【原体験ドリブン2章 無料公開】「原体験ジャーニー」とは(1/7) 原体験の旅に出よう ~一人でおこなう原体験ジャーニー~
「原体験ジャーニー」とは
自分の無意識の世界を旅する
「原体験ジャーニー」は自分の過去をふり返ることによって、今の自分の原点となる体験を探す作業です。
自分に「なぜ?」と疑問を投げかけて、無意識を深掘りし、過去の体験を掘り出していきます。
原体験ジャーニーは就職活動でよくおこなわれる「自己分析」に似ています。自分自身のことを「なぜ?」で深掘りしていくのは同じです。
ただ、自己分析は深掘りする項目が非常に多く、内容は網羅的です。
そして、会社との接点を見つけるためのこじつけであることがほとんどです。
深掘りする項目が多すぎて途中で投げ出したり、どこまでやれば終わりなのかわからなくなったりした人もいるかもしれません。
原体験ジャーニーは「あなたの人生をさかのぼって原体験を探す旅」です。
「あなたの人生」という「一つのストーリー」を深掘りしていくイメージなので、自己分析よりもとっつきやすいのではないでしょうか。
物心ついた頃、就学前の幼少期までさかのぼることができたら、原体験が見つかる確率はかなり高くなります。
どこまでいっても終わりがない、ということはありません。
自己ワークで原体験ジャーニーの基本をつかむ
原体験ジャーニーには2種類あります。それが「自己ワーク」と「ペアワーク」です。
「自己ワーク」は、一人で自分の無意識を深掘りする原体験ジャーニーのことです。
「ペアワーク」は2人1組になって、相手から自分の無意識を深掘りしてもらう原体験ジャーニーのことをさします。
自分の深掘りだけでなく、役割を変えて相手の深掘りもする。おたがいに深掘りし合う原体験ジャーニーです。
本書を読んで初めて原体験ジャーニーにトライする人は、深掘りし合う相手探しからはじめなければならないペアワークにいきなり挑戦するのは難しいかもしれません。
まずはこの章で紹介する、自己ワークからやってみることをおすすめします。
ふだんから、自分の行動や選択について自問自答する習慣のついている人は、自己ワークにすんなりなじむことができると思います。
反対に、そのような習慣のない人は少し難しく感じるかもしれません。
それでも自己ワークをとおして、自分自身と向き合ってみようとしてください。
他人の言うことや外部の情報にまどわされず、自分の心の声、自分の本音に耳をかたむけてみるクセをつける。
これが自己ワークをやる意義です。
自己ワークに慣れ、原体験ジャーニーに協力してくれそうな相手を見つけることができたら、2人1組で交互に深掘りし合うペアワーク(第3章)にもぜひチャレンジしてみてください。
ペアワークの意義は、人から深掘りしてもらうことによって自分を多角的かつ客観的にとらえられることです。
自己ワークでは自分で自分を深掘りをする分、手加減してしまいがちです。
慣れないうちはアクセスしやすい無意識までは行けても、そこで満足して、それ以上深掘りすることをやめてしまう傾向があります。
一方、ペアワークで人から深掘りしてもらうと、自分では考えもしなかった観点からの質問がきます。自分の話は自分にとってあたりまえです。
しかし、他人が聞くと自分ではあたりまえでめずらしくもなく、おもしろくもないと思っていた話に興味を示し、深掘りしてくれることがあります。
自分にとってのふつうが、他人にとってもふつうとは限らないのです。
そのためペアワークでは、自分でも意外に思う原体験が見つかる可能性が高まります。
原体験ジャーニーは「ダイビング」に似ている
自分は原体験ジャーニーの世界観を、よく「ダイビング」にたとえます。
意識できる水面近くから、無意識の海へと少しずつ潜っていくイメージです。
自己ワークはたった一人で海を潜っていくようなものです。
自由度は高いですが、自分の意識レベルからなかなか抜け出せなかったり、何回やっても同じ深掘りになってしまったりすることがあります。
高いスキルが求められるやり方です。
二人一組で相手の無意識の海に潜っていくペアワークでは、バディ(パートナー)が助けてくれますから、原体験ジャーニーに慣れてない人は実際のところ、ペアワークのほうがやりやすいかもしれません。
自己ワークではうまく無意識を深掘りできなくても(ただし、慣れていない状態では相手を見つけにくいかもしれませんが)、ペアワークならスムーズに無意識の海深くへ潜っていける可能性が高まります。
原体験ジャーニーを「芋掘り」と表現する人もいます。
地表に出ている茎をたどって地中深く掘っていくと、さまざまな方向に茎が枝分かれしていき、その先に芋があります。
大きい芋もあれば、小さな芋もある。浅い地層にある芋もあれば、深い地層にある芋もある。
掘ってみるまで、どんな芋が出てくるかわかりません。
このたくさん掘り出された大小さまざまの芋のなかから、今の自分のもとになる芋、つまり原体験を見つける。そのイメージはたしかに「芋掘り」にも似ています。
原体験ジャーニーで自分の無意識の世界を旅すると、これまで思い出すことのなかった過去の体験、情景、景色に出会うことができます。
原体験ジャーニーをくり返しおこない、ときには相手を変えてやることによって、見えるものも、その時々で変わっていきます。
新しいものが見つかるたびに、自分のやりたいこと、やるべきことの解像度が上がっていきます。イメージが鮮明になり、濃くなっていきます。
原体験ジャーニーは「旅」です。これまでの自分の人生のポジティブ、ネガティブ、すべてを内包した旅。
原体験ジャーニーは、まさに人生そのものを旅することです。その旅をめいいっぱい、楽しんでほしいと思います。
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