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ホテル文化に学ぶ

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取材先はザ・リッツ・カールトン東京、帝国ホテル東京、ホテルオークラ福岡、グランドハイアット福岡、熊本ホテルキャッスルなど。食文化発信基地としては、最高の食事処を選んでいるので、何… もっと読む
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#和食

『豊穣の秋たけなわ 再会の宴』に舌鼓。

 数十年ぶりの旧友(山本順司医師/東京大学医学部卒)との再会。その宴を飾ったのは、『豊穣の秋たけなわ 再会の宴』(脇宮盛久料理長作/熊本ホテルキャッスル 個室 細川)。  学生時代と変わらぬ、互いのトークスタイル。旧友は開口一番、「よく二人で話していたよね。僕は受け身で10聴いて、1話す感じだった。」と。  筆者としては、そんなにお喋りの自覚はないが、彼にとってはそうだったようだ。数十年ぶりの会話は、数十年前と同じペースで、色んな思い出が湧き出してくる。  彼は、防衛医

和食の不思議な魅力・・・

 シティホテルのキュイジーヌは大きく分けて、日本料理(和食)、西洋料理(フレンチ、イタリアン、その他)、そして中国料理(北京、上海、広東、四川、その他)となる。勿論、街場の人気レストランを見回すと、海外の料理は筆舌に尽くし難いほど多種多様となる。  標題に「和食の不思議な魅力」を挙げたのは、和食には日本流唯一無二なる弁当(lunch box)にある。最近ではパリでも人気急上昇中と聞き及んでいるが、この弁当こそが「和食の不思議な魅力」を牽引している。  上述の料理群は、基本

脇宮盛久の世界(6)・・・『焼物』

 金目鯛と赤茄子錦繍焼き 山芋とろめんソース 銀杏 零余子 海胆 裂き松茸 紅葉芋 ざくろ茗荷  器も素晴らしいが、これはアートである。器の中央にちょろんと盛ってあるが、食材が何が何やら分からぬほどの造形美に見入ってしまった。  お味のほどは、言わずもがな。流石に、脇宮盛久流の会席料理である。

脇宮盛久の世界(5)・・・『煮物』

(牡蠣西京煮 水晶絞り 海老芋 小蕪 黄金たもぎ茸)  透明なフィルムを紐で結んであった。火傷しないように、サラッと解ける紐。開くと、牡蠣の風味がパッと広がり、食欲を唆る。  牡蠣は牡蠣でも西京煮。そこに小蕪と黄金たもぎ茸が添えてあり、土台に海老芋。全ての食材が互いに邪魔をせず、繊細な融合を見せてくれた。  熱々にサーブされたので、最後まで冷めることはない。いやはや、西京焼きや西京煮が大好きな筆者なので、最後の一滴まで啜ってしまった。

脇宮盛久の世界(3)・・・『小吸椀』

 先ず、器に描かれた鈴虫に目が行った。羽根のところは貝殻を施してある。和食らしさが漂う、小さな椀。蓋を開けると、中央に盛り付けられた吸い物の主役たち。  『菊花蓮根饅頭 蕪擂り流し仕立て』という、小吸椀。名残鱧射込み、松茸、菊菜、柚が食材として使われており、絶妙なる吸い物であった。  会席料理の中では、この吸い物が命であると考える。何故なら、職人の腕の高さが、この小さな椀に凝縮されているように思えてならないからだ。  最後の一滴まで飲み干し、器やその蓋をじっくりと拝見し

脇宮盛久の世界(1)・・・『先付』伊勢海老どんぶりジュレかけ

 会席料理『豊穣の秋たけなわ 再会の宴』の最初にサーブされた『先付』。独特な器の上で伊勢海老が主人公として、金箔が添えられている。  今宵のディナーは、脇宮流の『宝石箱』が飛び出してきそうな予感。  お味の程は、伊勢海老の香ばしさと甘みが口の中に広がり、一口で食すのが勿体無いほどのものである。 ※脇宮盛久料理長:黄綬褒章及び現代の名工受章者

『豊穣の秋たけなわ 再会の宴』に舌鼓。・・・PDFファイルにしてみた!

