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ホテル文化に学ぶ

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取材先はザ・リッツ・カールトン東京、帝国ホテル東京、ホテルオークラ福岡、グランドハイアット福岡、熊本ホテルキャッスルなど。食文化発信基地としては、最高の食事処を選んでいるので、何… もっと読む
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#会席料理

『豊穣の秋たけなわ 再会の宴』に舌鼓。

 数十年ぶりの旧友(山本順司医師/東京大学医学部卒)との再会。その宴を飾ったのは、『豊穣の秋たけなわ 再会の宴』(脇宮盛久料理長作/熊本ホテルキャッスル 個室 細川)。  学生時代と変わらぬ、互いのトークスタイル。旧友は開口一番、「よく二人で話していたよね。僕は受け身で10聴いて、1話す感じだった。」と。  筆者としては、そんなにお喋りの自覚はないが、彼にとってはそうだったようだ。数十年ぶりの会話は、数十年前と同じペースで、色んな思い出が湧き出してくる。  彼は、防衛医

脇宮盛久の世界(6)・・・『焼物』

 金目鯛と赤茄子錦繍焼き 山芋とろめんソース 銀杏 零余子 海胆 裂き松茸 紅葉芋 ざくろ茗荷  器も素晴らしいが、これはアートである。器の中央にちょろんと盛ってあるが、食材が何が何やら分からぬほどの造形美に見入ってしまった。  お味のほどは、言わずもがな。流石に、脇宮盛久流の会席料理である。

脇宮盛久の世界(5)・・・『煮物』

(牡蠣西京煮 水晶絞り 海老芋 小蕪 黄金たもぎ茸)  透明なフィルムを紐で結んであった。火傷しないように、サラッと解ける紐。開くと、牡蠣の風味がパッと広がり、食欲を唆る。  牡蠣は牡蠣でも西京煮。そこに小蕪と黄金たもぎ茸が添えてあり、土台に海老芋。全ての食材が互いに邪魔をせず、繊細な融合を見せてくれた。  熱々にサーブされたので、最後まで冷めることはない。いやはや、西京焼きや西京煮が大好きな筆者なので、最後の一滴まで啜ってしまった。

脇宮盛久の世界(4)・・・『造り』

<皮剥肝巻・中とろ・ごま鯖の造り>  これは、絶句するほど、旨かった。三種の刺身に、三種の割橙酢、土佐酢、ごまだれが添えられ、一つ一つの刺身の最高の味を引き出していた。  贅沢な造りだが、特に、皮剥肝巻は圧巻であった。

脇宮盛久の世界(3)・・・『小吸椀』

 先ず、器に描かれた鈴虫に目が行った。羽根のところは貝殻を施してある。和食らしさが漂う、小さな椀。蓋を開けると、中央に盛り付けられた吸い物の主役たち。  『菊花蓮根饅頭 蕪擂り流し仕立て』という、小吸椀。名残鱧射込み、松茸、菊菜、柚が食材として使われており、絶妙なる吸い物であった。  会席料理の中では、この吸い物が命であると考える。何故なら、職人の腕の高さが、この小さな椀に凝縮されているように思えてならないからだ。  最後の一滴まで飲み干し、器やその蓋をじっくりと拝見し

脇宮盛久の世界(1)・・・『先付』伊勢海老どんぶりジュレかけ

 会席料理『豊穣の秋たけなわ 再会の宴』の最初にサーブされた『先付』。独特な器の上で伊勢海老が主人公として、金箔が添えられている。  今宵のディナーは、脇宮流の『宝石箱』が飛び出してきそうな予感。  お味の程は、伊勢海老の香ばしさと甘みが口の中に広がり、一口で食すのが勿体無いほどのものである。 ※脇宮盛久料理長:黄綬褒章及び現代の名工受章者

『豊穣の秋たけなわ 再会の宴』に舌鼓。・・・PDFファイルにしてみた!

 数十年ぶりの旧友との再会記念に、記事をPDFファイルにしてみた。ざっと遣ってみたが、まあ、紙媒体にすれば読み易いかも知れない。  旧友本人やその他関係者には、是非、ダウンロードをお勧めしたい! ▼PDFファイルダウンロードは以下のURLから、どうぞ! ※約10MB https://www.dandl.co.jp/club/saikai20221021.pdf

温かい『粥』が腑に染み渡る・・・『鱶鰭東寺粥』

 昨夜、旧友と数十年ぶりの『再会の宴』を楽しませて頂いたが、最後の〆として『粥』が振る舞われた。  『鱶鰭東寺粥』(桜海老、おこげ、軸三つ葉)に香の物が付いている。熱々の『粥』に、トッピングされた桜海老の上に、優しくとろみにのあるフカヒレを注ぎ込む。実にシンプルだが、とても複雑な味の融合を楽しめる逸品であった。  幼い頃は、風邪気味で体調悪ければ、すぐに『粥』を作ってもらい、体の芯まで温まり、バスタオルを首にぐるぐる巻きにして、ぐっと我慢の子であった。しかし、このようなお

ダイニングキッチン九曜杏・・・熊本ホテルキャッスル(連載その6)

<ダイニングキッチン九曜杏の和食>  脇宮盛久料和食理長(熊本ホテルキャッスル)は、熊本県を代表する『和の匠』と言っても過言ではない。  今回は、グランドメニューを一つ一つ紹介するよりも、これまで食した中で、強く記憶に刻まれているものを中心に、ランダムに掲載したい。  若く(50代)して、黄綬褒章や現代の名工を受章した匠として、その腕のほどは、繊細且つアーティステックであり、常に、サプライズ。  誕生日やほか記念日に、是非、同料理長の『特別料理』を頂けば、至福の極みど

ホテル文化に学ぶ(6)

 名匠 脇宮盛久氏(熊本ホテルキャッスル和食料理長)は、50代にして黄綬褒章、現代の名工を受章した、熊本県内屈指の和の匠である。今回は、非の打ち所がない脇宮流「新緑会席」をご紹介したい。  最初にサーブされた先付や前菜は写真下の通り、食べるのが勿体無いほど、アーティスティックさを放っている。  以前、京都の吉兆個室にて、侘び寂びの世界を頬張ったことがあったが、この熊本の地の脇宮流「新緑会席」料理は、勝るとも劣らず、これこそ知らねば損をした気持ちになるような、名匠の料理であ