見出し画像

<3>1週間という単位で時間が過ぎる小さな恐怖

2020年1月下旬
今年は暖かい冬のせいか梅の開花も早い。

日本橋の新しいビルの中にあるそのレディースクリニックは洗練されたやさしさに溢れ、隅々までこれから出産する人のために考えられた空間だった。

とても居心地がいい、けど、来院目的が違うと居心地が悪い。

超音波の写真を見ながら、健康診断は頸がん検査の結果だけど、子宮体部に何かありそうに写っているから体癌検査にしましょう、となった。

見た感じは悪いもののようには見えないのだけど…、と、ちょっと希望のある言葉ももらって、今度こそ念のための検査、と台に乗る。

検査を担当してくださった先生はとてもスムーズに組織を採れる人で良かった。とはいえ嫌な汗は相変わらずかく。


 “検査結果は一週間後、また来てくださいね”


真新しいビルの中層階のロビーフロアで「嫌な汗」が引くのを待ちながら、半年前の検査と今日の検査を思い起こす。

また1週間か。。。

 “たった半年で重篤な事にはならないはず。”

 “悪性の物には見えないし、
 だとしてもごく初期、って先生言っている。”


どこまでも楽観的な方に頭が向かう。

そしてまだ確定しないざわつき。微細な震えを胸の内に感じる。

 母も、祖母も、叔母も、子宮がんをやったのは60代だし、なるとしてもまだ早いよなー。

 いつかはなると思って備えてはいるけど、
 今は困るなー。

 仕事のヤマが3月にあるんだよなー。


このころから「中国の武漢で大変なことになっている新型ウイルス」についての報道が過熱し始める。


----

これを読む人、
特に40代から50代にかけての女性、
そして関わる周りの人に
私のこの出来事にまつわる話を伝えることで
何か役に立つこともあるかもしれない、
そんな思いでしたためることにした。

大学病院の病理検査でクラスⅣと診断され、ステージはⅠとⅡの間、癌とは言え早期に処置できる段階で見つかった子宮体癌。

「全く命に別状はない」ところでの癌治療。

ところが意外と手間暇かかり、こんなことも起こるのか!ということもあり、しかもCOVID-19真っ最中の出来事で社会的にも特殊な時期でもあり、記録に残そうと思った。

仕事、手術、治療、自分の気持ち、そのままに書こうと思っている。

しばしお付き合いいただきたい。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?