 数十年ぶりの旧友との再会記念に、記事をPDFファイルにしてみた。ざっと遣ってみたが、まあ、紙媒体にすれば読み易いかも知れない。  旧友本人やその他関係者には、是非、ダウンロードをお勧めしたい! ▼PDFファイルダウンロードは以下のURLから、どうぞ! ※約10MB https://www.dandl.co.jp/club/saikai20221021.pdf

温かい『粥』が腑に染み渡る・・・『鱶鰭東寺粥』

 昨夜、旧友と数十年ぶりの『再会の宴』を楽しませて頂いたが、最後の〆として『粥』が振る舞われた。  『鱶鰭東寺粥』(桜海老、おこげ、軸三つ葉)に香の物が付いている。熱々の『粥』に、トッピングされた桜海老の上に、優しくとろみにのあるフカヒレを注ぎ込む。実にシンプルだが、とても複雑な味の融合を楽しめる逸品であった。  幼い頃は、風邪気味で体調悪ければ、すぐに『粥』を作ってもらい、体の芯まで温まり、バスタオルを首にぐるぐる巻きにして、ぐっと我慢の子であった。しかし、このようなお

和食のデザート・・・小ぶりで、上品な仕上げ。

 写真は、ランチで食した和食のデザートなので、そこまでは凝ってはいないが、流石に旬のものを大切に創り上げている。  洋食と比較して、和食のデザートは上品すぎるほど、量も少ないが、最後の〆としての役割はしっかりと果てしている。  多分に、和食は調理中に甘味を使うことが多いので、洋食と比較すれば、料理の中で糖分を摂ることになる。よって、最後のデザートは控え目になるに違いない。  しかし、ランチでもディナーでも同様に、女性陣の目は、最後の〆に向いている。よって、最近は和食と雖

『鉄板焼さざんか』(3)・・・ホテルオークラ福岡

 全国各地の高級鉄板焼レストランを取材しながら感じたことは、made in Japanの鉄板焼のパワーとバリエーションの凄さであった。  和食からフレンチ、イタリアン、そして中華と、鉄板焼の土台が変われば、同じ鉄板焼でも全く異なるレストランになってしまう。  ホテルオークラ福岡の『鉄板焼さざんか』は、和食の職人が土台となり、全体メニューが作られていた。器も上品で素敵なものばかり。  因みに、鉄板焼の鉄板は厚みがあればあるほど良いという。ただ、鉄板が厚くても、熱源がガスと

秋刀魚は、二匹でしょ!?・・・ダイニングキッチン九曜杏にて

 写真下は、以前、脇宮盛久料理長(熊本ホテルキャッスル)に無理を言って、秋刀魚二匹のランチで食した時のもの。  さっぱりレモンとピリッと大根おろし。芳ばしい焼き立ての秋刀魚を頬張ると、幸せ全開!よって、手前のご飯は一気になくなってしまう。  最近の秋刀魚は昔と比べれば、とても小さくなってしまった感がある。この秋刀魚は脂ののりが良く、香ばしく、塩味もばっちりと、最高だ。  次回は、「秋刀魚三匹お願いします!」とは、恥ずかしいので言わないことにするが、さっぱり和食のランチは

ダイニングキッチン九曜杏・・・熊本ホテルキャッスル(連載その6)

<ダイニングキッチン九曜杏の和食>  脇宮盛久料和食理長(熊本ホテルキャッスル)は、熊本県を代表する『和の匠』と言っても過言ではない。  今回は、グランドメニューを一つ一つ紹介するよりも、これまで食した中で、強く記憶に刻まれているものを中心に、ランダムに掲載したい。  若く(50代)して、黄綬褒章や現代の名工を受章した匠として、その腕のほどは、繊細且つアーティステックであり、常に、サプライズ。  誕生日やほか記念日に、是非、同料理長の『特別料理』を頂けば、至福の極みど

ダイニングキッチン九曜杏・・・熊本ホテルキャッスル(連載その1)

<ダイニングキッチン九曜杏のスイーツ>  女性客を大いに喜ばせるのは、何と言っても、スイーツである。ランチやディナーを済ませ、腹一杯であるはずが、「これは、別腹!」と言いながら、スイーツの一つ、二つを完食する女性軍。あっぱれである。  同レストランのパティシエは、古典タイプから流行のタイプを作る。種類はそう多くはないが、テイクアウト用のスイーツもあれば、ホテルメイドのイートイン用のスイーツも揃えている。  コロナ禍以前は、毎年春休みに『いちごフェア』(時間制限ありの食べ

コロナ禍で苦悩する食事処の『連載応援プロジェクト』をスタート!?

※写真上は、ダイニングキッチン九曜杏(熊本ホテルキャッスル)  コロナ禍となり、ありとあらゆる業種が連日悲鳴を上げている。筆者の会社(ICT&コンサル業務)も御多分に洩れず、急なクライアントの脱落などにより、大変な状況が続いている。  そこで考えてみた。  先ずは、お金が世間に回らねば、こちらへ降ってくるはずがない。皆が潤うためには、安直ながら、日々世話になっている食事処の『応援プロジェクト』を展開しては如何だろうかと。  勿論、質の高い、安心安全な食事処を厳選し、連