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不動産業者からバックを要求されたらどうするか。(司法書士向け)

こんにちは
司法書士チカコです。
今日はいわゆる「バック」について書いてみます。

いわゆる「バック」とは。

ほぼあらゆる業界において、「紹介料」や「バックマージン」「リベート」というものが存在します。短くして「バック」と呼んだりします。
仕事を紹介してもらったことに対して、お礼としていくらか紹介元にお支払いすることです。

「バック」の一般的な例


例えば、ある物件を担当している不動産仲介業社が、リフォーム業者に工事の仕事を依頼したときは、そのリフォーム業者から不動産仲介業者へ、工事代金の何パーセントかお礼があるはずです。
このお金のやりとりについては、法的にはなんの問題もありませんし、業界の慣行と言ってもいいと思います。リフォーム業者としては、マージンを納めても紹介がもらえやすいほうが売り上げにつながりますし、不動産仲介にしても潤いますよね。

司法書士は「バック」を支払ってはいけない。

しかし、このリフォーム業者と同じことを、司法書士がやるとどうでしょうか?
司法書士は、不動産仲介業者からお仕事をもらうことが多いのですが、このご紹介案件について「バック」を行うことを禁止されています。
具体的には司法書士倫理第2条に、「不当な方法によって事件の依頼を誘致し、又は事件を誘発」してはいけないという定めがあります。
司法書士倫理を破ると、懲戒処分となる可能性があります。
司法書士の懲戒は、法務局(つまりは法務省)が管轄するので、結構審査基準が厳しいです。
余談ですが、これに対して弁護士の懲戒は弁護士会が行うので、お仲間同士での舞台演出的な面があります。

司法書士のバックが禁止されている理由

司法書士が「バック」を禁止されているのは、なぜでしょうか。
その理由はざっくり簡単に言うと、特定のひとに有利あるいは不利になるような職務を、防止するためですよね。
弁護士と司法書士は裁判に関わるので、このような規則があることはある程度納得はできます。
また成年後見業務などで、特定の介護業者などとお金の関係でつながってしまうと、依頼者に不利になることも想像できます。

他の士業はどうか?

それでは行政書士の世界ではどうでしょうか?
行政書士は、バックを禁止する決まりごとはないんですね。

税理士はどうでしょう?
税理士も同じく、バックを禁止する決まりごとはありません。

「バック」を禁止されている士業は、弁護士と、司法書士だけです。他の士業は、公益性とか公平性についてそこまで求められていないということになります。

実際のところは…

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