームサービスとなったが、天下の帝国ホテルと雖も、

恵まれている国内食文化。ホテルや食事処が賑わえば、経済が回り、再び幸せな時が戻ってくる。

 筆者の口癖は、「ホテルは文化発信基地」である。  ホテルのホテルと言われる、国内ホテル旧御三家の一つ名門「帝国ホテル」。筆者はファンの一人と勝手に思っているが、同ホテルが約130年(1890年開業)前に、列強の仲間入りのシンボルとして開業し、我々庶民に対して、欧米文化は勿論のこと、日本の新たな文化発信基地として、重要な役割を果たしてきた。  歴史と伝統を誇る高級ホテルは、我々庶民にとっては、些か高嶺の花的存在でもあるが、時には、紳士淑女が集う、質高きホテル文化を学ぶこと

日本近代史と文化の変遷を学ぶには・・・

 日本近代史と文化の変遷を学ぶには、日本のホテルのホテルとして、文化発信基地として、常に世の中に新しい風を吹き込んできた「帝国ホテル」の歴史を紐解けば良い。そこには色々な発見があり、食文化をはじめとして、ホテリエの基本、その他諸々のヒントや教科書が隠されている。  熊本地震やコロナ禍により、近頃遠ざかっている「帝国ホテル」だが、同ホテルは、筆者のグルメやホテルの世界観のマイルストーンとなり、揺るがぬスタンダードとして、国内外のホテルや宿を検証するバイブルとなっている。先ずは

ホテル文化に学ぶ(7)

<オススメ料理と食事処>  以下は、今まで取材してきた和洋中料理の中から、想い出深い料理の一部を、ランダムに抜粋し、ご紹介するものである。  先ず、流石にインパクトが強かったのは、写真下のザ・リッツ・カールトン東京の「ひのきざか」で食した「門崎丑(かんざきうし)/山形県産」である。枝肉が350キロほどの小柄な牛だが、霜降りの繊細さや肉の甘みなど、非の打ち所がない極上のステーキ肉だった。  次は、皆さんご存知のローストビーフだが、帝国ホテル東京地階にあるラ・ブラスリー(ホ

ホテル文化に学ぶ(4)

<肌で感じる文化発信基地>  ホテルのホテルと言われる帝国ホテルが、120年以上の長きにわたり、「文化発信基地」として君臨してきたことは周知の事実。ディナーショー、ブライダル、ショッピングモール、直営レストラン、バイキング料理、シャリアピンステーキ、ホテルメイドの洋菓子などなど、枚挙に遑がないほど、国内津々浦々まで新しい文化を常に発信してきた歴史がある。その影響のほどは絶大なもので、そこから欧米化の波が各地に浸透し、西洋式ホテルが次から次へと生れたことになる。  高級ホテ

ホテル文化に学ぶ(2)

<ホテリエの接遇と所作>  写真下をご覧頂ければ、一目瞭然。ホテリエの立ち姿、笑顔、そして指先まで神経が通った所作と表情。私たち素人には、なかなか真似ができるものではない。日々厳しい訓練を積み重ねてきた結果が、これに通じている。  写真1枚目は、熊本ホテルキャッスル(62年の歴史)1階ダイニングキッチン九曜杏のマネージャー(現在、食堂部長)である。学生時代に剣道の経験があるからなのか、立ち姿が実に美しい。常に自然体で臨んでおり、歩く姿も頭の上下動が少なく、革靴の踵の音もせ